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夢?

「桜木さん、良かった。意識が戻ったんだね。柏木くんはまだ意識が戻らないから……」


 先生は、真凛の顔を見て安心したような表情を見せた。しかし、真の意識が戻らないため複雑な顔をしていた。


「先生……すみませんでした。あの、柏木くんは?」


「まだ、意識が戻らない。桜木さんのことを庇ったから怪我がひどくて。命に別状はないけどね……」


「私のせいで……」


「違うよ、桜木さん。あの子は貴女を守ろうとしたの。だから、自分を責めないで?」


 労るような眼差しで先生は真凛に優しく微笑んだ。


「はい……先生」


 それから1時間ほどして、真の意識が戻った。真も検査入院することになり、夕食の時間になり、皆帰って行った。


 真凛は真の病室へ行くと、入院患者は真しかいなかった。


「柏木くん?」


 真凛が部屋を(のぞ)きながら声をかけると、真はやや驚いて返事をした。


「桜木先輩?」


「うん、入って良い?」


「良いですよ」


 真凛は中へ入ると真は手首に包帯を巻かれていた。

「……それ……」


「ああ……かっこ悪いですよね。僕、先輩のことを助けようとしたのに、こんな怪我しちゃって……」


 真は真凛に向かって微笑んで見せる。


「そんなこと! ごめんなさい! 私のせいで怪我させて」


「僕がしたかったんです」


 突然真剣な眼差しを向けた真に真凛はドキリとした。

 

「だから、気にしないで下さい」


「柏木くん……ありがとう」


 真凛が告げると満足そうに真は笑った。少し間を開けた真は突然真顔になる。


「……それよりも先輩」


「何?」


「僕……夢を見ました」


「夢?」


「はい、演劇で練習してる舞台の、中世ヨーロッパの“マリアとエドワーズの運命”の世界にいる夢を見たんです」


「え?」


「僕はエドワーズでした」


「……それ、私も見た。……私はマリアだった……」


 一瞬、真凛と真は瞳を交わす。


「同じ夢を見たってことですか?」


「きっとそうね」


「夢にしては凄くリアルで……」


「私も思った! まるでマリアになったみたいで……私の意識で動いているというよりも、動かされてるみたいな気がした」


 真凛達は顔を見合わせる。


「僕もです。記憶も何故か流れてきて、僕もエドワーズになっていました」


「どうして、私と柏木くんがエドワーズとマリアになったのかな?」


「何か繋がりがあるんでしょうね」


「うん……」


 2人は何となく黙り視線を彷徨わせる。ふと時計を見ると、もうすぐ消灯の時間だ。

「ごめんね、柏木くん。もうすぐ消灯みたい。病室戻るね」


「はい。おやすみなさい」


「おやすみなさい」


 真凛はそう言うとドアに手をかけた。その瞬間、静電気が流れた。


「痛っ……」


 真凛はその場に倒れてしまい、真もつられるように意識を失くした。

 

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