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暮らし

「ただいま帰りました!」


 ドアが開きエドワーズがパンを抱え帰って来た。マリアは玄関まで出迎えに行く。


「おかえりなさい! ありがとうございます」

 満面の笑みでエドワーズを迎えると、エドワーズはパンをマリアに渡し、“仕事が決まったよ”と告げた。


「え? お仕事が決まったのですか?」


「ああ。今行ってきたパン屋で明日から働くよ」


「良かったですね。頑張ってください!」


「ありがとう」



 2人でテーブルを囲み朝食を終えると、マリアは掃除と洗濯に取りかかった。マリアはしっかり教育を受けて来たようだ。


 真凛は現代のことしか分からないが、マリアの記憶を頼りに一通りのことはこなせてしまう。


――マリアさん、前世の私! ありがとう!


 家事を終えて部屋へ入るとエドワーズが暖炉の傍にいた。


「エドワーズさん」


「マリア」


 暖炉に手をかざし温まっていたエドワーズは、マリアの呼びかけに笑顔で振り向いた。


「こうして過ごすの夢のようですね」


「そうだね、両親は反対しているからね」


 エドワーズは切なげな瞳をマリアに向ける。

「君のご両親も反対しているのかい?」


「ええ……あ」


 マリアは両親という言葉に突然思い出す。


「私……ちょっと出かけることにしたままでした。ミミとお兄様には伝えて来ましたけど……今頃心配しているかしら?」


「そうだね……ご挨拶もないまま、君を(さら)って来てしまったからね。落ち着いたら挨拶しに行こう、許して頂かないとね」


「そうですね」


 これから先もずっと一緒にいたい。出逢ったばかりなのに気持ちがどんどん大きくなっていた。


――この気持ちは私の気持ち?それともマリアの気持ち?


 真凛は前世の自分になってはいるものの、エドワーズへの気持ちが自分の気持ちなのか、マリアの気持ちなのか分からずにいた。




* * *




 翌日、エドワーズは約束の時間にパン屋へ向かった。


「エドワーズと申します。よろしくお願い致します!」


 エドワーズは昨日の2人に深々とお辞儀をする。2人は軽くお辞儀をした。


「よろしくお願いします」


 挨拶もそこそこに店長から仕事の説明を受ける。


「仕事は中で生地を作って焼いたり、お客さんが持ってきた生地を焼いたりする。そこで対面販売をしている」


 店長は、昨日対面販売をしてくれた奥さんが立っている場所に手を差し出す。


「エドワーズさんはパン屋の経験は?」


「いいえ、初めてです」


「そうか。それならそこの対面販売をしてくれ」


「分かりました」

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