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2人のために

 ミミはジャクソンと2人で話せる場所へ移動した。人気のない安全な場所。とはいえ、エドワーズの城の庭園になってしまったのだが。


「突然押しかけて申し訳ありません」


「いえ、ちょうど手が空いている時間でしたので、大丈夫ですよ」


 ジャクソンはミミに優しく微笑む。2人は庭園のテーブル席に腰を下ろした。


「お話はエドワーズ様とマリア様のことですね?」


「ええ……エドワーズ様はお元気でらっしゃいますか?」


「……眠れず食事もまともに取れてません。無理にでも召し上がっていただきたいのですが……」


 ジャクソンは苦しげに顔を歪める。


「そうですか……マリアお嬢様も同じです。もし、今回お2人がご結婚出来ないのだとしても、一度2人でお話をしていただきたいのです」


「お話を?」


「ええ……。お2人が納得の行く形に収まるように」


「そうですね……ですが、状況は厳しいと思います。あれ依頼エドワーズ様は監視されていますので」


「監視ですか?」


「ええ……こっそり抜け出してマリア様の元へ行かれないように……と。国王様のご命令により監視されています」


「一国の王子を監視ですか?」


「おかしいことでも、それが国王の意向なのです」


「では、どうしましょう?」


「来月、婚約発表の式典があります。その時を利用するのはどうでしょうか?」


「そうですね。その時にお2人を引き合わせましょう」



* * *



 ミミが城へ帰るとマリアが頼みがあると近付いて来た。


「私、刺繍を上達させたいの」


「刺繍……でございますか?」


「ええ……私、刺繍だけは苦手で……でも、エドワーズ様に気持ちを込めて刺繍をしたハンカチを差し上げたいの」


「それは素晴らしいですね」


「ここ何日かずっと辛かったわ……。でもね、私思いましたの。エドワーズ様の為に身を引いた私が不幸でいてはいけないって。だから、前へ進むためにもエドワーズ様に刺繍のハンカチをお渡ししたいの」


 マリアは目線を伏せながら話続ける。


「こんなに誰かを好きになったのは初めてなの。きっと、エドワーズ様以外の殿方は愛せないわ。……でもね、それでも構わない。私は幸せに生きるわ。もちろんエドワーズ様にもお幸せになってほしいわ」

 

 気付くとマリアの頰を涙が伝って行く。


「マリア様……」


 マリアの健気な姿にミミは胸に込み上げて来るものがあった。


「……ミミ。ありがとう」


「なんですか? 急に」


「いつも私に寄り添っていてくれるでしょう?」


「当たり前です。お嬢様は私の大切な主なんですから!……勝手に妹のように思わせて頂いてます」


「ふふ、ありがとう。私もミミのことをお姉様のように思っているわ」

 マリアはミミに向かって柔らかな笑みを浮かべた。


「光栄です。お嬢様」


 それからミミに刺繍を教わりながら、ハンカチに刺繍を施して行き、完成した日の夜。疲れたマリアはハンカチを手にしたまま、寝落ちしてしまった。



* * *



 マリアは目を覚まし辺りを見ようとすると、そこにいたのは真凛の母親と医師だった。

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