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眠れない夜

 マリアは部屋へ入るもまだ昼過ぎ。眠るには早い時間だ。頭に浮かぶのはエドワーズの顔だ。


「エドワーズ様……」


 真凛は恋を知らなかった。けれど、マリアとして過ごすうちにエドワーズへの想いに気が付いた。


――これが恋だなんて……。悲しいよ。マリアさん、私これで良かったの? もっと、抵抗した方が良かったの? エドワーズ様! 勝手にいなくなったりして……ごめんなさい!


 マリアはベッドへうつ伏せに倒れ込み、流れても流れても溢れてくる涙をただ、受け止めていた。




* * *




 エドワーズは仕事が終わりマリアの待つ家へ直行した。玄関のドアを開けると明かりが付いていない。


「マリア? ただいま」


 返事もなく何となく不思議に思いエドワーズはマリアといつも過ごしている部屋へ入ると、そこには置き手紙が置かれていた。


 エドワーズはその手紙を手に取る。


「え?」


 エドワーズの心臓は嫌な音を立てた。


「何で?」


 エドワーズの手紙を持つ手は、震え始めた。


「何だよ、これ!」


 そこに書かれていたのは別れの言葉だった。


『エドワーズ様へ。


貴方とはもう一緒に暮らせません。ごめんなさい。とても幸せでした。どうかお幸せに。 マリア』


 エドワーズは手紙を握り締めた。


「マリア! どうして?!」


 エドワーズは神経が高ぶり眠ることが出来なかった。


――君のいない人生なんて!



 翌朝、ジャクソンが迎えに来た。タイミングが良すぎて怪しく感じたエドワーズは、ジャクソンに詰め寄った。


「ジャクソン! これはどういうことなんだ?」


「エドワーズ様……」


 ジャクソンは苦しそうに顔を歪めた。


「父上か?」


「……はい」


「戻ろう!」




 エドワーズはパン屋へ寄り、マリアがいなくなったと伝え、パン屋を辞めることを伝えた。


「……残念だけど仕方ないね。マリアさん見つかると良いね」


 奥さんはエドワーズに寄り添ってくれる。


「ありがとうございます。お世話になりました」


「いつでも来いよ」


 店長もエドワーズに声をかけてくれた。


「はい!」



 店を出るとジャクソンは馬車で待っていた。

「急ごう!」



 馬車を走らせること数時間後、城へ着くとエドワーズは国王のいる部屋へ向かった。この時間は仕事をしているはずだ。


 エドワーズは国王の部屋の前で立ち止まり、ノックをした。


「入れ」


「失礼致します」


 ドアが開きエドワーズの姿を見ると、国王は嬉しそうに目を細めた。


「……エドワーズか。よく帰ってきた」


「……ただいま帰りました。父上、お話したいことがございます」


 エドワーズは父親に対する苛立ちを抑えながら、努めて冷静な態度を心がけた。


「ああ……もう少しで終わるから少し待ってくれ」


「分かりました」



 応接室で待つエドワーズには待っている時間が、永遠の長さに感じられた。

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