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婚約者

 エドワーズにとっては永遠のように長く感じられた拷問のような苦しい時間は、夕刻の鐘の音と共に解放された。


 1人部屋へ戻り、考えるのはマリアのこと。


――マリア。君は今どうしてる? 君に逢いたい。今すぐに逢いたい!


 婚約者は政略結婚によるもので、感情などは伴わない。しかし、令嬢の方はエドワーズをひどく気に入ってしまった。


「エドワーズ様。今度ゆっくり2人でお話したいですわ」


 にこやかな笑顔でエドワーズに帰り際そう告げた令嬢は、エドワーズにとっては苦痛でしかなかった。


 王家の結婚は政略結婚は当たり前。幼い頃からそう教わって来た。そんなことは分かっている。分かってはいても、マリアに出逢ってしまったのだ。もう、マリア以外の女性を愛することは出来ない。


 エドワーズはそれからというもの、食欲がなくなり、寝つきが悪くなってしまった。

 

 心配したジャクソンは夕飯を終えた後、寝室でベッドに座っているエドワーズに声をかけて来た。


「エドワーズ様……」


「……ああ」


「今日もあまりお食事をお召し上がりになれなかったようですね」


「そうだな。食欲がないんだ」


「食事と睡眠は取らないと体に障りますよ」


「ああ、分かっている。でも、苦しいんだよ」


「エドワーズ様……」


「逢いたいんだ、マリアに!」


 エドワーズは頭を抱え込んでうずくまる。


「どうにかして逢えないだろうか?」


「国王様の監視がありますから……」


「監視……」


「私が手配致しましょう」


 ジャクソンはエドワーズを哀れに思い、気付いたらそう告げていた。



* * *




マリアもまた、あの日から眠れない日々が続いていた。


「エドワーズ様……」


 物思いにふけるマリアをミミは心配そうに見つめている。


「マリア様、今度珍しい果物が市場に出るそうですよ? 見に行きませんか?」


「……今はいらないわ」


「そうですか」


 ミミは窓の方を見ると明るい光が差し込んでいる。


「見てください! お嬢様。こんなに綺麗な青空が広がってますよ!」


 チラリと視線を向けるものの、マリアは視線をすぐに反らしてしまう。ミミはそんな様子のマリアを見てある人に会おうと決めた。


 翌日。ミミは1人で馬車に乗り城へ向かった。元気のないマリアの為に出来ること。それはあの人に会うことしかないと今は感じていた。しかし、何の約束もしていないのに城の中へ入れるのか……悩んでいた所へちょうどタイミング良く、現れてくれた。


「貴女は……ミミさん?」


「はい、覚えていてくださったんですね」


「もちろんですよ。今日は何故こちらに?」


「……マリアお嬢様とエドワーズ様のことで……」


 その言葉にジャクソンは切なげな瞳をミミに向けた。


 

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