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デュシャンの妄想

作者: 猫路
掲載日:2017/12/16

「おい、デュシャン、またチェスやってるのかい」

「アートは破壊した」

「え、なに?」

「チェックメイト、勝った」

「マサルは元気か」

「んー、彼はまたタイムトリップを楽しんでるようだ」

デュシャンはそう言い残すとマサルのもとへ向かった。ドアのベルを鳴らし、マサルが経営しているドラッグ店に入った。医者の経験を持つマサルである。デュシャンはいつもマウンテンビューというドラッグを買っていた。

“あなたの妄想はひねくれた想像力だ”

とマウンテンビューの瓶の裏に書いてある。

マサルは留守だったが、代わりに若い女がいた。

「よう、マリナ」

「マサルくんね、遠く未来まで研究に行ったのよ、いけない事とは?と私に言ってきて、何?って返したら出て行ったのよ」

「いけないクスリでも作るのか」

「そうとも考えられるわね」

「またいけない妄想でもするか」


これはまたクスリのお陰か…。とてもいけてる型だ。

便器にサインを貰い、「泉」と名づけ、面白くもなく可笑しい妄想にふけながら説明をし続けた。

「これは楽園とも言えよう」


ガラガラと電話が鳴り、デュシャンは受話器を手に取った。

「オレ、成功した」

「そう、何がかね」

「新、自分破壊機」

「何を言っている、騒々しい」

とデュシャンは吹いてしまった。

「帰る」

とマサルはガチャンと大きな音で電話を切った。

何だ、デュシャンはソファーに腰掛け、母の写真を眺めた、んー、魅惑な母の姿を父は誰よりも愛していた。

“それは一匹の犬だ”


「やあ、マサル、何を考えついたのかね」

「見たことのない王子と聞いたことのある王女だよ」

「そうそう、デュシャン、まともにドラッグ依存、ナチュラルなハイだって不可能はないはずだと」

「心の痛み止にすぎん」

「だよね、これ」

とマサルが2つの大小の瓶を取り出した。

「どっち飲みます?」

「やあ、小さい方かな」

「キャットハイという薬、オレもお気に入り」

「猫になれるだけでなく猫並みに自由な気分になれる薬だ」

デュシャンはビンの薬を飲み干すと、猫の姿に変わった。

「ペルシャンか、渋いね」

「本当か」

デュシャンは猫のまま自由気ままにゴロゴロし始めた。デュシャンは家を出ると若い女二人が庭先で揉めていた。

んんん?とデュシャン首を傾げると白猫のメスが近寄ってきた。

「私ね、あの二人のお姉さんが拾ってくれたんだけど、妹が猫嫌いなのよ」

「引っ越して来たおとなりさん?まあ、良かったら僕の家へ来ません?」

「私は誰だと思う?」

「マリナか?」

「当たり、よくわかったね」

「勘だよ」

「昔、猫を飼っていたの?」

「そうだけど…」

「やあ、マリナとデュシャン」

とソファーに腰かけるマサルが居た。

「おう、帰ってきた」

「デュシャン、精神的破壊能力があるのは誰だ?」

「さて、誰だ?」

「隣に引っ越してきた姉だ」

「え?」

「それはどうゆうことだね」


「ギャー‼」

「ナゥリー!どうしたの?」

「お姉さんのバカ!」


「相当やばい破壊能力」

とマサルはニタッとした。

「何のためだ?」

「アートは破壊ではなくて?デュシャン」

「猫になれば安全だ」

「そういえば、大きいビンには何が入っていたんだ?」

「姉のようになるのさ」

「やっぱりな」

「俺はここに住むからよろしく」

「もう、勝手だな!」

「私も居るわ」


妹がデュシャンの家の前に来た、クククククッと笑いながら窓を覗いた。

「姉の好きな愛しの猫ちゃん、私をいじめるがいい」

と笑いながら歌った。

妹は石を窓に投げつけたがヒビが入っただけで割れなかった。

姉妹の親がマサルへ謝りに来たがマサルは、「金は不要だ」と言うだけで家のドアを閉めた。

「何故、割れなかったのかね」

「強化シートを貼っておいた」

「んー、未来は凄いな」

「親も今後、姉によって精神が破壊するだろう、その薬は1回服用にて1週間相手に左右される」

「ヤバい薬ね」

とマリナは体を箱形にし、うとうとし始めた。


「で、どうすれば人間に戻る?」

「専用のミルクをどうぞ」

とマサルが皿にミルクを注ぎ、デュシャンに与えた。人間に戻ったデュシャンはマサルに問うた。

「何故、人のブラックゾーンに入り込むんだね?」

「何故って、時空をおもちゃにしてるだけさ」

「最低ですごく力のある言葉ね」

とマリナが笑った。

「マウンテンビューだけに山が望めるってこと」


デュシャンはハッと目を覚ますと隣に例の妹が座っていた。

「デュシャンおじちゃん、おはよう」


ーマウンテンビューだけに言わせれば、表はあなたの妄想はひねくれた妄想だ、裏はあなたを壮大な世界に連れてってあげる、ー


デュシャンはまた目を閉じた。

妹は「おやすみ、デュシャン」と笑顔で頭をさすった。


ーあなたが大好きな壮大な世界に連れてってあげる、ー


「デュシャン起きて!」と人間のマリナが叩き起こした。

「どうした、いたた」

「姉が自殺を図ろうとしてるの」

「え、さっき妹が」


「ピストルを離さないか!」

「お願い、やめて」

「私は妹狂わせだ!」

庭先で騒ぎになっていた。


「こりゃあ、ミステリーだ、姉は薬を飲んだからと言って自殺を図ろうとしているんだ、妹は暴れるし」

「ドラッグか?たしか、デュシャンが…、マサルじゃないか?」


「ああ、マサルだ、まちがいない、自爆薬を飲んだ研究員もいたようだ」

「本当か?」

「未来の人だ、逮捕もできん」


「自爆薬ってなんだ?マサル」

「へ?ああ、バカな研究員が飲んだんだ」

「それで?」

「僕は死んだそいつを量子的に復元した」

「そうか、分からないが僕はうとうとしたままか?」

「素直に妄想したら良いのに、疲れたんだよ」

「じゃあ、気球の旅にするかな」

「おやすみなさい」


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