恵美と匠
あの出会いから数年経ち、恵美は調理師として飲食店で働いている。匠は大学4年になった。
最近、匠の周辺が騒がしい。真凜に彼氏が出来たそうだ。詳しいことは教えてくれないが、野球部らしい。
そんな話を聞いてしばらくしてから、真凜にストーカーが現れた。そんな時、家まで送ってくれた男子に会い、匠は一目見て真を気に入った。
匠は恵美の部屋でくつろいでいた。
「ねぇ、匠」
「ん〜?」
「家の弟、好きな子いるんだって」
「へぇ~」
「その子ね、彼氏いるらしいよ」
「うん。ん? 彼氏いるの?」
「うん。でね、部活の先輩なんだって」
「へぇ~、先輩ね……なんか……真凜だったりして?」
「え? 真凜ちゃん?」
「そういえば、真くんって演劇部だっけ?」
「そう。演劇部。そうなら応援したいなぁ。真凜ちゃん良い子だし、家の弟も負けずに良い子だしね」
「うん、そうだね……真凛がさ、生まれ変わりの本を買ったみたいなんだ」
「うん、……もしかしてそれって『運命の人』って本?」
匠はやや驚いた様子で恵美を見つめる。
「うん、そう。って何で?」
「それ、真も持ってる」
「マジか……」
「あの2人って運命なのかな?」
「どうだろう? でもさ、俺達も初めて会った時から、初めてじゃない気はしてたよね?」
「そうね。きっと私たちも……誰かの生まれ変わりなのかも」
「そうだね。誰かの」
「運命って不思議だね」
「そうだね……人知を超えてるよね」
「真凜ちゃん、彼氏と別れられたのかな?」
「……まだみたいだよ。何でも甲子園終わるまで待ってと言われたらしい」
「そうなの?」
「そう」
「ふぅん? 何でか分からないけど、早く別れたら良いのにね。もし、弟が真凜ちゃんの好きな人で、弟の好きな人が真凜ちゃんなら、きっと上手く行くのに……」
「うん、そうだね」
「匠」
「ん?」
「私と出逢ってくれてありがとう」
「え? 急にどうした?」
「ううん。何かね、運命とか生まれ変わりとか言ってたら、こうして私達が出逢えたことも、まるで奇跡だと思って。同じ時代の同じ国に産まれて、今こうしていられるんだもん。凄いことだよね……」
「恵美……そうだね。確かに。偶然の一言じゃ片付けられない。運命なのかも。俺の幼なじみがさ、大学で生まれ変わりのサークルに入ってるんだ。今度、話聞いてみる?」
「そうなの? 面白そう! 聞いてみたい!」
「分かった。今度話してみるよ」
「うん、ありがとう」
* * *
真凜と真は現代へ戻って来てから数日後。真凜の家に真と悟、匠が集まっていた。花火大会で会ってから野放しになっている、ストーカー男子のことを話し合う為だった。




