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女王の密室遊戯  作者: なつ
第一章 高き所、すなわち、世界の中心で
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第一話

 簡単な機械音の後で僕は立ち上がる。視界はクリアになり、瞬時に世界の様子が認識できるようになる。これは僕のパートナーであるミツキが見ている映像だ。彼が見ている世界をそのままこちらに転送している。だから、彼が見ているものを僕も見ることができる。単純な原理だ。だけど、人間の視界とは違う。彼らの認識の世界は、ここに映しだされている視界とはまるで異なっている。あまりにも多くの情報は、彼らにとって無駄でしかない。だから排除されてしまう。ミツキが見ている映像だけど、ミツキが視ている世界ではない。

 分かってもらえるか分からないけれど、僕にとってその微妙な差が、今回の原因なんじゃないかなって思う。つまり、ミツキと僕の解釈が相違したんだ。うん、相違。この言葉の響きは好きだな。多分ミツキは笑うだろうけど。

 それで、同じ状況を見て、同じ状況を観測したんだけど、それなのに僕と僕のパートナーの意見が相違してしまったんだ。案外今までは認識の違いでも意見の相違なんて起きなかったんだけどね。まぁ、とにかくそれだけこの事。

 僕は、僕が正しいと首長したいわけじゃない。僕のパートナーの意見だって、十分に理解できるものなんだ。この問題は、正解を出さなければならないのかもしれないけれど、もう確かめようもないし、世の中そんなに都合良く出来ているわけじゃない。

 ああ、それは嘘だな。

 確かめようと思えば、確かめられるかな。

 ただ、それほどのエナジーを使うべきか、そこが問題なんだ、結局。

 これって、シェークスピアっぽくない?

 エナジーを使えば、あの状況と同じ環境を作り出すことができる。不確定要素だって、それは人間の認識出来る世界が限られているから不確定に感じるだけなんだ。僕の演算能力を用いれば、ほとんど同じ環境を再現できる自信がある。だから、その状況下で何が起きるのかをもう一度観察すればいい。

 物理的なエナジーを利用したってもちろん構わないけどね。

 まぁいいや。

 とにかく、今からその状況について順を追って説明しようと思う。それで僕はどちらの意見が正しそうなのか、判断して欲しいんだ。ただそれだけさ。

 悪く無い話だろ?


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