鯛の尾頭付き♪
私たちの話しがひと段落したところで、お母さんの声がかかる。
「二人ともご飯よ!」
「「はーい」」
私はユウスケと一緒に声を返す。
そして、食卓のある部屋に向かう。
食卓に着き、挨拶をする。
「「いただきます!」」
「今日はリノンの合格祝いよ!」
机の上を見ると、大きなお魚が乗っていた。
「わぁ! 大きなお魚ですね!」
「ええ、これは鯛と言って、おめでたい時に食べるお魚よ? 奮発したのよ」
そういうと、お母さんは大きなお魚を取り分けようとする。
「あ、いいです、私がやりますから」
「いいのよ? 今日はリノンが主役なんだから」
私が取り分けるの止めようとするとけど、お母さんはそれを制止する。
私は、お言葉に甘えることにした。
「はい、リノン」
「ありがとうございます!」
お皿には、取り分けられたお魚が乗っている。
私はその魚を口にする。
いい塩加減、そして魚の甘みが口に広がる。
「とてもおいしいです!」
「よかった! たくさん食べてね」
私は思わずお代わりをしてしまう。
「リノンさん、今日はおめでとう」
「ありがとうございます!」
「明日は、学校の道具揃えに行くからね」
「はーい」
お父さんとお母さん。私の合格を祝ってくれる。
明日は学校の道具買い出しかぁ……。
ユウスケと同じ制服着れるのかな?
「それと、お花見はどうだったかしら?」
「とてもきれいでした!」
「あ、母さん、大樹におごってもらっちゃったから、お金返すよ」
「いいのよ? 今度、リノンとデートする時にでも使って?」
デートと言う言葉に、私の顔は赤くなる。
ユウスケ……連れてってくれるかな?
ちらっと、ユウスケを見る。
ユウスケは、わざと私から目をそらし、ご飯を食べる。
「「ごちそうさまでした」」
ユウスケと一緒に挨拶。
……お魚は、結局私が一人で食べたような……。
おいしかったなぁ……。
そう考えながら、私はお風呂の準備をする。
「今日は、お風呂沸かしてるから、ゆっくりしてね」
「はーい」
お母さんに言われて、お風呂場に行く。
服を脱ぎ、お風呂場に入って、体を洗う。
そして、浴槽に浸かる。
今日の事を思い出しながら……。
「ダイキさん……巻き込んじゃったなぁ……」
私は、一人、浴槽でつぶやく。
本当に良かったのだろうか?
こっちの世界に来てしまって……迷惑かけてないだろうか?
ユウスケはああいってくれたけど……。
「……」
でも、こっちの世界に来た以上は、私のやれることはやらないと……。
せっかく……願いを叶えてもらって……ユウスケと入れるのであれば……。
「シルビィにも協力してもらって、こっちのモンスター、退治しなきゃ」
私は、心の中で、そう決めた。
こっちの世界でも……平和を取り戻して。
そして……そして……。
「カチャン」
扉が開く音。
扉の方向を見ると、ユウスケが居た。
裸姿で……。
「きゃうん!」
「ご、ゴメン!!」
ユウスケは勢いよく、浴室から出ていった。