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SYNDROME   作者: 色敷 童
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序章

どうしてこんなことになったんだろう。



僕は走りながら、ずっと「原因」を考えていた。

この事態はもはや正常ではないということだけが、辛うじて理解した事実である。

街が壊されていく。建物も、電柱も。あの大きな塔だって。

人が溶けてゆく、逃げる僕の後ろでも今、何人もの人が溶けていき、そして消え去った。

一体コレは夢なのか?何度も考える。夢ならとんだ笑い話だ。

ともかく夢だろうがなんだろうが、走って逃げるしかない。

でもどこへ逃げる?何もかもが壊されている今、逃げる場所なんてあるのか?

いや、無い。あるわけがない。どこに行っても同じ、走って逃げるしかなかった。

息が切れそうな中、僕はもう1度だけ思う。



どうしてこんなことになったんだろう。


ただ変わらない日常が欲しかっただけなのに。

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