謝るときの態度って大事だよね
ユッケ村での騒動を解決し、街に戻ってきた俺達。
色々あって疲れたなあ。
さてと、屋敷に戻ってごろごろしよーっと。
「アレス様、探しました。ボスがお呼びです。」
ん?この声は確か....組織の諜報員の....
え、もしかして俺見つかっちゃった?
とりあえず、怒られている情けないところをパーティーのみんなに見られたくはない。
ここは先に帰ってもらうとしよう。
「すまないみんな、俺はこれから大事な用がある。先に帰っていてもらえるだろうか。」
「なるほど...【紅】の...分かった、私たちは先に帰るとしよう。」
「そうね、あたしたちは先に帰るわ。」
「それではまた後程。」
3人は屋敷に向かって歩いていく。
ああ、俺も一緒に帰りたいぜ...。
「それで、ボスが俺に用があるというのは、例の件か?」
「話が速くて助かります。ついてきてください。」
俺は諜報員の子についていき、組織のアジトへと向かう。
いやあ、例の件とか言ったけど、ぶっちゃけ色々心当たりがありすぎてどうしたものか....。
てかやべえ、万が一用にフォンワグーラのソテー用意してくるの忘れたわ。
こりゃ色々マズいかもなあ....。
・・・・・・・・・・・・・・・
「どうぞ、こちらに。」
歩くこと数十分、組織のアジトに着いた俺は、ボスのいる部屋の前にへ案内された。
「アレス只今到着いたしました、失礼します。」
「おお、来たか、待っていたぞ。」
こういう時は態度で示さないとな。
ドアを開けて中に入った俺は、あえて椅子に座らず立ったまま話を聞く。
「それで、自分に話があるとか。」
「おいおい待て、どうしたんだそんなにかしこまって。頼むからいつも通りで頼む。こっちまで変になりそうだ。」
まあ、ボスがそういうなら別にかしこまる必要はないよな。
一応俺の最大限の謝罪の態度のつもりだったんだが。
とりあえず腰を掛ける。
「そういうことなら、分かった。そうさせてもらう。それで話というのは、例の件のことか?」
「ああ、その件でお前には聞きたいことがたくさんある。なんでも最近勇者パーティーと一緒にいるようだな。」
なんだあ、そっちかあ、てっきり前の仕事の失敗のこと問い詰められると思ったわ。
いやでも待てよ?
俺が勇者パーティーに入ったのボスは知らないんだよな?
どう弁明したものか。
『金目当てで入りました!』なんて言ったら絶対にしばかれる。
うん、その未来しか見えないね。
ここはうまくごまかして....
「ああ、そのことなら深い訳があってだな。」
「ほう、まあお前のことだからくだらない理由でのことではないとは思っていたが。」
くだらない理由で悪かったな。
仕方ないだろ?組織より好条件提示されたんだから。
なんて、言えるわけがないよね?
「魔王の復活が近いという話は組織にも届いてるだろ?その件で勇者パーティーに潜入して情報を探ろうと思ってだな。」
「確かにその話は私の耳にも届いている。しかしまさか本当の話だとは....。勇者たちとミネルネ地方に行ったのはそれが理由か?」
「ああ、どうやら魔王の部下、四天王の一人が良からぬことを考えているようでな。今回のミネルネ地方での異常もそのためだ。」
まあ、四天王がいるなんて話聞いたこともないんですけど。
え?てか、マジで魔王復活するの?
「なるほど...。そういうことなら合点がいく。確かに魔王に関する情報を入手するうえで勇者パーティーに潜入するのはいい手段だ。しかしお前ほどの実力を持つ者が直々にいかなくてもよかったのではないか?」
いや、俺程度の実力でもそれなりにできることはあるんだからね!
「それが最善だったからだ。それ以上でもそれ以下でもない。」
「そうか、お前が言うならそうなのだろう。」
何とか乗り切ったか?
ひとまず安心といったところか....。
「そういえば、前回の仕事の件....。」
おおっと、安心するのはまだ早かった、その話もあったんだった。
「分かっている、巻き込んでしまったことは申し訳なく思っている。」
新人の子には色々と迷惑をかけていたからな。
「巻き込んだ?よくわからんが、ミアがお前に礼を言っていたぞ。」
ん?礼?よくわからんが怒られなくてよかったわ。
ミアがうまい事伝えてくれたってところか。
「ミアに伝えといてくれ、『こちらこそ色々とありがとう。』とな。」
いやあ、本当に素直でいい後輩を持ったなあ。
感謝しかないぜ。
「新人のフォローまでするとは、流石だな。そういえば報酬がまだだったな、これを持っていけ。」
「確かに受け取った。」
臨時収入ラッキー!
おいおいまじかよ、あんな簡単な仕事で150万ゼピスも貰えるの?
こりゃあ裏稼業再開するしかねえよなあ?
「また任せたい仕事が入ったら連絡する。それまでは勇者パーティーへの潜入、頼んだぞ。」
「任せとけ。ああそうだ、今度フォンワグーラのソテーを食べさせてやるよ。楽しみにしといてくれ。」
こうして俺は組織のボスとのやり取りを終え、屋敷に帰るのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・
朝食を食べていた時のこと。
「ヘックシ!」
「大丈夫ですか?風でも引いたんですか?」
「大丈夫だヘレナ、心配してくれてありがとう。」
「いえ、当然のことをしたまでです!」
流石伯爵家の娘、気遣いが行き届いているな。
「あんた、誰かに噂されてるんじゃないの?」
「ハハハ、まさかそんなこと....あるかもしれないな。」
「ちょっと、心配になること言わないでよ....。」
すまないアリサ、残念だけど否定できない自分がいるんだよなあ。
「まあアレス君のことだ、問題ないだろう。」
セリスさんや、それが問題しかないんよ。
どうしたもんかね、本当に。
・・・・・・・・・・・・・・・
ボス『フォンワグーラのソテーか....アレス、お前のそういう優しいところが好きだぞ。』




