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異世界からやってきた妹(自称)が、僕に甘々してくる話。  作者: 茉莉鵶
第一章 異世界からやってきた戸籍上は妹(自称)編
14/21

第十四話 妹(自称)と女友達と過ごす夜に④


四月八日、二十一時頃────


 女同士の友情は“薄い”とか“ない”とか、ネット上でよく見かけるが、恐らくそれは…真の友と呼べる程の関係まで至っていない、互いに利用価値があるだけの“薄っぺらい他人”同士で起きたトラブルの体験談が、吹聴されてるに過ぎないというのが僕の仮説だ。

 実際には、女同士の友情は…強いものだと僕は思っている。それは普段、高校の部室でのW杉崎先輩と海野部長とのやり取りを見ていれば分かる。


 それと似たような光景を、僕が目の当たりにしたのは、先程のお風呂場での出来事だ。

 急に朱梨さんが英莉菜と罵倒し始めたかと思いきや、それは僕の動向を確かめる為の二人の迫真の演技だったのだ。でも、どこまでが本当に計画されていたのかは、二人は笑って教えてくれなかったが…。

 仲が悪そうに見えて…実は連携をとって、W杉崎先輩が海野部長を追い込んでいく姿が、今日の二人の姿と重なったからだ。

 でも、出会ってすぐに意気投合するだろうかとは思うので、これも僕の仮説の域を出ないが。


 「そう言えば、英莉菜ちゃんてさ?スマホ持ってないんだったよね?」


 「うん…。欲しいんだけどねぇ…結以さんが、ダメだって。『暁人さんは自分で貯めて買ったわよ?』って言われたぁ…。」


 今だって、僕の部屋のローテーブルで二人仲良く並び、課題の続きをやりながら世間話をしている。


 「ねぇ、暁人くん?ご両親…そういうところ結構シビアなの?」


 「あー。結構ミニマリストなところがあってさ…?本当に要るの?要らないでしょ?ってなるな…。まぁ…我が家の部屋数、考えてみてくれれば分かると思うよ?」


 僕が英莉菜と朱梨さんの二人と付き合い始めたのは、そういう子供の頃からの反動なのかもしれない。まぁ…そんな理由から付き合っているというのは、冗談だが。でも、凄い贅沢をしている感じがするのは本当だ。


 「私、朱梨さんとぉ…スマホで秘密のお話したいいぃ!!」


 「おいっ!!そこの若者っ!!どうにかならんのかね…?」


 やはり、可愛くなっても朱梨さんの中身は二次元オタク、端々にオタクっぽい表情を覗かせる。

 どうにかと言われても…古い機種なら手元にあるが、恐らく最新のOSには対応出来ない為、SNSアプリも使えないだろう。

 こういう時、突然…救世主が現れないものだろうか…と願っても現実は残酷で、現れるはずもない。


 「家にいる間でいいなら、僕のタブレット使うか?」


 「ああ…可哀想な英莉菜ちゃん。スマホデビュー出来ないなんて…。ああ…可哀想な英莉菜ちゃん…。」


 今、二度言ったな…朱梨さんめ。


 「お兄ちゃん…。私…パ○活も出来ないよぉ…。スマホ買うお金が欲しいのにぃ…。」


 「まぁ…可愛い妹(自称)にそんなことさせない為でもあるぞ?」


 「さっすがぁ!!英莉菜ちゃんの鬼畜なお兄さんでマニアックプレイ好きの暁人くんだねぇ!!うちのママも最初は驚いてたんだけど…今度、ママが暁人くんに会った時…好きなだけさせてあげるって、ノリノリで困ってるんですけど!!」


 「ま、まじで!?じゃあ…お母さんに覚悟しとけよって、伝えといてくれる?」


 ──パシンッ!!


 「ハァ?!最っ…低っ!!」


 力一杯僕の右頬へ朱梨さんのピンタが飛んできた。一瞬目の前がチカチカして、星が飛んだようになった。

 ここまでの話の流れでネタになると思って、完全に冗談で言っただけだったのに。


 「お兄ちゃん!?だ、大丈夫…?!朱梨さん…これは酷いよ!!お兄ちゃんはぁ…ネタで言っただけだよ!!私たち以外、興味ある訳ないでしょ?もし…興味あったらぁ…?ハサミでチョッキンして、お兄ちゃんとはバイバイだけどぉ…?」


 だから…英莉菜は何で僕がネタで言ったって分かるんだよ。まるで昔から、僕の行動見守ってきた…本当の妹みたいじゃないか。

 にしても…ハサミで切られた上、英莉菜に捨てられるのだけは、絶対勘弁して頂きたい。でも、そういう地球上で起きた出来事や雑学的な知識でさえ、意外と豊富なんだよな…英莉菜は。どこで覚えたんだろうか?


 「そ、そうなの?!暁人くん、叩いてしまって…ゴメンなさい!!」


 「ああ…。僕のは英莉菜と朱梨さんにしか使わないって、付き合い始めた時に決めてるからな?それに、プロ中のプロとしてもなぁ…僕が優位に立てる気しないしな?僕的には…いや、何でもない。まぁ…そういう事だからさ?」


 言いかけた事については、朱梨さんにはするつもりはないが、英莉菜なら僕の言うことは何でも受け入れてくれると思うので、僕の頭の中では…そんな未来の妄想が膨らむ。


 「お兄ちゃんになら…私、何されても良いよ?私の身勝手で…お兄ちゃんには酷いことさせちゃったよね?きっと…嫌だったよね?」


 「いいや?もっとしたいくらいだったぞ?本当に、ありがとうな?」


 何を急に、しおらしくしてくるんだよ。ただでさえ可愛いのに、もっと可愛らしく見えてしまう。


 「私…もう、お兄ちゃんじゃないと…ダメみたいなんだよね…。そんなこと言ってくる私、キモいよね?」


 「僕は、そんな英莉菜も、どんな英莉菜でも大好きだからさ?」


 それで良いんだよ。僕以外に腰をふっている英莉菜なんて、絶対想像したくもない。


 「あ、あのぉ…?暁人くんは…英莉菜ちゃんのこと、最終的にはどうしたいと思ってるの?」


 「人並みの幸せを与えてあげたいと思ってる。これで、答えになってるかな?」


 何度も言うようだが、英莉菜とは血縁関係なんてない。だから、二人の子供を作ったって遺伝学上は問題ないはずだ。まぁ…異世界からやってきてるから、地球の人間との子供が出来ない可能性はあるけど。


 「な、なら…だよ?わ、私のことは、どうしたいって思ってるのかな?」


 不安げな表情で朱梨さんは僕を見ている。


 「朱梨さんも英莉菜と同じじゃ、満足出来ないかな?」


 付き合い始めて初日に、そんな事聞かれるとは思わなかった。お互いに高校卒業まで二年弱程まだある。英莉菜の卒業まで考えれば三年弱もある。

 それまでの間に、この三人がどうなっているかなんて分からない。だから、今の僕のできる精一杯の返事が、さっきの英莉菜の件についてだった。


 「ううん…。つい心配になっちゃって…。ゴメンなさい…。」


 「さっきも言ったけど、今日は死に急ぐくらい焦りすぎたからさ?ここで気持ち一度リセットして、ゆっくり付き合っていこうよ。」


 「お兄ちゃん…?私のお尻はぁ…どうすればリセット出来るかなぁ…?」


 「ぷっ…ふふっ…。あははははっ…。」


 急に英莉菜が立ち上がると、お尻を押さえながら真顔で僕に訴えかけている姿を、真横で見ていた朱梨さんが堪えきれなかったのか、吹き出して笑い始めた。

 どういう訳だろうか、英莉菜が凄く満足気な表情をしており、気付けばお尻を押さえるのもやめていた。


 「それでねえ…っ?お兄ちゃんっ…!!」


 「ん?英莉菜、どうした?」


 ──ドンッ…!!ムギュウウゥゥッ…!!


 英莉菜が結構な勢いで、一人で勉強机の椅子に腰掛けている僕に飛び付いてきた。いやぁ…体当たりと言った方が、イメージ的には近いだろうか?しかも、直後に抱きつかれているせいで、英莉菜の大きな胸の感触は凄まじい破壊力だ。


 「あのねえぇ…っ?お兄ちゃん…大好きいぃ…!!」


 抱きつきながら、横目でチラチラしながら僕の立ち位置を微調整しているように見える。


 ──チュウゥゥゥッ…!!


 「んんっ…?!」


 僕の目を見つめながら可愛い唇を近づけてくると、最後に目を閉じた。僕の目線の先には、ワナワナしている朱梨さんが見えた…。

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