いつの日かきっと
「ジャクソンの?」
「ええ。一人になりたい時にこちらへ来るのですよ。ここは私しか利用しませんから人目は気になりません。どうぞ、気の済むまでお話ください」
「ありがとう、ジャクソン!」
「ありがとうございます!ジャクソンさん!」
深々と頭を下げジャクソンは出ていく。
中はこじんまりとしているが、小さな寝床と暖炉がある。
一瞬意識がマリアから真凛へ、エドワーズから真へ切り替わる。
「真くん、大丈夫?!」
「はい、僕は今エドワーズですから。きっと大丈夫です。真凛さんを残して死んだりしません。せっかく未来で再会出来たんですよ?」
「そうだよね。信じるよ、私」
真は、エドワーズの顔と声で話す。姿形は違ってもやはり、雰囲気と瞳は変わらない。
すぐに真と真凜はエドワーズとマリアに意識が戻る。
「マリア、元気にしてるのかい?」
「ええ……離れてからも、エドワーズ様を想わない日はありませんでした。エドワーズ様。突然出ていって申し訳……」
「謝らなくて良いよ」
「え?」
「父上の仕業なんだろう? 君が私を愛していたのは知っている。それなのに突然別れようなんて考えられるかい?」
「エドワーズ様……エドワーズ様こそ眠れていますか? 少しおやつれになっていませんか?」
「大丈夫だよ……私より君の方こそ……」
エドワーズはマリアの顔にクマが見え、頬に指先を触れようとしたが、思い留まり手を戻した。
エドワーズは実はあまり眠れていない。だが、マリアに心配をかけまいと嘘を付いた。マリアも食欲があまりないものの、何とか元気に振る舞っていた。
目線を伏せて言いにくそうにエドワーズは話し始める。
「……父上の用意した娘と結婚することになった。君以外の人と結婚するなら心なんて捧げる気はない。心は永遠にマリアのものだ。……だが、次期国王として国をおろそかには出来ない。だから、君に恥じない立派な国王になるよ」
その言葉を聞きマリアは切なげな瞳をむけ、しかし安心したような表情を見せた。
「エドワーズ様……私もです。貴方以外の男性など興味ありません! 他の男性などお断りです! エドワーズ様。愛しています」
「私もだ。マリア、君を……君だけを……愛してる」
2人はもう一度最後に抱きしめ合い静かに涙を流した。
「約束しよう。もし、生まれ変わりがあるのなら……いつか生まれ変わったら……その時は必ず……必ず! 逢いに行くから!」
これが元の話が変わった結末。前世の肉体へ入った2人は運命を変えた。マリアは病死せずにすみ、エドワーズは国を破滅に追いやらずにすんだ。
* * *
真凜は目を覚ますと真っ白な天井が目にうつる。真凛は空いてるベッドに寝かされていた。
――前にもこんなことがあったな……。
真凜は最初に運ばれた時のことを思い出していた。
「真凜、気がついた?」
傍にいた匠は真凛にそっと声をかける。
「……お兄ちゃん……」




