部屋と涙
仁に連れられて、階段を上がる。電気がついていないので、少し暗く感じ、杏奈は少し不安を覚えた。
階段を上り切ると、少し長めの廊下に、三つ扉が着いていた。その中の一つの扉は半開きになっている。仁はその半開きになっている扉の方へ歩き出した。
「ここだ」
杏奈もそちらへ近づき、扉を完全に開け、中を見た。広くも狭くもない部屋は、窓が一つとベッドが置いてあるだけだった。床も壁も何の変哲もないフローリング。使っていないという言葉から予想はしていたが、少し埃っぽい。とりあえず電気つ付けるスイッチを入れてみると、申し訳程度に裸電球がパチッと付いた。
「金持ちの娘」は不釣り合いな部屋だが、ここがお前の部屋だ。自由に使っていい
仁はそれだけ言うと部屋から出ていった。杏奈はとりあえず窓を開けて空気を入れ替える。その後ベッドにどさっと倒れ込み、堪えていた涙を精一杯流した。
「どうしよう......」
「で?なんでお前急にあいつここに住ませるって言ったわけ」
「うん、ちょっと気になった。あんたあーゆー子嫌いでしょ」
「ほっとけ。ただ......」
「ただ、何よ?」
「まさか、惚れたとか!?お前顔はあんなのが好みか」
「ちげーよ。ただ、そうした方がいい気がした」
「はぁ?何それ」
「まあ、仁の割と当たるからそうなのかもな」
「うーん、かもね」
とりあえず、プロローグ終わりです。
とにかくリアルが忙しくて殆ど書けてないです、本当に申し訳ない