エドワーズの想い
エドワーズはマリアと同じく残念な結果を受け止めていた。
「どうしたら結末を変えられるんだ? それとも、結婚することが大事ではないのか?」
1人部屋でぶつぶつとつぶやいてしまう。
「マリアと話したい」
コンコンとノックが聞こえジャクソンが入って来る。
「エドワーズ様、気持ちが落ち着くハーブティーをお持ち致しました」
「ありがとう、ジャクソン」
「いえ」
そう言うとジャクソンは何も言わず、エドワーズを見つめる。
「何だ?」
「エドワーズ様。何のお力にもなれず、申し訳ございません」
伏し目がちになりながらジャクソンはエドワーズに詫びる。
「ジャクソンは協力してくれたではないか」
「ですが」
「もう一度、マリアと会って話が出来たら……」
その言葉にジャクソンは何かを思い出したようだ。
「エドワーズ様……」
「どうした?」
「……マリア様とお会いできますよ」
「本当か?」
「ええ。エドワーズ様のご婚約の式典の日です」
それを聞いたエドワーズはがっくり肩を落とす。
「婚約の式典の日なんて、間が悪すぎだろう?」
「申し訳ございません、他に日にちがなく……」
「いや、ありがとう。こうなったら僕も運命を受け入れるよ」
「結婚は政略結婚だ。気持ちなんていらない。僕にはマリアだけだからね。だからって次期国王としてすべきことをしないと、この国は大変なことになってしまう。そんなことにしない為にもマリアの為にも、僕はしっかりと務めをはたすよ」
「エドワーズ様」
「ありがとう、ジャクソン。気持ちがスッキリしたよ」
ハーブティーを飲み終えたエドワーズは、ジャクソンに微笑んだ。
「いいえ」
それから数日が経ち、王家とレーム家の家族が顔を合わせることになった。
「初めまして。エドワーズの姉のエミリーです」
「初めまして。マリアの兄のパトリックです」
この2人もお互いに惹かれ合ってしまうのだが、妹や弟を差し置いて自分達が幸せになる訳にはいかないと、2人は友人でいることに決めた。
やがて2人は生まれ変わり、匠と恵美として知り合い恋に落ちる。
* * *
「桜木匠!」
「え? 誰?」
「誰じゃないわよ! この間自己紹介したでしょ?! 柏木恵美よ!」
出会いは高校生の時。放課後の廊下で柏木恵美は叫んでいた。
「何? 柏木さん」
「私と友達にならない?」
気の強そうな瞳を匠に向けながら女王のように堂々と立っている。
「は? 友達?」
「何? 嫌なの?」
「いや、嫌じゃないけど……何かと思った……」
「私ね、初めて貴方を見た時に前にどこかで会ったことがある気がしたの」
「俺も」
それは2人にとって不思議な感覚だった。
こうして2人は友達になり、やがて付き合うようになった。




