一緒にお風呂!?
僕は脱衣所に居た。
リノンと……またかぶってしまった……。
まだ、リノンが居る生活に慣れてないのかな……。
どうも癖で、この時間に入ろうとしてしまう。
……別に、リノンの裸、見たいわけじゃないんだから!!
「ねぇ、ユウスケ……」
リノンがいつもより、声のトーンを落として、風呂場から話しかける。
「怒ってる?」
「ううん。全然」
怒ってないようで、僕は一安心する。
「どうしたの?」
「お風呂……一緒に入ってくれない?」
「な、なっ!!」
僕は戸惑う。
お風呂? 一緒に??
「今日はお風呂湧いてるから……。背中合わせで……」
僕は返事に困る。
一緒にって……。
「……恥ずかしい?」
リノンから。
いや、恥ずかしいに決まってる!!
でも……。
リノンの声がいつもより寂しそうに聞こえる。
「……いいよ」
「ありがとう。体洗う時、見ないようにするから、安心して?」
若干。
若干、会話が逆のような気もしなくもないけど。
僕は、勇気を振り絞って、浴室に入る。
そして、体を洗う。
リノンは、反対側を向いているようだ。
「入るよ」
「うん」
僕は、リノンと背中合わせで、入る。
「ありがとう……」
リノンの声のトーンがまだ低い。
狭い浴槽なので、背中はリノンとくっつく。
お風呂の中でも……体温は伝わってくる。
「ねぇ、ユウスケ」
「なに?」
「私がモンスター連れてきちゃったけど、迷惑じゃない?」
そんな……迷惑なんて……。
リノンはそんなことで悩んでたのか……。
「全然だよ。リノンの世界がわかって、僕も嬉しいよ」
背中合わせのまま、僕は答える。
「僕も望んだことだから……」
そう、僕はリノンと一緒に居たいと願った。
そして、今はその願いが叶ったんだから。
僕の……大切な……。
「ねぇ、ユウスケ」
「なに?」
「私の事、好き?」
……!?
このシチュエーションで聞く!?
「うん……大好きだよ……」
「私もだから……」
背中から伝わる体温……。
「私、私の世界には帰りたいと思ってないから。ユウスケとずっと一緒に居たい。それが願いで、叶ったんだから」
リノンは、僕が考えてたことを、読み取ったかのように言う。
「あはは……私、少しのぼせちゃった。先上がるね」
「うん、僕も見ないようにするから、安心して?」
「ふ~ん……私は見られても平気なんだけどなぁ……」
リノンはちょっと意地悪そうに言う。
「ね、眠れなくなるから!!」
「私は、その方が嬉しいんだけどなぁ……。まぁ、良いか」
ザバッと浴槽からリノンは飛び出ると、体をシャワーで流して、浴槽を後にする。
この後、僕はのぼせてしまったのは、言うまでもない。
お風呂にも、そして……。