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王子様

「王子様、先程は失礼いたしました」


 王子と知ったミミはエドワーズに頭を下げる。


「いや、あの場であのように言われても仕方ありません。こちらも名乗りませんでしたし、確かに出会ったばかりの得体の知れない男ですから。お気になさらず」


 エドワーズはやや苦笑いをしながらミミに話した。


「まもなく到着致しますよ」


 お付きの男性が外を眺めながら告げてくる。


「ああ、ジャクソン庭の手配を頼む」


「かしこまりました」


「父上と母上に秘密にして中へ入るので、申し訳ありませんが、裏から入ることになってしまいます。こそこそさせて申し訳ありません」


 エドワーズは真凛に申し訳なさそうな表情を向け、頭を下げた。


「いいえ。頭を上げてください」


「……大丈夫ですか?」


「ええ、こうして王子様と過ごせることは凄いことですから」


 真凛はエドワーズに優しく笑顔を向けた。


「そう言って頂けると助かります」

 エドワーズは真凛に柔らかな笑みを浮かべた。


「さ、到着致します」


 ジャクソンが言うとまもなく、城へ到着した。


 真凛達は城の裏にある生垣の間にある細い抜け道から、庭へ入った。日差しが辺りを照らしてキラキラ輝いている。森林に囲まれた美しい庭だ。

 大きな池があり、色とりどりの花々が芝生に咲いている。鳥のさえずりも聞こえ心地よい。


「とても美しいわ……」


 無意識に真凛は呟く。


 芝生の上には白い丸テーブルが置かれていて、真凛達の為にお茶菓子が用意されていた。

「わぁ……素敵!」


 真凛は思わず感嘆の声を上げた。


「お気に召したようで光栄です」


 エドワーズは嬉しそうに真凛へ微笑む。


「どうぞ」

 エドワーズは真凛が座れるように椅子を引こうとする。


「エドワーズ様! そのようなことは私共が……」


「いや、僕がやりたいんだ」


 ジャクソンの止める声を片手で制し、エドワーズは椅子を引いた。


「……ありがとうございます」

 真凛は促されるまま席に付いた。


――王子様に椅子を引いてもらうなんて……。申し訳ないな。


 そんなことは全く気にしていない素振りで、エドワーズは席に付いた。ミミとジャクソンは少し離れた場所に控えている。


「さて。改めて自己紹介させていただきます。僕はアヴァンダ王国・第一王子の、エドワーズ・ホワイトと申します」


 そう言ったエドワーズはまるでお手本のような美しいお辞儀をした。


「私は、マリア・レームと申します。父が公爵をしております」

 

 真凛はマリアとして失礼のないように気をつけながら、丁寧にお辞儀をした。


「マリアさん、落ち着いて聞いてください。僕の王家と君の所のレーム家はね、敵対しているんですよ」


「え……何故ですか?」

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