No.0-1 神様
数時間前……
何も無い、真っ白な場所で目を覚ます。
ここは……?
キョロキョロしていると、突然男の子が現れた。
«こんにちは、日向 楓ちゃん。»
日向 楓…………私の名前だ。
「こ、こんにちは?あ、あのここは……?」
«うん。ここは、神の間。楓ちゃん、きみはしんじゃったんだ。»
し、んだ?
「私、し、死んだの?」
«そうだよ。覚えてないかい?»
「な、何が何だか……」
«ちょっと待ってね。んー、えいっ!»
そう言って男の子が手を振りかざすと一気に記憶が蘇る。
「っ!?」
そうだ……私、車に、ひかれたんだ。
高校から帰る途中の横断歩道。
信号が青に変わり、ピンクのランドセルを背負った女の子が勢いよく飛び出し、私も歩き出した。
そのとき、トラックがスピードを殺さずこちらに突っ込んでこようとしているのが見えた。
私はすぐに気づいて逃げようとした。
でも、女の子はまだ気付いていなかった。
トラックは、女の子のすぐそばだった。
私は気がついたら走り出していて、女の子を突き飛ばした。
その瞬間、前身に激痛がはしり視界が真っ暗になった。
そして、起きたらここにいた。
それを思い出したら、いてもたってもいられなくない、男の子につめよった。
「ねぇ!あの子は!あの子はどうなったの!?」
«君が、救ってくれた女の子かい?あの子なら大丈夫だよ。大きな怪我もなく、病院で寝ているよ。»
「そっか…………よかった。」
«……君は、面白い子だね。自分より、人の心配なんだね。あのときも、命を落としてまであの子を救うなんて。»
「へ?そんなの当たり前じゃないですか!幼い子供を守るのは大人の役目ですから!」
そう言うと、男の子は少し驚いたような顔をする。
«君は……優しいんだね。»
優しい?私が?
«あの、私は優しくなんかないですよ。あの子を助けれたのは体が勝手に動いたからで、私が死んじゃったなら私が助けたあの子には生きていてほしいって思ったからだし。»
«クスクス……それが優しいっていうんだよ。»
「え?どこらへんがですか?」
ほんとに、どこだ?
«フフフ…まぁ、いいよ。それで、これからの話をしたいんだけど大丈夫かい?»
これから……あ、私死んじゃったんだった。
「えと、私はどうなるんでしょう?というか、あなたは……」
神様ですか、と聞く前に……
«神だよ。僕は、創造神名前はないよ。»
「ほ、ほんとに神様なんですね……」
«うん、そだよ。それで、君がこれからどうなるかだけど、君には2つ選択肢がある。1つ目は、記憶をなくして地球にまた転生する。2つ目は、記憶はそのままで所詮異世界ってやつに行く。»
「異世界って小説とかの?」
«そう、それ。こっちはいわゆるチート?っていうやつもある。まぁ、ちょっと条件があるけど。»
小説やん……。
「チートも小説によくあるやつですか?」
«そう、そういうやつ。だから僕はこっちの方がいいと思うな。»
うーん( ˘•ω•˘ ).。oஇ
「あの、条件って?」
«あー、それはねぇ…魔王になって欲しいんだよね。»
へ?
「魔王って……」
«あ、魔王って言っても悪さをする訳じゃなくて、ダンジョンを作って欲しいんだ。»
「だ、ダンジョンって魔物とかがいっぱい居るやつですか?」
«そう、そういうやつ。»
なら……
「私にはできませんよ。だって魔物を従えるなんてできるはずないじゃないですか。」
«いや、大丈夫だから!魔王になったら自分で魔物をつくれるし、つくった魔物は魔王に忠誠を誓うから。»
そうなのか。
でも……
「あの、決める前にどうして魔王になってダンジョンを作って欲しいのか、教えてください。」
«あー、まだ話してなかったか……長くなるかもしれないけど大丈夫?»
「はい、大丈夫です。」