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思いも寄らない来客

 楽しい日々はあっという間に流れて行き、気がつけば2つの季節が通り過ぎて行った。


 寂しかった風景に色とりどりの花々が咲き誇る季節。暖かくなって来た優しい空気の漂うある日のこと。それは突然訪れた。



 マリアはエドワーズをいつものように見送ると家事をしていた。すると、ドアをノックする音が聞こえた。微かに声も聞こえる。マリアは警戒しながら近づくと、そこには聞き覚えのある懐かしい声。ミミの声が聞こえた。


「お嬢様! マリアお嬢様!」


 ドアを激しくノックしている音に戸惑いながらも、マリアはドアを開ける。


「ミミ?」


「お嬢様!」


 ミミはマリアに勢いよく抱きついて来た為、マリアは一瞬ぐらついた。


「ちょっと……ミミ?」


「お嬢様……心配してたんですよ! お元気にしてましたか?」


 潤んだ瞳でマリアを見つめるミミに何となく罪悪感を抱きながら、マリアは中へ招き入れた。


「ええ……上がって?」


 マリアはミミに紅茶を用意した。


「お嬢様……私が用意致します」


「良いのよ、遠い所疲れたでしょう? 座ってて?」


「ありがとうございます」


 2人で紅茶を飲んでいるとミミは話し始めた。


「お嬢様……」


「何?」


「今幸せですか? 苦労されていませんか?」


「ええ、とても幸せよ。これからもずっと続いて行けばと願ってるわ」


「……そうですか。ですが、お嬢様。もう、限界です」


 マリアはその言葉に心がぐらついた。


「限界って、お父様とお母様のこと?」


「はい」


「私の弟からの報告で、無事に暮らしていることは聞いておりました。ただ、ごまかすにも令嬢の家にずっとお世話になっているという話には、無理がありすぎます」


 マリアはティーカップを静かに置いてミミのことを見つめた。


「そうよね……ごめんなさいね。そんな気苦労かけて」


「いいえ、本来ならお嬢様の恋を応援したいのです。謝らないといけないのは私の方です」


 ミミの瞳はうるうると涙がこみ上げて来ている。マリアも離れなければいけないことを考えると胸が苦しくなって来ていた。


「少し、時間をくださらない?」


「どのくらいですか?」


「そうね……1週間」


「1週間もですか?」


「ええ、ごめんなさい。私も心の整理をつけたいの。それと、こちらの近所に住んでいるパトリシア・ローチという令嬢がいるの。そちらにいることにしてくださる?」


「それは構いませんが……」


「ありがとう、ミミ」


 その日はそれで帰って行った。その翌日、思いも寄らない来客が訪れた。


 その日もエドワーズは仕事へ行っていた。 

 昼食後ののんびり過ごしていた時だった。ドアを外からノックする音が聞こえて来た。


――誰?


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