No.0-2 涙
«あー、まだ話してなかったか……長くなるかもしれないけど大丈夫?»
«まず、向こうの世界には魔法があって、魔法を使うためには魔素が必要なんだ。ここまでは大丈夫?»
「はい……。」
魔物とか魔法とか、向こうの世界はファンタジーだなぁ。
«うん。じゃあ、続きを話すよ。魔法には魔素が必要だって言ったけど、魔素っていうのは大気に含まれてていて、魔素のままでは魔法は使えないんだ。だから、体外の魔素を魔力というのに変換して体内に取り込んで使うんだ。理解出来てる?»
「はい。」
なんとなくだけど。
«ならよかった。で、この世界では魔法以外の技術が全く発展していないんだ。魔法があればなんとか出来たからね。でも、今、この世界では魔素がとても少なくなってきているんだ。だから、君にダンジョンを作って欲しかったんだ。»
「魔素が少なくなってどうしてダンジョンがひつようなんですか?」
«ダンジョンというより魔物が必要なんだ。当たり前だけど魔素は使ったら減る。で、その減った魔素を補充する役割を担っているのが魔物なんだ。»
「魔物が魔素を補充するっていうのはわかったけど、普通の魔物はいないんですか?」
«前はたくさんの魔物がいた。でも、ほとんどが殺されてしまったんだ。»
「人々は魔素が魔物によってもたらされていることをしらないんですか?」
«しっていたんだ。だから人類種と魔物は共存していた。だけど、魔物は強すぎた。はじめは小さな差別だった。そこから差別は大きくなって人類種は魔物を敵とみなすようになり魔物達を次々と殺していった。»
「魔物達は、反撃しなかったんですか!?強いんですよね!?」
«もちろん、魔物達も抵抗した。けど、元々人類種より圧倒的に数が少なかった魔物はどんどん数が減っていった。だから残った魔物達は逃走を決意した。命からがら逃げてきた魔物達は少しずつだけど数を増やしていたんだ。でも、この前ひとつの国が勇者召喚に成功して魔物を一掃させたんだ。»
ひどい、魔物達は何もしていないのに……!
«……君はほんとに優しい子だね。»
神様に目元を拭かれ、涙が出ていたことに気づいた。
「私は……優しく、なんかっ……!」
神様が私を抱きしめた。
«よしよし……わかってるよ。だから、今は泣きなさい。»
その言葉に涙が止まらなくなった。
ひとしきり泣いたら、眠気がやってきた。
«おやすみ。»
神様、イケメンですらいむ。
すらいむいち