異世界に、巻き込まれ召喚されたおっさんと、女子高生の話。
朝、登校のため。バスを待っていたら、突然、光に包まれて、異世界に飛ばされた。
その時に、俺の他に、おっさんがいた。会社員で36歳だって。
王城でも、巻き込まれ召喚だったと判断された。
だって、スキルは「風見鶏」
おっさんの他に、学校で有名な陰キャの根岸さんがいた。
スキルは、「薬草探し」
うわー、これ、冒険者の標準装備のやつだ。
たいして、俺のスキルは、「現代武器召還」だ。
「「「オオオオオオオーーー」」」
王城で歓声が響いたぜ。
俺は訓練不要、
聖女と、女賢者、女戦士が、俺につけられた。
さて、冒険だ。
と旅に出たが、
風見鶏の吉田さんと、薬草探しの根岸さんもついてくると懇願、
足でまといなんだけどな。
吉田さんと根岸さんは、特に何かをするわけではない。
パーティの後ろにたって、
ボーと見ているだけだ。
吉田さんと根岸さん。
正直言って、足でまといだ。
女戦士のルワンダが言ってくれた。
「ヨシダ殿。ネギシ殿。荷物を背負ってくれ、2人とも、せめてそれくらいしてくれ」
「「「ク~ププププ~~~」」」
「・・・・・・」
「・・・・・・・」
2人とも、侮辱されて下を向いて黙っていやがる。
まあ、いい。俺の引き立て役だよ。
分け前は最低限しか渡さないし、3人と俺は最上級の部屋に泊まって、二人は、物置小屋だよ。
「タシロ殿、是非、私と結婚して、女神教会の護衛団、聖騎士になって下さいませ」
「いや、我が戦士団の侯爵家の婿に!」
「僕には、魔道ギルドがついているよ」
まいった。ハーレム展開だ。
こうして、俺のパーティは、
冒険者ギルドに登録し、クエストをこなして行き。
王家直々の依頼を受けることになった。
成功したら、王女と婚約出来る?
そして、パーティの三人を側妃にすればいいか。
クエストの内容は、
「魔王軍、ダークエルフ隊の集落の討伐だと!?」
「そうです。女のダークエルフは、1人金貨1000枚(一億円)、男は500枚(5000万円)で買取りますよ。やつら、この近くに、集落を作っていますね」
「分りました」
ヤリー、これで、大金を作れるぜ。
と思ったぜ。
しかし、吉田さん。いや、もう、吉田だ。と根岸は、俺に意見をしやがる。
「まるで、奴隷商ではないですか?田代さん。やめましょう」
コク、コク「・・・・やめるべき」
「はあ、吉田、根岸、ここは、あちらの世界の法律は適用されないんだぜ!俺の20式自動小銃は、この世界では、無敵、俺の言うことを聞けないのなら、出て行けよ」
「「「そうだ」」」
「「「そーよ」」」
しかし、
この2人は、ついてきた。
腹立つ。ロクに働きもしないで、
いい加減に、このクエストが終わったら、クビにしようと、本気で考えるぜ。
☆☆☆ダークエルフの集落前
バン!バン!
「ハハ、ざまねえ。ダークエルフの奴ら、逃げて行ったぞ!」
「「「オオオオオーーー」」」
この20式自動小銃は、弓の射程よりも遙かに遠くから、狙いうちができる。
吉田と、根岸以外の随伴の騎士たちにも、配ったぜ。
皆、遠足気分だ。
このクエストには、手足が必要だ。
ダークエルフを捕まえて、運ぶ役が必要だ。
王家が用意した騎士たちは
総勢100人はいるか?
そのほかにも、冒険者を20~30人雇った。
吉田と根岸は?
ああ、最後尾で、相変わらずに、キョロキョロ見渡してやがる・・・
その時、
突如、
吉田が叫んだ!
【皆!緊急だ!土が焦げるにおいがする!風向きが変わった!伏せるんだ!】
・・・俺は吉田、あの時も土が焦げるにおいがした。その後、津波がやって来たのだ。
そして、田代君の能力に、違和感がある。
田代君の能力、武器召還、現代武器、自動小銃を召喚出来る・・・
と言うことは、アレも召喚出来る能力が敵側にいてもおかしくない!
現代戦は、アレ対策は欠かせないのに、何故に銃だけ?
現代武器を召喚出来る者が、たまに、転移される話を聞いたが、何故、大成している者の話を寡聞として聞かないのだ?
・・・ニンニク?!ニンニクのにおいがしてきた!
理由は、これか!
「根岸君、至急、素肌をかくし。口をタオル・・布で覆うのだ!そして、伏せるぞ!
最悪だ。ニンニクのにおいがしてきたぞ!」
「はい!」
バタン。
2人は抱き合って、伏せたように見えた。
「「「ギャハハハハハハ」」」
「ここで、乳繰り合うなよ」
「最低、場をわきまえなさいよ。ねえ、もう、あの2人をクビにしましょう。・・・、ウググゥ~~~~~~~ゲホッ」
「どうした!何だ。ニンニクのにおいがするぞ!賢者ルシア!バリアを、マリア聖女、俺に全力でヒールをかけろ!」
「はい!」
バタン、バタン、
女戦士、ルワンダがやられた。そして、次々と、騎士たちや冒険者たちが倒れて行く。
「タシロ様ぁ、空気を遮断しましたわ」
「もしかして、毒ガスか?ニンニクのにおいは毒ガスのにおいなのか?卑怯な・・・」
残っているのは、俺と、聖女と女賢者だけになった。
吉田と根岸は、知らん。
「クソ、このままじり貧だ。空気が薄くなってきた・・・ゴホ、ゴホ」
目と気管支を少しやられたようだ。
しかし、遠くから、人影が見えてきた。
数人はいるだろう。
草をかき分けて、毒ガスの中を進みやがる。
ガサ、ガサ
何だ。太ったブカブカの服だ。
これは、
「ナ、ナ〇シカ?」
あの、アニメ映画に出てくるマスクを被ってやがる。
服は・・・森の人っぽい。
「ロリコン言うなし、パヤオは、たまたまアニメ監督しているロリ・・メカニックだし!」
と言って
俺の数十メートル前で、止まった。
「チース。あんた89式系?20式を召喚した系?イエイ!」
俺は問うた。
「転移者か?ギャルが転生だと!!」
「あーし、魔王軍、最弱の四天王、ギャル巫女だし。スキル、現代兵器召還だし!」
「何だと、だからと言って、毒ガスなど許されるかよ!」
「ポンポコピー!この世界でも瘴気あるし!ここは、あちらの世界の法律は適用されないじゃん!自分が武器を召喚出来たからって、敵がしないとは思う系?ロジハラの無理系旦那?イエイ、ピロユキった!」
※ピロユキった=論破した。
一方、
吉田、根岸の2人は、伏せながらも、状況を見守る。
・・・これは、もしかして、びらん剤。いわゆる状況ガスだ!
戦史では、致死率5%というが、あくまでも第一次世界大戦の話、湿度、温度により、それよりも高くなる。
田代は、素直に両手をあげて、降参した。
「わかった。降参する。だから、皆を助けてくれ」
「OK!」
ギャル巫女は、
右手をあげて、空にむかって
「雨系!」
と叫び。
あたりを、豪雨が襲った。
しかし、
田代は、
「甘いわ。武器召喚20式、弾薬装填済み!」
と叫び。手に銃が現れた。
女賢者が、攻撃のために、結界を解いたが
ギャルは、
「ごめん。むず過ぎ。無理。もう少しかかるけい~~」
と言った。
「「「ウグ」」」
「まだ、毒ガスといてないのかよ~~」
「だから、指揮官のあーしが、マスクをとって安全を確認するまでが、状況ガスだし!」
バタン!と倒れた。
そして、
あの女は、マスクをとり。
大きく深呼吸をして、
「マスクとっていい感じ~」
と叫んだ。
それから、初めて、彼女に従っていた魔導士たちは、マスクをとった。
「巫女様、ありがたい能力ですが、身も蓋もなさすぎですね・・・」
全員、ダークエルフの男女だ。
「あ~、わかっている系、見つけたし~~伏せている系~~」
・・・しまった。見つかった。
しかし、なぜか安心した。
彼女は、魔王軍についたが・・・
そもそも、王国は、召喚という名の誘拐をしていたのではないか?
それも、ダークエルフの捕獲、つまり、金儲けのためだ。
これが、あるから、根岸君も警戒していたのだ。
コク、コク「・・・・大丈夫だよ」
☆☆☆その後
私と根岸君は、魔王軍の捕虜となり。巻き込まれ召喚と思想の無害さが証明され、魔王軍厚生科所属となった。
私、吉田は、ギャル巫女さんのプロデュースで作った。ラフォー〇異世界の店長、まあ、異世界の洋服屋さんの店長になった。
ダークエルフたちの露出の多い服を売る店長だ。
そして、根岸君は、異世界スタ〇のメイドさん。
になった。
喫茶店だ。
「根岸ちゃん。かわいいし~」
「どうもです。ギャル巫女さん」
私は、災害の時に、自衛隊にお世話になった。
だから、ある程度、わかった。
特殊武器防護、毒ガスも、放射性物質も、防護は同じだ。
除去するしかないのだ。
何を言っているか?と思うかもしれない。
放射線は怖いが、怖くない。脅威は、一瞬だ。
しかし、放射性物質、放射能は違う
放射能とは、放射線を出す能力を持った物質のことだ。
いわゆる死の灰だ。
これが、付着すると、周りに被害をもたらすし、健康被害をもたらす。
それが、体に付着していないか?調べて、洗い流すしかできない。
これは、未だに、各国ともリソースを割いて、研究している。
条約で禁止されていても、使う時は、使うからだ。
それに、相手が使ったときに、対処しなければならないからだ。
大地が焦げるにおいとは、猟師の曾爺さんが常々言っていた。
山で危機が訪れるときに、感じるにおい。
オカルト的だ。
もしかして、
私は聞いてみた。
「ギャル巫女さん。もしかして、毒ガスが、風で流れたり。対抗する魔法があったときは・・・」
「もちろん、対人地雷を使うまでないし、対戦車地雷源に、誘い込むし!対戦車地雷、普通に人が乗っても爆発するし」
「なるほど・・・・」
自衛隊に存在する化学科、化学防護隊、
あまり、クローズアップされないが、それが平和の証なのかもしれない。
さらに、
普通科の中で、化学防護を担当するのが・・・施設作業小隊、海外の呼称では戦闘工兵だ。
地雷などの障害と設置と、化学防護を行うもの。
もしかして、彼女の能力は、自衛隊の編成にちなんだものなのかもしれない。
「店長!・・・・これ、ほしい」
「おお、根岸君、まいど、ありがとう。お給料をもらったのかい?今度、喫茶店に行くよ」
スローライフとはほど遠いが、しばらくは、ここで過ごそうと思っている。