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第六の日
「支配」――その言葉に少女は凍りついた。
人間が、持つものが持たぬ他者から更に搾取し、強者が弱者を踏みにじり、一興とばかりに貶め、苦しめ続けたのは、この「支配」という言葉のせいではないかと。
出会ったクソの煮凝りのような奴らは全部そうだった。他人を自分の欲の発散に使うための道具としか見ていなかった。
蹂躙して、奪って、支配したのは、アレは全部このたった一言のせいで…たった一言のために自分は…自分は!!!
(やはり…あの世界の有り様は、神のせいだ!)
ぎりり、と奥歯を噛み締める。
少女の瞳には、かつて路地裏で力尽きようとした時とはまた異なる暗い光が宿っていた。
そして、怒りに満ちた表情で、木の洞から駆け出る。
握りしめた拳はそのままに、鳥よりも疾く風を断ち切るようにしながら、天高くへと飛び上がった。