第三の年 神歴第一の年
「私は、この世界の為に、私が成すべきを知りたい。その為の奇跡を起こす。
対価は、成すべきことを成す!つまり私のこれからを捧げよう!
叶えて貰おうか!」
そう高らかに叫んだーーー
その刹那、時が止まった。
無音と闇、星々の煌めきと、月の光が照らす空間。
時の流れなど、星の瞬きや月の光の強弱で僅かに分かるかどうか…といった様子であったが、それらの僅かな変化すらも完全に止まったのだ。
少女の鼓動も、呼吸すらも止まったような感覚に、思わず冷や汗が出るような気がした頃、
何もない暗い空間に真っ直ぐな光が縦に、果てしなく走った。
そうして、まるで扉が開くようにして、空間が広がり、光の溢れる異空間ともいうべき光景が目の前に現れた。
振り返ると、今しがたまでいた天上の景色が遠くに残っており、
横には夜の闇がまるで扉のように折りたたまれているのが見えた。
その闇はまるで次元そのものが閉じたかのようで、これまでの世界とは完全に切り離されていた。
そして、少女は静かに息を整え、決意を胸に、その光に満ちた空間へと一歩踏み出した。
その背後で、夜の闇が再び音もなく閉じた。
そうして少女は振り返る事なく、現れた遥か奥へと続く光の道を、一歩、また一歩と歩いて行った。