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プロローグ

『ピピピピっピピピピっピピピ「ガンッ!」』

「……おはよう」

 今日も目覚まし時計の音で目が覚める。目が覚めた俺はあくびを一つもらしながらいつも通り朝食を作るためにキッチンに向かう。トーストに目玉焼き、そしてベーコンという簡素な朝食を机に置く。

「いただきます」

 もちろん食べるためだ。食べ終わったらいつも通りに食器を洗い、歯を磨き、顔を洗う。そして部屋の隅に置いてあるワイシャツに白黒斜めストライプのネクタイ、灰色のブレザー、黒色のズボンに、つまり制服に着替えて、かばんを手に取り、

「いってきます」

 一階建てのアパート()を出た。もちろん、鍵をかけて。

 

 俺は一人暮らしだ。両親は昨年の三月に交通事故で死んだらしい。今住んでいる家は親戚に借りてもらっている。母方の祖父はいい人で仕送りもしてくれているから、それで生計を立てている。

 小、中と都心の学校に通っていたのだが、高校は両親が死んでしまった事の他、いろいろな事情で生まれ故郷の町の高校に通うことになった。


「あー、眠い」

 まだ慣れない通学路で登校しながらあくびを一つ。にしても最近寝不足だ。どうにかならないもんかな。

「よう、(そら)

 と、そんなことを考えていると同じクラスの友達の一人、緋野ひの 総司そうじに声をかけられた。抜群のイケメンフェイスに肩ほどまである銀髪(この銀髪は母方からの遺伝らしい)。緋色の目は見たものを燃やすのではと思わせるほどに(あか)い。

「ああ、おはよう(・・・・)総司」

「おいおい、何でそんなにおはようを強調するんだよ」

「何でって、朝の挨拶はおはようだろ馬鹿。……おどけて問うイケメン野郎に俺は常識を教えた」

「……という?」

「冗談だ」

「だよな~、空が人を(けな)すとか考えらんねーぜ」

「いや、普通にお前とか貶してるよな、イケメン君?」

「本心からじゃないってことぐらい分かるさ。あとイケメン君っていうのやめい」

「あーやだやだ、これだからイケメン君は。謙遜とかいらないっての」

「お前な」

 朝からこんな馬鹿話をしているとふと、後ろから軽い足音が聞こえてきた。

「おはよう、総司、青野(あおの)君」

後ろから声をかけられた俺たちは「「ああ、おはよう」」と返す。このやり取りも何回目だろうか。

 俺たちの後ろから小走りに追いかけてきた彼女は紫野 明美(しの あけみ)。総司の幼馴染で、彼女は学年、いや学校の中でも生粋の美少女だ。腰までの艶のある黒髪にとにかく大きい胸、それをどう支えているのかと思うほどのくびれた腰、その下にある肉つきのいい尻にそこから伸びるすらっとした足、まさに美少女としか言いようがない。

 以下、すべてクラスの男子のものを引用。まあ、俺も確かに美少女だと思うが、クラスの奴らは言ったいどうしてこんな説明文めいたものを入学式で紫野を見た瞬間即興で頭の中で組み立てられたのか不思議でしかないな。

「今日もいい天気だね」

 そんな他愛もないことを言い出す紫野。そこでふと、前から疑問に思っていたことを聞いてみた。

「……なあ、話は変わるが聞きたいことがある」

「ん?どした?」「どうしたの?」

「いやなに、前から思っていたことだが総司と紫野だけならすごく絵になるんだよ。イケメン君と美少女っていうね。なのにその間に俺みたいなフツメンがいてもいいのかってな」

「だからイケメン君っていうなよ」「びっ、美少女って…」

 総司の反応はまあ普通だ。だが……おいそこ、何赤くなってる。

 そう、紫野 明美は自分が美少女だと思っていない節がある。誰が見たって美少女なのにだよ? Real(現実)を見ろ、Real(現実)を。

「別にお前がいちゃいけないなんて誰かが決めたわけでもあるまいし」

「そっそうだよ!そっそれに、あの……青野君だってかっこいいし……」

 ……紫野、世辞はいらない。


まあ、そんなこんなで学校に到着した。しかし、いつになっても視線には慣れない。総司と紫野、この二人がいるだけで注目されるのにそこに俺みたいな凡人がいるから差異が目立って余計目立つ。慣れるしかないと総司と紫野が言っていたが、俺はお前らと違ってまだ二週間なんだよ。君達とは経験の差が違うのだよ。経験の差が!!(勘違いすんなよ、自慢じゃないぞ)

 なので俺は、そそくさと自分の下駄箱に行き上履きに履き替えて教室に行き自分の席に着く。二週間前は教室に入るたびに好奇の視線に晒されたからなぁ。それに比べればずいぶんとマシになったもんだ。

「空、早すぎだ」「青野君、早いよ」

「そうか、悪い」

 まったく、こんな時も息ぴったりだな。まさにお似合いのカップルだ。

 そんなことを思いながら、

(うわやべぇ、この睡魔は……たえらんねぇ、おやすみ……)

 

 俺は机に突っ伏した。


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