ソフィーの物語・第1話『最初の探索』
お久しぶりの投稿です!
――バーニングスプリングス。
拠点と呼ぶには、まだ心許ないキャンプ。
だが、雨風をしのげて、火が焚けて、作業が出来る。
今のソフィーにとっては、それだけで十分だった。
問題は――食料と水。
バックパックの中身を確認し、ソフィーは小さく息を吐く。
非常食は残り僅か。浄水も、今日を越せば怪しい。
「……よし」
Pip-Boyの地図を操作する。
近くに、かつて営業していた大型スーパーの跡がある。
スーパーウルトラマート。
この世界では、運が良ければ缶詰や飲料、ジャンクの宝庫だ。
ソフィーはパイプライフルを肩に掛け、キャンプを後にした。
スーパーウルトラマートは、崩れかけた外壁と、色褪せた看板を晒していた。
中は薄暗く、天井の一部は抜け落ちている。
――嫌な予感は、こういう場所ほど当たる。
慎重に一歩、また一歩。
その時だった。
「おいおい、ガキが一人か?」
背後から、間延びした声。
振り向くと、粗末な防具を着た男達が二人。
略奪者だ。目が、完全に獲物を見るそれだった。
「荷物、置いていけ。命までは取らねぇ」
ソフィーは、怯えもしなければ、下がりもしなかった。
ただ、静かにライフルを構える。
――このアパラチアに来る前。
彼女は、トレジャーハンターまがいの事をして生きていた。
危険地帯を漁り、遺物を掘り当て、時には撃ち合いもした。
このパイプライフルも、ただの武器じゃない。
拾い物を組み替え、反動を抑え、貫通力を高めた魔改造品だ。
Pip-Boyが、低い電子音を鳴らす。
――V.A.T.S、起動。
視界が一瞬、切り替わる。
敵の輪郭が浮かび、命中率が数値で表示された。
「……遅い」
引き金を引く。
一発目で、リーダー格の男の脚が弾け飛んだ。
二発目、三発目。
V.A.T.Sの補正が、正確に急所を捉える。
「なっ――!?」
混乱するもう一人。
恐怖のあまり逃げ出した。
静寂が戻る。
ソフィーは深く息を吐き、V.A.T.Sを解除した。
「……無駄に絡んでくるから」
それからは、作業だった。
棚を漁り、缶詰を確保。
汚染されていない飲料を見つけ、ジャンクを回収する。
バックパックは、ずしりと重くなる。
それが、確かな生存の重みだった。
スーパーウルトラマートを出る頃、空は少し赤く染まっていた。
ソフィーは振り返らず、拠点への道を歩き出す。
――この世界は危険だ。
だが、戦える。
生き抜ける。
少女はそう確信しながら、アパラチアの荒野を進んでいった。




