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外伝「第一弾」アルケオン 霊鏡物語  作者:


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ーー陰陽五行・星陣ーー

――夜は、すべてを奪う。

けれど同時に、何かを始める場所でもある。


これは、炎に居場所を奪われた一人の少女が、

人ならざるものの棲む森へと迷い込み、

“生き延びる理由”を拾い上げるまでの物語。


名も知らぬ世界、霊鏡。

人と妖の境が曖昧なその森で、

少女はまだ、自分が何者になるのかを知らない。


これは――

運命が静かに動き出した、第一夜の記録である。

夜の墓地の外れ。


荒れた地面の中央で、巨大な妖怪・魍魎(もうりょう)が低く唸っていた。


 


「グォォォォ……」


 


腐臭のような妖気が辺りに漂う。


 


亜由(あゆ)たちはその前に立っていた。


 


六花(ろっか)が鬼天棍を構える。


 


「よーし!」


 


「みんなで倒すよ!」


 


ナチカが静かに頷く。


 


「ん」


 


「行く」


 


魍魎は大きく笑った。


 


「グヘヘヘ」


 


「肝!」


 


「腸!!」


 


「食わせろォォォォ!!」


 


次の瞬間。


 


ドォォン!!


 


地面を砕きながら魍魎が突進した。


 


六花が前に飛び出す。


 


「鬼天棍――鬼天棍・雷裂旋!!」


 


鬼天棍を回転させながら叩きつける。


 


しかし――


 


魍魎の拳が妖力に包まれる。


 


ドゴォォォン!!


 


衝撃。


 


六花は弾き飛ばされた。


 


「うわぁ!?」


 


(さとり)がすぐに前に出る。


 


「読めるわ……」


 


目を細める。


 


魍魎の心を読む。


 


攻撃の軌道が見える。


 


「そこ!」


 


妖力を腕に集中する。


 


「心眼拳・破式!」


 


拳が魍魎の腹に叩き込まれる。


 


だが――


 


バキン!!


 


覚の拳が弾かれた。


 


魍魎が笑う。


 


「効かねぇ!」


 


覚が後ろへ跳ぶ。


 


「硬い……!」


 


ナチカが動く。


 


「ん」


 


風が巻き起こる。


 


鎌が閃く。


 


「鎌鼬・裂風斬」


 


鋭い風の刃が魍魎を切り裂く。


 


しかし――


 


魍魎の拳が振り下ろされる。


 


ドォン!!


 


地面が砕ける。


 


ナチカが避ける。


 


「強い」


 


水月(すいげつ)が両手を上げる。


 


「水よ……!」


 


水の妖力が集まる。


 


「蒼流術・水龍波!」


 


巨大な水流が魍魎へ襲いかかる。


 


だが魍魎の拳がそれを砕く。


 


ドォォン!!


 


水が四散する。


 


「そんな……!」


 


(ライ)が前へ出る。


 


体に雷が走る。


 


「雷撃掌・天落」


 


雷をまとった蹴りを叩き込む。


 


バチィィィ!!


 


だが――


 


魍魎が腕で受け止める。


 


「ぬるい!」


 


雷が弾き飛ばされた。


 


ノーマが影から現れる。


 


「今……!」


 


妖力を固めた腕を突き出す。


 


「影獣撃!」


 


しかし魍魎が振り向く。


 


ドン!!


 


拳で弾き飛ばされる。


 


「っ!」


 


(そら)が飛び上がる。


 


尻尾が伸びる。


 


「捕まえた!」


 


長い尻尾で魍魎を巻きつける。


 


「天尾縛!」


 


魍魎が怒る。


 


「邪魔だァ!」


 


ドォォォン!!


 


妖力を込めた拳で天を振り払う。


 


天が地面に落ちた。


 


亜由が炎を出す。


 


「妖炎……!」


 


まだ慣れない炎。


 


「妖炎弾!」


 


炎が魍魎へ飛ぶ。


 


しかし――


 


魍魎の拳がそれを叩き潰す。


 


ドォォォン!!


 


炎が散る。


 


亜由は歯を食いしばる。


 


近づけない。


 


すべての攻撃が破られる。


 


魍魎が大きく笑った。


 


「グヘヘヘ!!」


 


「墓守ども!」


 


「この程度か!!!」


 


亜由は拳を握る。


 


「……」


 


その時。


 


空から声が響いた。


 


「見てられん!」


 


黒い影が降りてくる。


 


八咫烏だった。


 


「少女よ!」


 


「もう少し妖力を圧縮しろ!」


 


「それでは妖力の練りがゆるく威力も落ちるぞ!」


 


亜由は驚く。


 


「え!?」


 


八咫烏が叫ぶ。


 


「早くやれ!」


 


亜由は慌てて頷く。


 


「は、はい!」


 


心の中で考える。


 


(圧縮……)


 


妖力を集める。


 


炎を握る。


 


押し固める。


 


「こう……かな」


 


炎が小さく縮む。


 


そして――


 


「――!」


 


ボォォォォォォ!!


 


次の瞬間。


 


ドォォォン!!!


 


巨大な爆炎が魍魎を包んだ。


 


魍魎が叫ぶ。


 


「グァァァァァァ!!??」


 


「なんだ!?」


 


「俺の毛は防火なのにぃぃ!!」


 


八咫烏が頷く。


 


「その調子だ」


 


「今度はそこの鎌鼬の妖力を使ってみろ」


 


亜由が驚く。


 


「え?」


 


八咫烏が言う。


 


「式神として使役しているのだろう?」


 


「使えなくては今後もっと強い敵に出くわした時簡単にやられるぞ」


 


亜由は深く息を吸う。


 


「は、はい!」


 


式神の符を思い出す。


 


(式神にする時みたいに……)


 


ナチカを見る。


 


「……」


 


妖力を借りる。


 


ナチカが首を傾げる。


 


「?」


 


亜由が手を振る。


 


「えい!」


 


炎が風をまとった。


 


ドォォォン!!


 


魍魎が叫ぶ。


 


「ギャァァアアァァァ!?!?」


 


炎が風で激しく燃え上がる。


 


覚が驚く。


 


「まあ」


 


ノーマが目を見開く。


 


「……」


 


六花が叫ぶ。


 


「亜由ちゃんすごーい!」


 


亜由は驚いていた。


 


「……今の」


 


「私が……」


 


八咫烏が言う。


 


「見事だ……娘よ」


 


そして天を見る。


 


「天よ!」


 


「聞こえているか!」


 


天が飛び上がる。


 


「うん!」


 


八咫烏が言う。


 


「娘にお主の妖力を注ぎ込め!」


 


「娘よ!」


 


「その妖力と娘の式神の妖力を凝縮し!」


 


「頭の中で星を描け!」


 


天が元気よく言う。


 


「はーい!」


 


亜由が頷く。


 


「や、やってみます!」


 


妖力を集める。


 


木。


 


火。


 


土。


 


金。


 


水。


 


五つの力が集まる。


 


亜由の頭の中に星が描かれる。


 


五芒星。


 


その瞬間。


 


巨大な光が生まれた。


 


「陰陽五行――」


 


五つの力が一つになる。


 


「五星霊陣破」


 


ドォォォォォォォン!!!!


 


巨大な五芒星の光が魍魎を包み込んだ。


 


魍魎が絶叫する。


 


「何だ!?」


 


「この力はぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 


光が爆発する。


 


魍魎の体が崩れる。


 


そして――


 


塵となって消えた。


 


静寂。


 


亜由はその場に膝をつく。


 


「はぁ……」


 


「はぁ……」


 


六花が飛び跳ねる。


 


「すごーい!」


 


「一撃だ!」


 


雷が聞く。


 


「これはなにです?」


 


八咫烏が答える。


 


「今のは」


 


「陰陽五行」


 


「木火土金水を五芒星の形にして放つ」


 


「大霊術である」


 


少し考える。


 


「妖術を使ったから」


 


「大妖術とも言えるが」


 


「まぁ、そこは良いだろう」


 


雷が頭を下げる。


 


「八咫烏様!です」


 


六花が笑う。


 


「八咫烏様!」


 


「亜由に力貸してくれてありがとー!!」


 


八咫烏はそっぽを向く。


 


「フン……」


 


「見てられなかっただけである」


 


そして天を見る。


 


「天よ」


 


「娘に協力せよ」


 


天が笑う。


 


「わぁ!」


 


「私もそれしようと思ってました」


 


八咫烏が頷く。


 


「やはりそうだったか」


 


天が亜由の前に立つ。


 


「それじゃあ」


 


「よろしく」


 


亜由が笑う。


 


「……うん!」


 


水月が言う。


 


「……私もいいと思います!」


 


覚も頷く。


 


「えぇ、そうね」


 


ノーマも言う。


 


「うん!」


 


ナチカが静かに言う。


 


「ん」


 


「いいよ」


 


「……これで五行の火が揃うね」


 


八咫烏が少し驚く。


 


「む」


 


「やはりそうであったか」


 


天を見て言う。


 


「天はちと元気すぎだが」


 


「いい友となるだろう」


 


亜由は式神の符を取り出す。


 


妖力を込める。


 


集中する。


 


天の妖力が符へ流れ込む。


 


光が広がる。


 


そして――


 


八咫烏が言った。


 


「うむ」


 


「完了だ」


 


天が目を輝かせる。


 


「わぁ〜!」


 


「力が湧いてくる〜!」


 


亜由が笑う。


 


「あらためて」


 


「よろしく」


 


天が元気よく頷く。


 


「うん!」


 


木々の上。


 


八咫烏が静かに空を見上げる。


 


「……」


 


心の中でつぶやく。


 


(これでよいのですよね)


 


(天照大御神様……)

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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