第三の年 神歴第一の年
光の道がどこまでも続いていた。
両側には、色形を変えながら絶え間なく流れゆく光の帯。
世界は静かに、そして悠久に広がっていた。
少女は歩き続けていた。空を飛ぶこともできたが、不思議とその気にはならなかった。
ただ、この道を歩いて、何かを見つけるべきだと感じていた。
どれほどの時間が過ぎたのか、ようやく道の終点が見えてきた。
そこには、荘厳な大理石のような白い階段がそびえ立っていた。
階段の両脇には、空を突くかのように高くそびえる柱が並び、上方の闇へと消えていた。
神殿か、あるいは聖域か。
少女は足を止め、しばしその姿を見上げた。
「ここが…終点?」
そう呟きながら、彼女は一歩一歩、階段を昇っていく。
石の冷たさが靴越しにも、足元に伝わるが、なぜかそれが心地よく感じられた。
そして、ついにその頂にたどり着く。
そこには、白亜に輝く玉座があった。
まるで永遠の象徴のように凛として佇んでいる。
だが、その玉座に腰掛ける者はいなかった。
代わりに、玉座の上には小さな何かが光を放っていた。
それはかすかに明滅し、消え入りそうな弱い光だった。
「これは一体…?」
少女は声に出してしまった。
それは意識せずとも口をついた言葉だった。
そうして、彼女は自然とその光に手を伸ばし、触れた瞬間――。
――光が弾け、少女を包み込んだ。
まばゆい光の筋が彼女の身体に流れ込み、視界が一瞬にして変わった。
「えっ…?」
瞬きのうちに変化が起こった。視点が突然高くなったのだ。
驚いて足元を見ても、そこには変わらぬ白い床が広がっている。
けれど、何かが違う。彼女は自分の体を見下ろした。服が妙に短く感じられ、袖や裾が不自然に縮んでいた。
――背が伸びてる…?
この世界に来てから、ずっと変わることのなかった身体が、今、急に成長していたのだ。
少女の背丈は大人びたものへと変わり、その姿は十五歳ほどの年頃になっていた。
瞬く間に訪れたその変化に、彼女は言葉を失った。
しかし、それはただの始まりに過ぎなかった。彼女の内側で、さらなる変化がうごめき始めていた。