思惑
昼間の授業はほとんどが頭に入らず、ただ無心にノートをとっているだけの機械人形のようになっていた。あの日から俺の頭の中は松崎乱で埋め尽くされている。俺の調べたデータによると、出席番号31番、身長163cm、体重?、血液型AB、得意教科は英語、苦手教科は物理、家族構成、父母弟二人と説明すれば長くなる。
なんとかして、この松崎病から逃れないと俺自身が壊れてしまう。くそっ、重要なときに使えない能力だ。
俺の特殊能力、HONEYは女だったら誰でも絶対服従させることが出来る。思いのままに操れるのだが、それに生じるルールとリスクも存在する。
ルールは全部で3つ。
1.相手に触れること。
2.相手の声を聞くこと。
3.相手の体の一部を手に入れること。
以上3つだ。
これはヤツ(俺のダークサイド)の渡した契約書に記されていたものをそのまま引用して説明している。
実際は全て違う。
俺が試した能力のルール、
1.触れずとも使用可能
2.声を聞かずとも使用可能
3.相手の体の一部が無くとも使用可能。
である。
適当なことばかり書かれていたため、俺はヤツに聞いてみた。
「そもそも、この契約書はなんの為にある?意味がないじゃないか」
「いや、それっぽいこと書いてた方が従って迂闊に使わないかなーと思ってよ。契約書ったって言い換えれば取説みたいなもんだしな。まさかここまで試すとは思ってもいなかったし、リスクのページも読んだだろ?俺だったらアレ見たらゼッテーしねーもん」
「どこまで本当なんだか」
ヤツの言うリスクとはローリスクとハイリスクの二つがある。
ローリスクは、
[使用頻度を超過した場合、使用者の寿命が激減する]
この項目に目を通しただけで普通なら使用頻度は何回だ?どのくらいの寿命が減るんだ?と頭を巡らせるはずだ。だが俺は臆せず使いまくった。その結果、
[使用頻度回数は無限大、寿命は運命に任す]
が、俺の新たに更新したローリスクの全てである。むしろノーリスクだ。
問題はハイリスクの方、
[使用者が恋に落ちた相手に使用する際、その人物の運命による死を見届けなければならない]
これだ。さすがにこれはヤバイ。言い換えれば死の暗示を直接下すということだ。殺してしまっては意味がない。まだ続きがある。
[以上の事柄を使用した際、使用者の悪行の償いを課す。ご質問はこちらまで。xxx-xxxx-xx]
詳しく書かれていない為、ヤツに聞くと。
「簡単な話だ、俺とお前が入れ替わる。俺は自由の身になれる。お前は俺と同じく、闇の中でしか生きられなくなるってことさ。まっ俺にしてみりゃ美味しい話ってわけw」
「それだけは勘弁だな。だがこれも本当にそうなるとは限らない。ローリスク同様、嘘かもしれないしな」
「ケケケw信じた方がいいと思うぜぇー」
こいつと入れ替わることだけは絶対に避けたい。一応、頭に叩き込んでおこう。
俺自身、過去に数えるほどの恋はしてきた。その相手に能力を使わずともこのルックスと巧みな話術で翻弄し、魅了し、俺のモノにしてきた。今回も同じように松崎乱に上手く言い寄ってゲトれると思い上がっていたが、もう一つ大きな問題に直面していた。
松崎乱に好きな人がいるのだそうだ。その人物は同じクラスメイトだと言う。この情報は女子グループの会話をくまなく盗み聞きした俺自身による最新データである。
この問題をクリアしない限り、俺は松崎乱を手に入れる事ができない。
一体誰だ?思い当たる節がなさすぎる。もともと、男子とコミュニケーションを図ろうとしない女なのは分かっていた。それ故に好きな男がいるという事実に仰天している。片思いの渦中にいるのだ。
次の授業は体育だ。男子、女子で受ける科目が違う。女子は家庭科実習のはずだ。くそっ、一口でいいから松崎の料理を口にしたい。細かいデータによると、母親は遅くまでパートに出てる為、夜は松崎自身が弟二人の為に毎夜献立を変えながら料理を奮っているらしい。羨ましい。
周りの生徒共がバタバタと動き始める。女子は家庭調理場へ向かっているのだろう。自前のエプロンを見せ合いながらキャッキャしている。体育着に着替えて校庭に出なくては、たしか今日はA組と合同でサッカーをするはずだ。
イソイソと着替えを始める。
ふと松崎が俺の方へと歩いて来る。なんだ?昨日、一丁の豆腐を粗末にした俺になにか話でもあるというのか?過剰な反応は避けなければ、クールに受けてたもう。が、松崎は俺をスルーした。クールに。
後方の松島に話しかけている。
なんだ?なんの話をしてるんだ?体育着に着替えながら後ろの会話を盗み聞きする。
「これ、読んで」
瞬時に理解する。
こいつかぁ!!!ラブレターかなんかを渡しやがったのか!?松崎はそのまま女生徒達の群れに戻って行く。後方をチラリと見ると馬鹿面の松島がいた。なんでこんな奴に…。馬鹿面の松島に比例して怒りがこみ上げる。奴の手に小さなメモのような紙きれをのせている。ラブレターとは違うな、察するに伝言かなんかを書いた紙と見た!俺は教室から出て、廊下の窓際にあるロッカーの前で松島を見張った。素っ気なくかつ、目視しながら松島が移動する際にその紙を机にしまうか、捨てるかを確認する為だ。出来れば前者であってほしい。捨てられると探すのが億劫だ。
教室からワラワラと生徒が出てくる。松島は紙を開いた。先ほどの馬鹿面とは打って変わって真顔でいる。さて、紙をどうするか?机の中にしまい教室を出ようとしている。やはりしまったな、机の中に。松島が教室から出て来ると同時に反対側のドアから教室へ入った。
「忘れ物忘れ物~♪」
独り言を呟きながら机に駆け寄る。紙を発見!中には…
[放課後、話があります。帰らないで教室にいてね]
「ふふふ…」
思わず笑いだす。
「お前大丈夫か?」
いつの間に隣にいたのかヤツが姿を表した。
「なんで出てきた!HONEYは使っていないぞ!」
「別に使おうが使うまいが俺は自由に出て来れるぜ。言ってなかったっけ?」
また嘘だったか。
「聞いてない!」
「ケケケwお前完全に変質者じゃねーか。俺が見てそう思うんだからヤベーよ。てかイテーよ」
「黙れ!恋敵を見つけたんだ!敵を知って何が悪い!」
「なんて書いてんだ?放課後?あー確実に愛の告白だなコレ」
ズケズケと痛いとこを突く。
「まだ決まったわけじゃない!」
「そんでどーすんのよ?放課後待ち伏せして話を聞こうって算段だろ?結果は見えてんだ、諦めろ」
「うるさい!」
「それとも、能力を使って強引に惚れさすかw?殺すのかww?俺と入れ替わりたいのかぁwww?」
鐘が鳴り響く。
「おっと授業始まるぜ、じゃーな変質者くん。ケケケww」
スゥッと消え去る。
「くそっ!」
断じて認めん!!この目で事実を確認せねば!
足早に教室を後にし、校庭へ急いだ。
六時限目が終わり、あくびや伸びをする生徒が目立つ中で俺は一人、虎視眈々と松島の動きを見張っていた。
何気なく、そして感づかれないよう細心の注意を払いながら掃除に取り掛かる。掃除する箇所はトイレだ。階段を昇ってすぐ左脇に男子トイレ、我が2-B組の斜め向かいに位置する。見張りにはもってこいの場所だ。
松島は必ずどこかで時間を潰し、この教室に戻ってくるはず。気が抜けないな。そんなことばかり考えていたせいか、ホースで水を噴射させながら同じ班の目黒に思い切り水鉄砲を喰らわせてしまった。本当に悪い。
掃除を終え、それぞれの部活に向かう者、帰宅する者とに別れる。俺は一度教室に戻り、鞄を持ち帰宅しますよオーラ全開で教室を出た。もちろん、帰るつもりは毛頭ない。松島を前方に確認。後を追う。
松島はおそらく、教室に誰もいなくなってから戻るはずだ。まだ教室掃除は終わっていない。頃合いを見計らって戻ってくるはず、どこで時間を潰すのだろう?
松島は先ほど俺が掃除したトイレへ入り、奥から二番目の個室へと入っていく。なるほど、一人きりになるには絶好の場所だ。俺も隣の個室に入り耳を這わせて待つ。
なにやら独り言を呟いている。
「えっ?ぼ、僕のことが好き?い、今言った言葉、本気で言ったの?いやいや!嘘だとは思ってはいないよ!ただ、あまりにも信じられなくて、その…あーなんか違うなー」
こいつ!シュミレーションしてやがる!告白されると見越しての言動で!
「ええっ!そ、それ本当!?いや、僕も実は松崎のことが…くはぁっ!たまんねぇ!」
こいつもやはり松崎乱を好きでいる。ぐぬぬ、許せん!許せんぞぉ!!
約10分程そんなことを繰り返し、ようやく予行練習が終わったのか扉を開く音がする。
「そろそろ行くかな」
蛇口をひねり、手を洗う音と共に松島はトイレから出て行った。俺も急いで個室扉から出る。
夕暮れの教室はオレンジ色に染まっていた。教室にはまだ松崎は来ていない様子。松島は自席でケータイをカタカタといじくり回している。俺はトイレの入口の角で顔半分だけ覗かせながら松島を観察した。幸い松島の席は教室の後ろ扉ギリギリのラインで伺えた。
「お前、ますますイテーヤローだなw」
また出て来たか。
「こんな便所に一人で顔半分だけ出して、はたから見てたらヤベーよ」
「黙っていてくれ」
今はこいつの戯言に付き合ってる暇はない。松崎乱もそろそろやって来る頃だろう。瞬き一つ出来ない。
「なあ、おいぃ~、暇だよ俺、こんなクセー便所もう出ようぜ」
「勝手にしろ」
「勝手にしてぇけどお前の半径3mまでしか俺は動けねんだよ。だからお前が動かなきゃ移動出来ねーの。ユアンダスタン?」
「我慢しろ」
「あーもーヤダ」
グチグチとうるさいヤツだ。
廊下で足音がする。視線を横に移動すると松崎乱が歩いて来た。
「おほっ!乱ちゃんのご登場か?ついに愛の告白が始まるな。ケケケw」
教室へと入って行く。俺もすかさずトイレから移動し、教室前のドアの前に屈み込んだ。
「やっとクセーとこから出れたな。どれ、俺が話を聞いてこよう」
喋ると松島にバレる為、ここはヤツの行動を許した。説明が無かったがヤツの姿は人には見えない。俺だけ見える。もちろんヤツ自身に触れられても感じることはない。実体がないのだ。
スゥっと空中に舞い、ヤツは壁を透き通り教室の中へと入っていく。
頼むから愛の告白だけは無いようにしてくれ。と、祈りを込めると松崎が前のドアから出てきた。そのまま、来た廊下を戻り去って行く。
「もう、終わったのか?」
立ち上がり、教室の中を見ると項垂れている松島がいた。
「ケケケw見ろよあいつの落胆ぶりw萎びたオクラみたいになってやがんぜww」
「松崎はなんの話をしたんだ?」
「BHって知ってる?」
松崎乱のモノマネをしたんだろうがそこには触れない。
「BH?あの裏組織のか?」
「さぁな、でもBHとハッキリ言ってたぜ」
松島にBH?なぜそんなことを聞くんだ?一般生徒には噂で通ってるはずのBOYS HUNT。松崎がなぜ知っている?そしてなぜこんな時間に松島を呼び出して聞く?松崎…まさか!
前方から担任教師、桃瀬が歩いてきた。俺は駆け出し、二階の図書室へ向かった。
「今日はなにを読むんだ?」
「本を読みに来たんじゃない」
「はあ?んじゃなにしに来たんだよ、また俺暇じゃん。なんか読めよ。ほら、あのなんとか虫って漫画家、火の鳥だっけ?あれ読めよ」
「勝手に読めばいいだろ、俺はやることがあるんだ。ちなみに虫じゃなくて手塚治虫だ」
「読めねーから頼んでんだろ。読めたらテメーになんか頼むかっての!なにしてんだ?」
「この学校の歴史を調べてる」
おそらく、俺の推測が正しければこの雪月花高校開校の歴史に記載されているはずだ。
「なんで今になって?さっきの松崎乱のBH発言と関係あんのか?」
「あるのさ」
パラパラと白黒のスクラップページを捲り、あの名を探す。
あった。
やはり関係していたのか。十中八九とまではいかないがおそらく当たりだろう。
「ここ、読めるか?」
「ん?ちっちぇー字だな、なになに?1985年、私立雪月花高校女子生徒急募。急募?」
「そうだ、この学校はもともと男子校、この年になってから女子が編入された」
「急募ってのはなによ?」
「後に分かる。続きを読め」
「えーと、1987年10月23日、第18回雪月花祭開催。同年10月24日、雪月花祭禁止令発足。んん?開催した日の次の日に禁止令って、どういうこったよ?」
「このスクラップには記載されていないがこの当時、雪月花は男子生徒の割合が多かった。当然そうだ、二年生と一年生しか女子がいないんだからな。雪月花祭実行委員会は女子も少なからずはいるから、男子だけの催しよりは女子も含めてなにか大きなイベントをしようと企画した」
「その企画って?」
「それがBHだ」
スクラップのページの狭間から当時の雪月花祭のパンフレットを机上に放る。
表紙にはデカデカと[雪月花祭ビッグイベント!その名はBOYS HUNT]と記されている。
「男狩りってこったろ?男子が逃げて、女子が追う。鬼ごっこみたいなもんか?」
「そうだ」
パンフレットを広げ、ルール欄に目を通す。
制限時間60分、一クラス男子女子格一名の代表者を立候補、または多数決による選出、計25名で実施する校内鬼ごっこ。制限時間内に女子10人で男子15人を捕まえたら女子の勝ち。男子が逃げきれば男子の勝ち。
「そして1番の目玉がこれだ」
女子組が勝った場合、次期生徒会長候補の権限を与える。
男子組が勝った場合、図書券とテレカを男子のみプレゼント。
「随分と女子組の扱い方が雑じゃねーか。生徒会長なんか誰もしたがんねーんじゃねーの?逆に男子組なんか図書券とテレカって美味しいじゃん。」
「当時の生徒会長は元通一八という男が校内政権を掌握していた。分かりやすい独裁的な支配者で男が上、女は下に見るような奴だったそうだ。ただでさえ女子が少ない人数、男子組が負けるわけがないと踏んでいたんだろう。が、元通一八の思惑は外れた」
「えっ!?女子組が勝ったってのかよ!スゲーな!」
「一人の女子生徒によって男子組は全員捕まった。たったの一人にだ」
「なんて女だよ?」
再びスクラップに目を通す。
「…片桐彩。写真がこれだ」
スクラップ紙の端に白黒写真でピースサインをしている女子がいる。片桐彩だ。
「おほっ♪可愛いじゃん♪待てよ、このかわい子ちゃんが一人で15人の男を捕まえたのか?」
「そうだ」
「信じらんねーな。体育会系には見えねーけど」
「…雪月花祭の次の日、片桐彩は一年生にして生徒会長に就任。雪月花祭禁止令を発足し、元通一八を退学処分した」
「なっ!?」
「あとはそのスクラップに書いてる通り、雪月花高校は独裁男主義体制から一変、平和な学校になった」
椅子に腰掛け、スクラップを閉じる。
「片桐彩、なんか裏がありそうだな」
「片桐彩には一つ年上の姉がいた。名前は片桐藍、雪月花高校編入の一期生だった」
「んじゃ二年生だったわけだな。この当時は」
「いや、彼女は一年生のときに死んだ」
「死んだ!?」
「元通一八は二年生の時点で生徒会長の座に就任していた。もともと一年生のときから自身の放つカリスマ性に全生徒は奴に平伏していた。独裁政権はその流れのまま、自身のわがままで共学制に変更。何故共学にしたのか分かるか?」
「まさか…」
「そう、女子生徒を奴隷、性奴隷にしようと目論んだ。片桐藍はその被害者だ」
「なんてこった…」
「入学したばかりで右も左も分からない女子生徒を甘い言葉で誘い、犯す。片桐藍もその一人、毎日犯され続けて精神病を患い、薬漬けの日々を過ごした。そしてある日…」
「当ててやろうか?飛び降りたんだろ?この学校で」
「…そう。今は侵入禁止で入れないが屋上から身を投じた」
椅子から立ち上がり窓を覗く、東校舎に位置するこの図書室から西校舎の屋上を見つめる。夕日が傾き窓に反射する。
「そうか、片桐彩は姉貴の仇討ちをする為にこの学校に入ったんだな」
「そして、元通一八を生徒会長の座から降ろし、退学させ、見事に仇討ちは成功した」
「メデタシメデタシー」
「で、終わりじゃない。最終的に一八を殺した」
「こ、殺した!?」
「姉と同じようにあの屋上から突き落としてな」
「同じ苦しみを味わえってか」
「警察には自首し、片桐彩はこの学校を去った。後釜に就任したのが片桐彩の親友、笹瞳子が生徒会長になり、男女平等、均等な立場を保持し平和な学校を築いていった」
「なるほどな」
「その後、片桐彩は出所し、ある男と結婚。今は三児の母になっている。性も変わり松崎彩になった」
「えっ?松崎って…!」
「片桐彩の娘なんだ、松崎乱は…」
図書室を後にし、松島がまだ教室にいるのかを確認しに三階へ向かう。
「お前、よくそこまで調べたな。いくら松崎を好きでたまらねーって言っても普通そこまでするかよ」
「たまたまだ、BHのことを松崎が知っていなければ分からなかった」
「つーことは、どーなんだ?母親みたいに松崎が誰かを殺しちゃうのか?どーなのよ?」
「なにもないさ。ただ、俺は松崎をこの手に入れることだけしか考えてない。片桐彩、母親のことはまた別件だ」
嘘を吐いた。こいつが知ることではない。
前方から女子生徒数人が近づいてくる。BHの刺客共だ。
「さてと、片付け片付け」
話すのも億劫だ。速攻で終わらせよう。
HONEY!(俺の姿が見えなくなる!)
プチッ
女生徒数人が「えっ!?消えた!?」と漏らす。俺はその横を掻い潜り教室へと急ぐ。
「モテる男はつれーなw」
ヤツがクネクネと体を揺らす。
「よし、いたぞ」
松島が教室にいた。ケータイをいじっている。
「よっぽどショックだったんだろーなwこんな時間まで黄昏てんだからw」
いい気味だ。帰宅しようと踵を返すと松島が気づいたのか声をかけてきた。自然に振る舞う。
図書室にいた際にヤツが火の鳥、火の鳥とうるさかったので一冊だけ借りてきた。それを見せつけ、校門まで歩いた。
松島がBHのことを知っていようが知るまいが俺には関係ない。所詮は一般ピーポー、松崎も告白をしていないのならこいつはどうでもいい存在だ。
あとは、松崎に直接コンタクトを図り、BHの方を片付けなければ。
おそらく、松崎はBHに所属している。