消えないで
広場に戻ると、そこには先に帰っていたフレイに、ディニギルとユミアがいた。いや、しかいなかった、が正しいな。もう一人いるはずなんだが辺りを見回しても見当たらない。
そんなら聞くしかないよな。
「メリアは?」
「メリアちゃんは私が帰ってきたときにはもういなかったよ」
フレイが言う。
「メリアでしたら、フレイが帰ってくる少し前にどこかに行きましたよ」
「どこかって、どこだよ」
曖昧な風に言うユミアに向かって尋ねる。
「私にはわかりませんが……本人いわくソラならわかると思う、と」
「俺にはわかるだろう、って……あいつは俺が心を読めるとか思ってるんじゃないのか?」
「さあ。ただ、あなたは稀に人の心を読んでいることくらいは私にもわかりますよ」
「そんな事はないと思うぞ」
少なくともした覚えは無いな、うん。
「フレイがディニギルに斬りかかった時も、そうでないというんですか?」
「僕が自分が死ねば万事解決するかも、って思ってたときのことだね」
「いやだからそんな事はした覚えは……」
言いながらふと、考え付く。
――まあ、あれはディニギルの心を読んだというよりはディニギルのあの時の状況で考えそうなことを予想して……
そして結論に至る。
――ああ、うん。それを世間一般では心を読むって言うのかな?
「……あれ? てことは、俺は心を読むまがいのことをしてるのか?」
というより心を読むまがいって何だ? まあ意味は通じるかと思われるからいいんだけど。
「まあ、あなたが意図せずしてそういうことをしているのは前からわかっていたことです」
「え? なんで?」
ま、まさか! お前も心を読むまがいのことを出来るのか?
「前もこんな掛け合いをしましたから」
……なんとも。
「単純な理由だな」
「これほどの単純な理由と言いますと他に何がありますでしょう?」
「そうだなぁ」
聞かれて少し考えてみる。
「前に聞いた」
「それじゃあ意味が同じです」
「雨だったから」
「どこかへ遊びに行く約束でもしていたのですか?」
「腹減った」
「先程のパンは一部分がほんのり甘かったのでは?」
ユミアのその言葉に俺の目の端でディニギルが笑った。
「普通にさっき食べていただろって言ってくれよ!」
しかも甘くないし!
「というより、話が脇道にそれていますね?」
ああ、 確かに言うとおりだ。いつの間にやら単純な理由について適当に考えてしまっている。しかも話の本筋とはまったく関係ない。
「誰かさんのおかげでな」
「はて、誰でしょうか」
すっとぼけるユミアはともかく。
まあ、メリアがいるであろう場所に歩いて向かうとするか。
俺は歩き出す。
「あら? 先程は俺が心を読めると思っているのか、なんておっしゃっていましたよね」
「うっさい! ほっとけ!」
――川、小さな川。森の外にある川から分裂した小さな川。
「……懐かしいな」
もう、ずいぶん前のことだ。
私から見て左へ流れるこの川の河原で、ソラが血塗れの状態で死んだように眠っていたのは。
「ホントに、死んじゃってたのかと思ったもんね」
思い出しながら一人呟く。
まだ戦争中、私を育ててくれていた獣人に付いて行く形でこの森に来ていた時に、死んじゃいそうになってたソラを見つけた。あの時のソラはまだ魔物にやられたばかりだったから良かったけど、もし私が見つけなかったら本当に死んじゃっていたかもしれない。それくらいの傷だった。
ただ、ソラを一度治療し始めると驚きの回復力だった。私達が治療していなくても見ているだけでどんどん傷が癒えていた。
「……もう全部、前のことか」
呟き、そして実感する。
空と一緒に行動する間に、私は大きく成長した。いろいろな敵と戦って、いろいろなことを経験して、そして恋して。
それまでの人生の中で一番充実している時だった。出来ればもう一回経験してみたいと思うほど。つらい時もあったし、死んじゃいそうにもなった。
それでも、やっぱり一番楽しい時でもあった。
「これから、それ以上になるといいな」
そして、ソラが戻ってきたこれからは前よりもっと楽しい時を作りたい。
いや、多分そんな事思わなくても自然にそうなるかな。
ソラと一緒なら、きっと……
川、小さな川。かつて俺が守るため、そして死ぬために魔物と戦い、そしてメリアに助けられた場所。
案の定、そこにメリアはいた。ただ、今まで見たことの無いあいつの大人びた表情が、俺に声をかけることをためらわせた。
ただ、ここで待っていても構わないといえば構わないのだが出来ればまだ日が沈まないうちにレティスには着きたい。そして、そのためにはなるべく早く再出発したほうがいい。まあ、なら声をかけるしかないよな。
「メリア、こんなところで何してる」
声をかけると、メリアはこっちに向いて微笑んだ。そしてその笑顔にふと、ドキッとした。
……こやつめ、不覚にも可愛いと思ってしまったじゃないか。危ない危ない、そんなまやかしには……
いや違う今の嘘全部嘘。まやかしじゃないよメリアのかわいさは。別に全然不覚じゃないしむしろ絶対普遍の摂理じゃないか?
「ソラ。やっぱりここがわかったんだ」
俺の意図しているふざけた思考はさておき、メリアは俺を見てそう返してきた。
「いやまあ。正直言ってここじゃなかったらどこにいるのかわからなかったよ」
俺が言うとメリアは笑った。
「それにしてもよくここへの道を覚えてたね」
「まあ、別に覚えてたわけじゃないんだが。ここはお前たちがこの国に奇襲をかけるために森に潜伏していた時の水の補給場だったからな」
俺は言いながら、草に大分埋もれてしまっているが、何度も獣人が通った道、いわば獣道ならぬ獣人道を指した。ちなみに、そのときの奇襲は失敗した。まあ半分は俺のせいなんだけどね。
「多少草に遮られてわかり辛くなってたけど、まだまだ道としてはわかりやすかったからな」
「そっか」
言って、メリアは川を再び見る。
「……ソラと会ったのが、もう大体三年位前、だね」
「そうだな」
約二年前、俺はこの世界から元いた世界へと戻った。だが、その前に俺は約一年、この世界で過ごしている。
「……ねえ」
ふと、メリアが言った。
「ソラは、さ。元の世界に帰ってから、本当に一ヶ月くらいしか経ってないの?」
「ああ。ぴったりきっかり、とまでは言わないが、約一ヶ月だな」
「そっか」
メリアはそう返して、少しの間の後にこっちに向き直った。
「……私ね。ソラが帰った後、すごく寂しかった。もう三ヶ月くらい何をしたらいいのかわからなくなってた」
メリアは言いながら、そのときを思い出しているのか目に涙を浮かべ始めた。
「最初はね、それだけだったの。だけどそれからはずっと……悲しいって、思ってた。何で、わたっしっ、ソラを帰っ、らせちゃったんだろうって、何で……」
泣きながら途切れ途切れに言うメリア。その顔はさっきとは対極的でまるで幼い姿のメリアのような、そんな雰囲気の顔だった。
「とめっられなくてもっ、なんっでついていこうとしなかったのかって、ずっと……」
しゃくりに邪魔されながらメリアは俺を見て言う。
「私、悔やっんでた」
言って、メリアはしゃっくりを落ち着かせたいのだろう。ゆっくりと深呼吸し始めた。
少しして、メリアが落ち着いたのを見て俺は問いかける。
「……たとえ、俺と一緒に俺の世界に来たって、お前が幸せになれる保証なんてどこにもないよ」
「……そんなの、幸せで当たり前なんだよ。だって……自分の好きな人と、一緒にいられるんだよ? もし苦しいこととか大変なこととかあっても……私は、好きな人と一緒なら乗り越えられる」
そう、思うの、と。最後に呟くようにメリアは言った。
「…………」
「…………」
沈黙。メリアはずっと俯いたまま静かに泣いている。俺はそんなメリアを、ただぼそっと見ている。
こんな時の対処法がわからない。ここまで泣くメリアを、俺は前の一年の間に見たことが無かった。メリアからは、さっきまでの大きなしゃっくりではなく、小さく、堪えるようなしゃっくりが時偶響く。
ふと、俺はメリアの頭に手を伸ばす。昔はしゃがんで目線が同じになっていた。今も、覚醒を解けばそんなものなのだろうか?
考えながら金髪に手を置く。そしてそのまま、メリアの頭を撫でる。何でこういうことをしたのかはわからない。ただ、俺のせいで泣き続けているメリアを見ているのはしんどかった。どんな反応でもいい。泣き続けているのを見るよりはましだ。
「……ソラ」
「何だ?」
金髪のさらさら感を手に感じながら聞く。
「…………抱きしめても、いい?」
俺は答えない。ただ、頭を撫でる。
メリアは俺の答えを聞かないまま、ゆっくりと俺の後ろに手を回す。
「ソラ、私……今でもソラのこと、大好きだよ」
言って、メリアの腕が俺を抱きしめる。
「だから、もう私の前から消えないで」
「…………」
強く抱きしめられながら、俺はメリアを撫で続ける。
「……約束は出来ない」
俺がそう言うとメリアは俺の胸に顔をうずめ、さらに腕に力を入れる。
まるで、俺が消えてしまわないよう、繋ぎ止めようとしているかのように。
「約束、して。それまで、絶対離さないから」
そして涙声で、そう言ってきた。
そんなメリアに、俺は…………
「……んっ! えっ、ちょっ、ソラ?」
さっきまでメリアを撫でていた右手をそのまま右にずらし、メリアの狐耳に触れる。
「あ、あの、ソラ? えっと一体何を……」
そしてそのやわらかい耳を軽く握り、
「ひぃっ!? ソラッ、そこ敏感だからっ、だっめぇ……」
身を捩るメリアの耳を、そのまま……
「ソラぁ、今そうじゃなくて約そ……って痛い痛い痛いたたたっ!」
引っ張った。
「ちょっちょっちょっと離して!」
「お前が俺から離れるんなら離す」
「わかった離れるっ! 離れるから離して離してっ!」
俺が言われて離すと、メリアも自分で言ったとおり抱きつくのをやめた。
そして恨めしそうな視線でこっちを見る。
「まったく、約束してくれればいいのになんだって耳なんか引っ張るのよ! 痛かった! 千切れるかと思った!」
「いやそれは大丈夫だ。そんなに強く引っ張ってないから」
「そういう事じゃなくて! 耳は敏感なんだから少しの刺激でも気持ちよかったり痛かったりするんだよ!」
顔を赤くしながらメリアは説教じみた声で言った。
「知ってるよ? でもこうしないとお前離れてくれなさそうだったからさ」
「いやだから、約束してくれればよかったのに」
言われて俺は、深呼吸を一度して、
「これから俺の身に何が起こるかなんて、今の俺にはわからない。もしかしたら、数分後に魔物にやられて死んでしまうことだってありえるわけだよ。だから、約束は出来ない」
「でも――」
「だけど、な」
メリアを遮り、俺は言った。
「少なくとも俺は、これからもお前たちと一緒にいたいと思ってるよ」
確かに、二年前に俺はメリアに悲しい思いをさせてしまったのかもしれない。元の世界に帰る、ということはつまりはもうこの世界には戻ってこれない可能性の方が極めて高いということだ。何の因果か知らないが俺はこの世界に再び来ることが出来たわけなのだけれど、俺がこの世界に再び来ることが無かった場合はもうこの世界の皆とは接点がなくなるという事。そしてそれは、メリアは俺と二度と会うことは無いという事。それはきっと、俺のことを好いてくれるメリアにはとてもつらく、悲しいことなんだと思う。
だけど、俺は今この世界にいる。だから。
約束は出来なくても。
俺はお前の前から望んで姿を消したりはしないと。
そういう思いを込めて放った言葉は、
「……そっか。うん、そうだね。私も、ソラと……皆と一緒にいたい!」
メリアに伝わったようで、彼女は笑顔でそう言った。
「そういえば」
「うん?」
皆のところに帰る途中、メリアがふと切り出した。
「ソラって、あれだよね」
「何?」
俺が聞くとメリアは深呼吸をした。まるで何かを覚悟するかのように。
「ソラは…………おっぱいは大きいほうが好きだよね?」
………………うん?
「……一体何を言っているんでせうか?」
思わず立ち止まって聞いてしまった。
「だから、貧乳と巨乳なら巨乳の方が好きだよねって言う話」
……何で? 一体何でそんな事を聞くんだ?
「えっと……あのね? 私、二年で、その……ずいぶん大きくなったんだよ? おっぱい」
困惑する俺の心を読むかのように言ったメリア。そしてなぜ倒置法?
というか、正直に言わせて(思わせて、の方が正しい気がするけどまあ文法的にはこっちをよく見るしね?)もらうとそれはギルドで見た時から気付いてたよ。当たり前だよこれでもかと主張してきてって何考えとるんだ俺は!
「えっと、で……どうなのかな?」
少し恥ずかしそうに顔を赤くして聞くメリア。いやそんな風になるなら別に聞かなくてもよくない? というか俺も恥ずかしいから聞かなくてもよくね?
「あのっ! あくまで確認だからっ! 別に嫌なら言わなくても……あ、で、でもやっぱり気になる、のよ?」
結局どっちだ。
「つまり、何が聞きたい?」
俺が催促すると、再び深呼吸をして、メリアは言った。
真顔で。
「大きいおっぱいは好きですか?」
「ノーコメントだ」
いや、それを聞くのに真顔は無いと思うよ?
「そ、即答……しかも逃げられた」
いやまあ、俺に答える義理はないし、そもそも俺の性癖晒す必要もなしに。別に性癖という性癖は無いがな、うん……たぶん。
まあそれに、この質問には恐らくもう一つの意味がある。
「……お前、あれだろ。もし好きだって答えたらこの場で俺の事押し倒してナニでもするつもりだったか?」
「っ! ぜ、全然別にぃ~? そ、そんな事しようとなんてあれっぽっちも思ってないけど?」
「いや表に出すぎだよただ鎌掛けただけだってゆーのに」
俺が言うとメリアは数秒停止し、俯いた。
「ソラ、ひどいよ……」
「いやそもそもこんなこと考えてたお前も大概ひどいと思わね?」
俺が追い討ちのようにそう言うと、メリアはさらに沈んだ。背中に負のオーラみたいなのが見える気がする。
「……だ、だってさ? ソラ、昨日あった時だって全然私のことわからなかったし、抱きついても引っぺがされて、今日だって耳引っ張られて――――不安、だったの。私のこと、全然女の子として意識してないんじゃないかって」
……はっきり言って、それは杞憂だ。俺はただ表に出さないだけでメリアも、ユミアも、フランやフレイも皆、異性として認識している。ただそれを――
「表に出してちゃ、きりがないんだよ」
「え?」
「だから、メリアやユミア、フランやフレイ、その他の女子だって皆異性としては認識してるよ。ただ、それをいちいち表に出してリアクションばっかしてるときりがないって言ってるんだよ」
「……もしかして、私のこれって、要らない心配?」
「じゃあ一つ例を出そう」
俺はそういってメリアに向き直る。
「俺は前に言ったろ。『お前には俺より似合ってる人がいる』って」
「あ、正確には『もっとお前にあってる人がいる』だよ」
「ニュアンスは同じだろ。ってか話の腰折らない!」
「す、すみません」
にしてもよく覚えてたな。
「ともかく、その言葉の意味ってどういうことだよ?」
「どういうこと……って、どういうこと?」
「いやだから、何で俺がそう言ったかってことだよ」
「……卑下、してたからとか?」
「いやそういうつもりは……いや、この際それでいい。卑下してるってことは、お前には俺は似合わないってことだろ?」
「う、うん」
「それはつまり?」
そう聞くとメリアは思案顔になり、
「……あ」
思い至ったように顔を上げた。
「ソ、ソラ。もしかして――」
俺はそこから言葉を引き継ぐようにして、
「俺は、昔からお前のことを可愛いって思ってたよ」
小っ恥ずかしがりながらそう言った。
「……ぁ、あああっ!」
「いや何故泣く!」
「だ、だっでぇ!私、のこと、そんな風に思ってくれてたなんて、嬉しくてぇ」
メリアは答えながら顔を覆う手の指の隙間から上目遣いでこちらを見上げてくる。そしてそれは――
「……うっ」
とてつもなく可愛い。
涙で潤んだ瞳に少し上気した頬、そしてこちらの顔色を伺うように狭い指の隙間からちらちらとこちらを見る様は――
すごく可愛い。
……あれ? 思考が重複してない? 結論が重複してない?
「……メリア、お前まさか計算してないか?」
「うぇっ、何を?」
ああいや、こいつはそんなことをする奴じゃないか。
「まあ、ともかく。だからあんな質問する必要はないし、俺は答える必要も無いんだよ」
「え? 質問?」
あら、もう忘れたのか。
「だから、胸の大小の話だよ」
「あ、ああ、うん。そうだね……そっか、私、可愛いんだ……ふふっ」
後ろで何か言っているが何でもいい。とりあえずはメリアの杞憂を取り除けた。まあ、それでどうだという訳ではないが仲間のために多少でもなっているならそれは嬉しいからな。
「…………ソラ」
「あ? 今度はなぬぅおおっ!」
今、変な言葉が出たのは俺のせいでない。何のせいかと言えば。
今、俺を近くの木にまで追い詰めた、金髪狐のせいだ。
「ねぇ、ソラ」
メリアは、かなり上気した様子で話しかけてきた。
「本当に、私のこと可愛いと思ってくれてる?」
「……そうだと、言ったら?」
「……だ、だったら」
言い淀んだ、次の瞬間、
「……っ!」
体をくっつけてきたメリアに思わずびっくりする。
「わ、わわわ、私とっ!」
メリアはさらに体を寄せてきて、
「私と! ……シ、よう?」
…………俺は、今日後何回ぽかんとしなくちゃいかんのでせうか?
「ね、ねえいいでしょ! 私を可愛いって思うんなら、ソラだってま、満更でもないでしょ! す、するのは初めてだけど絶対に、絶対に気持ちよ――――」
「…………すぎだよ」
「っ! なっなんでしょうか!」
俺が小さな声でいうとメリアは急に改まって背筋をぴんとした。
「話が……」
「は、話が?」
俺は、背筋をぴんとしたままのメリアに手を伸ばし…………その耳を掴んで、
「……んぇ?」
そのまま……
「話が飛躍しすぎじゃボケナスがああぁぁぁっ!」
思いっきり引っ張った。
「いいいい痛い痛い痛い痛い痛いいいぃぃぃぃぃっ!」
「う、うううっ! ひどい、ひどいよ。勇気出して言ったのに、あんなふうに対応されるなんて」
「勇気出したんじゃなくて勢いに任せていったんだろ履き違えんなって」
再びみんなのいる広場を目指す中、俺がそう言うとメリアは大きなため息をついた。
「あ、そうだ。レティスには一日だけしか泊まらないの?」
そんなメリアは、ふと何か思い出したように聞いてきた。
「ん? まあそうするつもりだけど、何で?」
聞くと、メリアは一呼吸置いて言った。
「デート、しない?」
「デート、ねぇ?」
「べ、別に決して変な意味とか含まれてないよ!?」
「別に勘繰ってないのにそういう風に言うところが少し怪しい」
「ほ、ほんとだよ!」
……うん、若干涙目になってるしこれ以上の追求するのはやめておこう。
「にしても、デートなぁ。だったらもう一日泊まるか?」
「えっ? いいの?」
「まあな、この世界に着てから二日目で決闘にゴブリンどもの相手、さらにこの先でボスゴブリンだぜ? 俺は少し休憩したいよ」
「じゃあいいの?」
「ああ、いいよ」
「やったー! あー明日が楽しみ!」
俺がそう言うと嬉しそうにメリアは言った。




