第三の年 神歴第一の年
少女は神として、世界に望まれ、神だったモノに託されて、人々と世界を導くために、全知全能となった。
神とは世界の管理者であり、概念であり、人々の心のうちから湧き出る力でもある。
しかし、人には迷い、奪い、虐げる気持ちが生じる。
そのような時に、天上ではなくすぐ近くに。
しかし、気軽には頼まないように、利己的に自分の益のみを求めず、誰かのために祈れるように。
「私は、どう導けば良いのだろう…?」
神だったモノの欠片を見送った後、少女は考えた。
天上に遠く離れてしまえば、神が遠すぎて人々は自らの心に従うしかない。
しかし、すぐ近くにいれば、神の力に安易に依存し、自ら祈ることを忘れてしまうだろう。
「知識」にも、唯一例外的に少女自身のためにも使えるようになったら奇跡も使わず、
少女は答えを求め、森を歩き続けた。
幾日も彷徨うように歩き続けた末、やがて彼女の目の前に開けた光景が現れた。
そこに立つと、まるで世界全体が少女に語りかけてくるような静けさがあった。
ここでなら、私は人々を見守ることができる。
少女は心を決め、その丘の上に居を構えることにした。
天上ではなく、世界の中で最も穏やかな場所――
しかし、誰もが簡単にたどり着ける場所ではない。
少女は人々に依存させず、必要な時に祈りを捧げられるように、適度な距離を保つことを考えた。
そう考えて、森を抜けた先、海と森と草原の見える小高い丘の上に居を構えた。
そこから、その神殿の中、色とりどりの光が包む部屋の中で、神域の玉座を模した椅子に座りながら、救いを求めるものを待つ日々が始まった。
4度目の世界を導き、統べる神としての日々が。