10:プレイヤーたち
人数は自分を入れて十二人。そのうち九人が男で女は三人。年齢層はバラバラだが、二十代と三十代が主で、一番若い御堂のほかに十代はいないようだと推測する。
そのとき、なごやかな空気が一変した。
「エースって男は何してるんだ?」
一人の男が血走った鋭い目つきで、苛立ったように地面の石を蹴った。
「こんなに長く待たせやがって」
「まあまあ後藤田さん、番組スタッフにもいろいろと準備があるんでしょう。互いの親睦を深めながら、もう少し待つとしましょう」
男を宥めるように、比留間が言った。後藤田と呼ばれた男は比留間に一瞥をくれたが、特に何も言わなかった。
「あなたは去年、この番組に出演し、優勝したんですよね?」
「そうだが」
「本当に五億をもらって、それを一年間で使い切ったんですか?」
そのとき、比留間の発した「五億円」という言葉に、その場にいた全員がビクリと反応した。
全員の視線が後藤田に集まっていた。誰もが固唾をのんで、後藤田の発言を注視している。
「……そうだ。俺は五億をもらい、そして全部使いきってやった。そして今日また、五億をもらいにきた」
「だったら、去年の話を聞かせてくれませんか。去年とルールが同じとは限らないが、できるだけ事前に情報を集めておきたい。みんなもそうでしょう?」
比留間の言葉に、参加者たちが頷く。だが後藤田は、無精髭の生えた顎をさすり、
「嫌だね」
とせせら笑った。
「現状、去年一度ゲームに参加している俺がこの中で一番有利なんだ。その自分が有利な状況をむざむざ壊すわけがないだろう?」
たしかに後藤田の言うことはもっともだった。もし自分が後藤田の立場なら、誰だってそんな自分の首を絞めるような馬鹿な真似はしないだろう。
ほかの参加者たちもそう思ったのか、それとも言っても無駄だと思ったのか、特に声を上げる者はいなかった。
五億円をめぐる戦いはすでに始まっているのかもしれない。
そう思ったとき、どこからかドラムロールの音が聞こえた。




