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スポンサーズ! 〜出演するだけで5千万円もらえるリアリティ番組が全然テ◯スハウスじゃなかった件〜  作者: キグルミ100パーセント
三日目・四日目 ~どうでもいいけど、七転び八起きって一回多くない?~
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正義感?


 翌日、密島はテントから出るなり、大きな欠伸をした。


〈眠そうですね〉

「早起きしたからな」


 密島の手にはマウンテンバイクのサドルが二つ握られていた。

 これは早朝、ゲーム開始直後に昨日笠原と一緒にいた残り二人のテントまで行き、持ってきたものだ。


〈でも、サドルなんて持ってきちゃって〉

「自転車で追いかけられるのは意外とこわいんだ。それにほかのプレイヤーからサドルを盗むなっていうルールはない」

〈またそんな屁理屈言って〉


 密島に言わせれば油断してる方が悪いのだ。いくらテントが狭いからといって、外に置きっぱなしはないだろう。


「それにまた注文すればいいだけだろう、金ならいくらでもあるんだから」

〈やっぱりサドルだけ注文するんでしょうか〉


 DTと軽口を叩き合っていると、前方からなにやら騒ぎ声が聞こえた。木の陰に隠れながらこっそり近寄ると、そこにいたのは笠原と昨日の二人のプレイヤーだった。


「笠原さんさ、どうして昨日、穴の中で密島とずっと一緒にいたのに、あいつを撃たなかったんですか? 狙う機会ならいくらでもあったでしょう」

「で、でも密島さんはあのとき怪我をしていて……」

「たいした怪我じゃないでしょう。今日だってぴんぴんして森の中走り回ってるんだから。まったく、これだから人のいいボンボンは」

「す、すみません」


 笠原が二人に向かって謝ると、黒縁メガネをかけた青年がギロリと睨んだ。


「ヘラヘラしないでもらえます?」

「あ、いや」

「笠原さんさ、俺たちみたいな人間のことをどうせバカにしてるんでしょ? 父親のコネでのんきに生きてきた苦労知らずのくせにさぁ」


 手は出していないようだが、笠原は明らかに委縮していた。一方、怒鳴り声をあげている方は見るからに小物だ。

 密島が立ち止まってしばらく様子を見ていると、DTがそっとつぶやいた。


〈みっちゃん、もしかして笠原さんを助けようなんて考えてませんよね?〉

「正直、下手に面倒ごとに首を突っ込むのもどうかなとは思ってる」


 DTが何も答えないので、密島は肩透かしを食らったような気分になった。てっきり、いつものように〈笠原さんを助けて、『いいね』をたくさんもらいましょうねっ〉などという返事が返ってくるのかと思っていたのだ。

 そう言うと、DTは

〈リスクの問題です〉

 と冷静な口調で答えた。


〈ここで笠原さんを見捨ててもみっちゃんは何の損もしませんが、カードを奪われたらまた一からやり直しです。それよりわたしはむしろ、笠原さんに八つ当たりをしている二人のプレイヤーの方が気になりますね。彼らは明らかに自身の「いいね」の減少を誘発するであろう行為をしています〉

「後藤田といい、人間、金が絡めばあんなもんだよ。むしろ今までがお行儀が良すぎたくらいだ。だけど、視聴者投票があるから、ある程度の秩序が守られてたんだ。それが無視され始めたら、やばいな」

〈助けますか、笠原さんを〉

「いいかな?」

〈……DTは常にみっちゃんの決定を尊重し、全面的にバックアップします〉


 木の陰から飛び出しながら、密島はほほ笑んだ。


「ありがとう、相棒」


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