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エドワーズの未来

 マリアがドアを開けるとそこに立っていたのは、国王陛下だった。


「……国王様!」


 思わずマリアはひれ伏した。


「マリアさん、そのようなことをせずとも良い」


「ですが……」


 マリアはひれ伏したまま、話をする。


「体を起こしてくれ。今日は頼みがあって来たのだ」


 その言葉にマリアは体を起こし、国王を部屋へ招き入れた。


「どうぞ、狭いですが」


「ありがとう」


 応接室へ入ってもらい、マリアは国王にどんな飲み物を出そうか迷っていた。


――やっぱり紅茶かな?


 マリアはジャクソンが用意してくれていた

高級茶葉の紅茶を入れた。


「どうぞ」


「ああ、ありがとう」


 国王は紅茶を一口飲むと微かに目を見開いた。


「この紅茶は、マリアさんが購入したのか?」


「いいえ、ジャクソンさんがあらかじめ用意してくださった物です」


「やはりそうか。暮らしに不自由はしていないようだな? エドワーズはどうしているのかな?」


 穏やかな眼差しに柔らかな声で国王はマリアに話し続ける。


「エドワーズ様は、お仕事に行かれています」


「エドワーズが? どのような仕事をしているのかな?」


「パン屋で対面販売のお仕事をされています」


「あの、エドワーズが? 労働を?」


 国王の口ぶりに違和感を感じたマリアは国王に尋ねた。


「あの……国王様?」


「何だね?」


「それ程珍しいことなのですか?」


「ああ……そうか。マリアさんは知らないようだな。エドワーズは不真面目ではないものの、次期国王としての自覚が足りない所があってな。公務もあまり参加したがらなかったし、目を離すとすぐに街へ出てしまう所があったんだよ」


「そうなのですか」


 いつも頑張っている姿を見ていたマリアには、信じ難い話ではあった。


「だから、今こうしてマリアさんと一緒に暮らす為に労働をしていることはとても喜ばしい」


 国王は紅茶を飲み、マリアも緊張を緩和させようと紅茶を飲んだ。


「さて、マリアさん」


「はい」


 優しい雰囲気から真面目で厳かな雰囲気に変わり、マリアは背筋を伸ばした。


「本題に入ろう」


「……はい」


「エドワーズの未来の為に、エドワーズと別れてほしい」


 静まり返った部屋に国王の声だけが重く響いた。


――やっぱり、そうなるの? でも、別れたくない。だけど、エドワーズ様の為に……。


「2人が本気で想い合っているのは知っている。私と君の親との不仲のせいで君たちには申し訳ないと思う。しかし、どうしても折れることは出来ないのだ。申し訳ない」


 国王はマリアに深々とお辞儀をする。


「国王様……」


 マリアは胸に熱いものが込み上げて来ていたものの、ここで泣いてはいけないと唇を噛み締めた。


「……分かりました」


 微かに声は震えたものの、マリアはしっかりと返事をした。


「エドワーズ様の為に身を引きます」




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