親友には彼女できた事、伝えよう。
昨日は夢見がちだったけど、今日はしっかり集中する。
…リノンが来たことが実感できなかったけど…。
今日はもう家族になったって気がする。
でも、僕がいない間、リノンは何してるんだろう?
帰ったら、今日の事も聞いてみたいな…。
休み時間になり、スマホの電源を入れる。
リノンからLINEが来てた。
「ユウスケの音楽聞いてたー。
覚えたらカラオケ行こうね!」
僕はLINEを返そうと…。
「お、雄介、彼女でもできたのか?」
大樹が話しかけてくる。
幼馴染で下の名前で呼び合ってる仲だ。
大樹には話しとこう…。
「…大樹、お前だけには話しとく…。
複雑な事情だったけど、彼女できたよ…。」
「おー、彼女か!」
「声大きいって!!!」
クラスが一瞬静まる。
「うそうそ!!冗談冗談!!」
クラスの雰囲気が元に戻る。
…ごまかせた…。
大樹に耳打ちする。
「彼女が出来たのは本当だよ。
大樹には一番に紹介するから…。
最近、なかなか遊びに行けなくてごめんな…。」
「ううん、雄介に彼女ができたって、
自分の事のようにうれしいよ!!
だって雄介、女に興味なさそうだったし…。」
なぜか大樹が涙ぐむ。
おいおい…僕ってそこまでひどかったか?
「詳しいことは、紹介する時に話すよ。
今は隠しておきたいんだ…。」
「わかったよ。待ってるからな!」
そして、LINEを返す。
「うん、覚えて、カラオケ行こうね」
授業が終わり、僕は大樹に軽く礼をしてから教室を出る。
リノンが待つ家へと、心なし足早に帰宅する。