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リノンの現実

僕たちはまた異世界のはざまに呼び出される。

次も…僕はリノンの足手まといにならないように…。


「次はね…洞窟で遭遇したモンスターなの。」


リノンはうつむいたまま、ぼそりと言う。

そういえば、日記では書いてくれなかったところだな…。

リノンに嫉妬されて…。


「なんか、日記思い出しちゃった。」


僕は微笑みながらリノンに言う。


「…。」


なんだかリノンは元気がない。

こういう時は僕が倒さないと!

モンスターの方をうかがう。

岩のようなモンスターが1体、

ヤマアラシのようなモンスターが2体。


「日記では聞けなかったところだね。」

「…。」


とりあえず、今は戦闘が先だ!

僕はヤマアラシのモンスターにめがけて

ファイアの魔法を放つ。


「ギヤァァァ!!」


モンスターは焦げた匂いを放ちながら、

倒れる。

次は…岩のモンスターだ!


「うりゃぁぁぁ!!」


僕は杖で殴りかかる。


「カキィン!!」


さすがに固い。

岩だけに、炎は効かなそうだし…。

氷はどうだろうか。


「ドスッ!!」


岩のモンスターが僕に体当たりを仕掛ける。


「ぐっ!!」


僕にダメージが入る。

プチデビルよりは数段強い。

僕は痛みをこらえながら、アイスの魔法を唱える。


「!?」


岩のモンスターが凍り付く。

もう一度僕は思いっきり杖を振りぬく。


「どうだ!!!」

「カキィン!!」


やっぱり固い。

まだ倒せないでいる。

次にはヤマアラシのモンスターが、

トゲを僕にめがけて打ち込んでくる。


「くっ!!」


トゲは僕に刺さり、そこから血が流れる。

…そうだ、これはゲームではない。

リノンにとっての現実なんだ。

リノンは…いつもこんなことをしてたんだ…。

日記ではこんなこと言ってなかったのに…。

毎日が命を懸けて戦ってたのか…。

そう思うと、やっぱりリノンはすごい。


「負けてられない!!」


僕はファイアの魔法を唱える。

ヤマアラシのモンスターに当たり、焦げた匂いを放つ。

…リノン…毎日こんなことしてたんだね…。

やっぱり…すごいよ…。


「とぅ!!!」


そして、僕は岩のモンスターにトドメをさす。

モンスターは砕け散り、僕にその破片が降り注ぐ。

…そうだ、傷をいやしておかなきゃ…。

僕は回復魔法で、自分の傷を治す。


「リノン、終わったよ。」

「うん…。」


やっぱり元気がない。

戻ったら、励ましてあげなきゃ。


そして、僕たちはまた現実に戻っていく。

…本当はこっちも現実だけどね。

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