……女の子とエンカウントしたら、許さないから……。
私たちは家の前に。
玄関の扉を開け、二人そろって挨拶をする。
「「ただいま」」
「おかえり、二人とも」
家に帰ると、お母さんが出迎えてくれる。
「お花見、どうだった?」
「とっても奇麗でした!」
「そう、よかったわね」
お母さんが優しく微笑む。
私は部屋に荷物を置いて、ユウスケの部屋に行く。
「ユウスケ!」
「リノン……」
しばし、沈黙。
「どうしたの? リノン?」
「ううん。なんでも!」
う~ん、何から話そう……。
「ダイキさん、良い人ね」
「うん、僕たちの事、すぐに受け止めてくれたよね」
……なかなか、本題が切り出せない。
どうしよう……。
「リノン」
「なに?」
「これからの事なんだけど……」
ユウスケが深刻な顔で、考え込む。
「私たちの将来?」
「ち、ちがっ!」
ユウスケの顔が赤くなる。
可愛いなぁ……って、そうじゃなく。
「モンスターの事ね」
「うん、そう……大樹を巻き込んじゃったし……」
ユウスケは、また深刻な顔をする。
「大丈夫だよ。多分」
「そう……かな?」
「うん、私が付いてるから♪」
確かに、ダイキさんを巻き込んだのは、私の責任。
ユウスケに考え込んで欲しくない。
「ユウスケは、きっと私とつながってるから、エンカウントしたんだと思う。
ダイキさんは、レベルも低いし、私とのつながりも少ないから、大丈夫だよ」
……本当はよくわかってない。
けど、ユウスケ一人がエンカウントしたのは、私の誤算。
なんで一人でエンカウントしてしまったか、調べてもらわないと……。
「不安なら、シルビィに聞いてみる?」
「うん……」
そういって、私はシルビィの交換日記を取り出す。
・・・・・・
シルビィへ。
なんで、ユウスケだけでもモンスターとエンカウントしたか、理由分かった?
そして、ダイキさんだけが、エンカウントする事ってある?
リノンより。
・・・・・・
日記が光る。
少ししてから、また日記が光りだす。
シルビィ……なんでそんなに早く、返事返せるかなぁ……。
・・・・・・
お姉ちゃんへ。
天使様と話ししてたんだけど、やっぱり日記の影響大きいんじゃないかなって。
だから、お兄ちゃんはエンカウントしちゃう可能性は高いの。
でも、ダイキさんは、日記とはかかわり薄いから、レベルがとても上がらない限りは、大丈夫じゃないかなって。
一応、こっちでも抑えつけてるから、お兄ちゃんだけの時にエンカウントはさせないようにするね。
シルビィより。
・・・・・・
「だって」
「そうかぁ……」
考え込むユウスケ。
「ダイキの時もそうだったけど、僕に触れなければ、エンカウントに巻き込まなかったと思う。だから、あまり触れられないようにした方が、いいのかな?」
「そうね。って、ユウスケそんなに、触れられることあるの?」
私は、殺気を醸し出す。
「い、いや、ないない! 大樹ぐらいだから、気安く触れてくるの」
「本当に?」
「本当、本当!」
ユウスケは困惑してる。
もう少し、イジメておこっと。
「もし……女の子がエンカウントに巻き込まれたら……」
「……たら?」
「異世界の間でどうなるか、しっかり覚えててね?」
「は、はい!! でも、絶対無いから!」
たじろぐユウスケ。
うん、このくらいにしておこ。
「うん、信じるね♪」
「うん、信じてね!」
釘も刺したし、この辺で。
「じゃあ……ダイキさんの事だけど……」
「うん」
こうして、話の本題に入る。