ユウスケ…そうじゃないんだ…。私も上手く言えないけど…。
世界が戻り、私たちはユウスケの家に向かっていた。
「リノン、どうしたの?」
「…。」
なんだか、言葉が出てこない…。
ユウスケが変わってしまった感じがして…。
「リノン?」
「ううん、何でもない…。」
…なんでもあるよね…。
今更だけど、巻き込んだことに後悔してる…。
「ユウスケ、戦闘に慣れてきたね!」
元気を振り絞ってユウスケに伝える。
いや…そんなこと聞きたくないけど…。
「うん、でもリノンには追い付かないよ…。」
「あはは☆だって、私レベル99だもん。」
「僕はまだレベル10だからね…。
こんなんのでいいのかって思っちゃったよ。」
確かにユウスケは要領がよくなってきてる。
正直言って、筋はいいと思う。
でも…なんだろう?この気持ち…。
「ユウスケはユウスケなんだから!
それで十分だよ♪」
カラ元気。
なんだか元気が出ない…。
「ユウスケは何か聞きたいことある?」
「そうだな…なんでモンスターが出てるかとか…。」
「うん、それはね…。」
…説明しても良いのか少し悩む。
話すことで、ユウスケが変わっちゃいそうな気がして…。
「魔王を倒したんだけど、裏エンディングになったせいで、
なんかイレギュラーが起きてるみたい。
それと、私がこっちの世界に来て、
世界の境界が不安定になって…。」
「…そうかぁ…。」
ユウスケは難しい顔をしている。
…ダメだ…。
またユウスケに負担を与えちゃう…。
「…ねぇ…ユウスケのせいじゃないからね?」
「そんなことない!僕にも責任がある!」
ユウスケは私に真剣な目で見つめる。
責任…そうじゃないよ…。
私が言ってた責任って…。
「ううん。
これは私の責任なの。
こっちから見ると異世界の…私の世界の事だから…。」
「そんなことない!
リノンの責任は僕の責任でもあるんだ!!」
ユウスケが強く説得してくる。
…ううん。
違うの。
私はこんなことを話したいわけじゃないの…。
「…次で終わりにしよ?
これは私の問題だから…。」
「いや、僕の問題でもあるから!!」
…ユウスケ…優しいな…。
でもね。
ちょっと違うよ…。
私は…いつものユウスケでいてほしいだけ。
ユウスケが変わってしまうのが怖いだけ…。
…なんだろう…この気持ち…。
気持ちの整理が上手くできないなぁ…。
「でも、今日はこれでおしまいね。
そろそろ来るよ!!」
あ~あ…。
私の異世界のはざまデート作戦は失敗かな…。
そもそも、なんでこんなことしたんだろう…。
私の後悔とは裏腹に世界は変わってゆく。