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外伝「第一弾」アルケオン 霊鏡物語  作者:


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――五行収束、久遠を断つ刃――

――夜は、すべてを奪う。

けれど同時に、何かを始める場所でもある。


これは、炎に居場所を奪われた一人の少女が、

人ならざるものの棲む森へと迷い込み、

“生き延びる理由”を拾い上げるまでの物語。


名も知らぬ世界、霊鏡。

人と妖の境が曖昧なその森で、

少女はまだ、自分が何者になるのかを知らない。


これは――

運命が静かに動き出した、第一夜の記録である。

戦場は、夕焼けの終わりとともに沈みかけていた。


 


赤は紫へ。

紫は黒へ。


 


そしてその中心――


 


安倍晴明は静かに立っていた。


 


周囲には、歪む五つの力。


 


木。火。土。金。水。


 


すべてが、彼の意のままに揺らめいている。


 


安倍晴明は言った。

「これが陰陽の極致……すべてを内包する力よ」


 


その瞬間。


 


大地が隆起し、炎が渦を巻き、水が槍となり、風が刃となり、樹が絡みつく。


 


一斉に、亜由たちへと襲いかかった。


 


ナチカは踏み込んだ。


 


ナチカは言った。

「……ん、切る」


 


鎌を振るう。


 


「鎌鼬・裂風連断」


 


風が刃となり、迫る攻撃を切り裂く。


 


だが、すぐに再生する。


 


覚は目を細めた。


 


覚は言った。

「……なるほど、無駄な動きが一切ない」


 


次の瞬間、動く。


 


「覚醒・心読打」


 


未来を読むような一撃。


 


だが――


 


晴明はわずかに体をずらしただけで避けた。


 


覚は舌打ちする。

「……読まれてる……!」


 


六花は叫びながら飛び出す。


 


六花は言った。

「鬼天棍・爆砕旋!!」


 


棍が唸りを上げ、大地ごと叩き砕く。


 


雷はそれに合わせる。


 


雷は言った。

「……合わせる……です」


 


「雷獣・轟雷突進」


 


雷を纏い、一直線に突っ込む。


 


だが――


 


晴明の周囲に五行の壁が展開される。


 


すべてが弾かれる。


 


ノーマは影に沈み、覚の生み出した瓦礫の影へ潜る。


 


そして、現れる。


 


ノーマは言った。

「……ここです」


 


「ノウマ・影穿撃」


 


背後からの一撃。


 


だが晴明は振り向きもせず、土を隆起させ防ぐ。


 


水月は歯を食いしばった。


 


水月は言った。

「……なら、流れを変える……!」


 


両手を振るう。


 


「ヤロカ水・濁流奔流」


 


巨大な水流が戦場を飲み込む。


 


五行の均衡を崩そうとする。


 


一瞬――


 


ほんの一瞬だけ。


 


晴明の動きが鈍った。


 


ナチカはそれを見逃さない。


 


ナチカは言った。

「……今」


 


風が加速する。


 


覚はその動きを読む。


 


覚は言った。

「そこ、動くわね」


 


攻撃の軌道が重なる。


 


連携。


 


だが、それでも足りない。


 


そのとき――


 


天が空から舞い降りた。


 


炎を纏い、長い尾を揺らす。


 


天は静かに言った。


 


「……いつまで……いつまで……いつまで生きてるの?」


 


その瞳に宿るのは、怒りでも憎しみでもない。


 


ただ――終わらせる意志。


 


次の瞬間。


 


天は叫んだ。

「以津真天・終焉炎尾!!!」


 


炎を纏った尾が晴明を拘束し、そのまま空高く放り投げる。


 


晴明の身体が宙に浮く。


 


――隙。


 


亜由の目が光る。


 


亜由は言った。

「みんなの力……借ります!」


 


式神の力が集まる。


 


風。心。水。土。


 


すべてを束ねる。


 


亜由は両手を掲げた。


 


空間に五芒星が展開される。


 


「陰陽五行・封縛星陣」


 


木が絡み、土が縛り、水が重く押し潰し、金が固定し、火が焼き封じる。


 


完全拘束。


 


晴明の身体が空中で止まる。


 


安倍晴明は初めて苦しげに顔を歪めた。

「……これは……」


 


源梓が前へ出る。


 


静かに、確実に。


 


神刀を構える。


 


源梓は言った。

「……終わりよ」


 


刀が光る。


 


神刀・久遠清水。


 


澄み切った水のような刃。


 


だがその内に秘めるのは、時すら断つ力。


 


源梓は踏み込んだ。


 


「久遠清水・終断流転」


 


一閃。


 


世界が、止まった。


 


そして――


 


晴明の身体が、ゆっくりと崩れる。


 


その瞬間。


 


晴明の目が、わずかに見開かれた。


 


安倍晴明は言った。

「……その力……人でありながら……妖の理……」


 


源梓を見つめる。


 


安倍晴明は続けた。

「……八百比丘尼の……血か……なるほど……」


 


源梓は何も答えない。


 


ただ、静かに刀を振り払う。


 


安倍晴明は微笑んだ。


 


安倍晴明は言った。

「……見事だ……」


 


その身体は、塵となって消えた。


 


風に乗り、空へと溶けていく。


 


戦場に、静寂が戻る。


 


誰も動かない。


 


やがて――


 


夜が訪れる。


 


空に浮かぶ月。


 


その光が、戦いの終わりを優しく照らしていた。


 


血も、傷も、すべてを包み込むように。


 


長き戦いは、ここに終焉を迎えた。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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