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部室にて

 最後の方はどんどん声が大きくなって内緒話どころではなかったのだが……。さやかは2人を認めたようだ。


「うん、絶対幸せになる」


「うん、僕達は幸せになるから安心して」


 その姿を見たさやかは呆れたように笑った。


「あ〜あ。やってられない! 柏木くん、私を振ったこといつか後悔するかもしれないからね」


 そう言うとさやかは皆の方へ歩いて行った。

 真凜と真はそんなさやかの後ろ姿を見送ると、真は真凜の方へ視線を向けた。


「先輩、今度……デートに行きませんか?」


「え? デート?」


「はい」


「うん! 行きたい!」


 真凜の言葉に真から笑顔がこぼれる。


「そうしたら……行きたい所ありますか?」


「う〜ん……そうだね……遊園地? それとも動物園? 水族館? それとも観劇に行く? 映画とかは?」


 真凜の提案に真はクスクス笑っている。


「どうしたの? 真くん」


「いえ、笑ってすみません。行きたい所いっぱいだなって」


 その言葉に真凜は頰を赤く染めた。


「だって、あれもこれも良いなって思ったから」


「良いですよ。どれにしますか? さすがに全部は行けないので。映画にしますか? 観劇も良いですけど」


「うん、ちょうど今観たいのあるんだ」


「何が観たいんですか?」


「えっとね、『時を超え巡り逢う初恋』って映画」


「あ、あの映画ですか? 僕も観たいと思ってました」


「じゃあ、それにする?」


「はい」


「いつ行く? 今度の部活が休みの日の日曜日にする?」


「はい、ちょうど予定ないですし、良いですよ」


「じゃあ、今度の日曜日。待ち合わせはどこにする?」


「そうですね……家まで迎えに行きます」


「え? わざわざ良いよ」


 真は真凜の瞳を覗き込む。


「……真くん?」


「まあ、もうストーカーは平気だとしても、他の男に見せたくないんですよね、先輩可愛いのに無自覚だから」


 聞こえるか聞こえないか分からない程の声で、真凜の近くで真は囁いた。


「真くん……」


 真凜は不覚にも鼓動が早くなり、体が熱くなって来てしまう。


「なんか、キャラ違くない?」


「……そうですか? ああ……エドワーズと同化したからなのかな?」


「え? 同化?」


「あの時、僕が死にかけた時。夢に出てきたんです。その時に、エドワーズと僕は1つに同化しました」


「それで……目覚めてからの真くん、前と何かちょっと違う気がしたんだ……」


「きっと、そうですね」


「真凜先輩」


「え? 何?」


「楽しみですね」


「うん」


 真凜は真と笑顔で見つめ合う。ふと周りを見ると、他の部員達からニヤニヤされながら遠巻きに見られていた。


「私達のことは気にしないで?」


「そうそう、もっと熱々ぶりを見せて?」


「見せる訳ないでしょう?!」


 真凜は部員達から逃れるように、真と一緒に部室を飛び出した。


 2人は屋上へ来るとホッとため息を付く。


「最初からここに来れば良かったね」


 フェンスにもたれながら真凜は話をする。


「そうですね、皆冷やかして来ますから」


「ねー」


「真凜さん」


 突然名前を呼ばれ真凜はドキッとする。


「何?」


「これからもずっと傍にいてくれますか?」


「え?」


「今だけじゃなくて……大人になってもずっと……」


「ずっと……」


「嫌……ですか?」


「ううん、嬉しい! 私もずっと、一緒にいたい。ずっと一緒にいよう? 真くん!」


「はい!」


 真は真凜を抱きしめながら返事をした。

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