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塵灰のリハイブ  作者: 道安 敦己
第二話『砂時計の殺人』
54/62

あらすじ&登場人物(砂時計の殺人)

〇あらすじ

 自警団を襲った事件から半月が経った。マグヌス化の反動から回復した開道炯は、ルーチェ・グラックス・ウェールスと共にコアの破壊に――白の媒介者との戦いに再び動き始める。


 その二人を、都市で高まる緊張が、市民と非市民の激しい対立が待ち構えていた。


 背後にあるのは、能弁家たちの野心と内部分裂だ。恵まれた経済人である彼らが、自らに欠けた地位を欲して貴族に接近するのは世の常であり、求心力に非市民への憎悪を利用することも同様だ。


 ところが、彼らの盟主であった吉田金吾が最近になって主張を変えた。非市民に寛容とも見える態度を取るようになったのだ。吉田の変節が能弁家たちの力関係に大きなうねりを生じさせる。気鋭の能弁家にして吉田の盟友でもあった美馬鹿之助は、混乱する同朋の次の盟主となるべく、吉田と袂を分かち精力的に活動する。深まる市民と非市民の対立、美馬鹿之助はその中心にいた。


 美馬を筆頭とする能弁家たちの弁舌に市民が呼応している。追い詰められた非市民たちの怒りは限界を迎えつつあった。


 落葉のコア(ドレッグズ・コア)を追っていた炯とルーチェは吉田の娘、珠と出会う。父と反目し、非市民の支援に奔走してきた彼女は、二人の実力を見込んで一つの依頼を持ち掛ける。美馬を失脚させるべく、彼の醜聞を手に入れたい。彼女によれば、美馬は近々親しい能弁家数人と公開討論会を開催する予定だ。それが非市民の犯罪組織「丙」の残党に狙われている。


 討論会が攻撃を受ければ、市民と非市民の対立は深刻な悪化を来す。能弁家の頭目である美馬を潰すことで、これを阻止し、両者の緊張を緩和させたいというのが珠の訴えだった。


 按察官時代に「丙」を壊滅に追いやった張本人である炯は、その残党と聞かされたことも手伝って、珠に協力、ルーチェと共に美馬の醜聞を手に入れる。数日後、美馬は失脚し、討論会は中止になった。


 しかし、事態は急変する。美馬が殺害された。犯人に挙がったのは吉田金吾だ。吉田は無実を主張し、市長の北條に助けを乞う。新参の市長である北條にとって地元の名士である吉田の扱いは難問だ。彼は妻の妹である砂上叶子に事件の捜査を依頼する。


 一方、炯とルーチェの前にも次の問題が立ちはだかる。――吉田珠が失踪したのだ。



〇登場人物

開道(かいどう)(けい)……元按察(あんさつ)官。白の媒介者を追っている。喫茶店リハイブの居候①

ルーチェ・グラックス・ウェールス……W.S.のフーマニット。コアを破壊するために学府に送り込まれた。喫茶店リハイブの居候②


佐川(さがわ)瀬太郎(せたろう)……市民。心身を病んで放逐され、今はD級街の「落伍者の集落」で暮らす。

赤井(あかい)(はな)……「落伍者の集落」で暮らす非市民の少女。

土師(はじ)槐太(かいた)……港湾按察官。上級市民専門のゴシップ記者兼脅迫者。「落伍者の集落」出身の元非市民。

矢部(やべ)栄三(えいぞう)……非市民。「落伍者の集落」の顔役。


美馬(みま)鹿之助(しかのすけ)……経済人。富貴人(ふうきにん)保護(ほご)協会(きょうかい)(以下協会)所属の弁護士。能弁家。

美馬(みま)(かおる)……鹿之助の妻。

美馬(みま)一鹿(いちか)……鹿之助の長男。鹿之助の秘書。


蒔田(まきた)張尊(はるたか)……美馬家の執事。元は薫の実家の執事だった。

瀬尾(せお)女依子(めいこ)……美馬家の使用人。鹿之助の愛人。


香田(こうだ)(まこと)高井(たかい)(ただし)山川(やまかわ)(おさむ)竹本(たけもと)(たかし)……美馬と親しい能弁家たち。


吉田(よしだ)金吾(きんご)……経済人。協会所属の弁護士。能弁家。

吉田(よしだ)(たま)……金吾の娘。


(あまり)有作(ゆうさく)……地方按察官。鹿之助の次男。

内海(うつみ)(しゅう)……地方按察官。余の先輩。


明石(あかし)前途(さき)……教養派に属する「求道する貴族」で自警団の支援者。

逢坂(おうさか)未来(みらい)……自警団の団長。


北條(ほうじょう)……北條家領(旧開道家領)の現市長。

砂上(さじょう)叶子(きょうこ)……中央按察官。義兄である北條に依頼され、事件の捜査をする。


(しろ)媒介者(ばいかいしゃ)……七枝(しちし)のコアを宿し、コアの普及を目論む。かつては三好(みよし)綺羅星(きらぼし)という名の按察官だった。


(たちばな)一朗(いちろう)……喫茶店リハイブの店主。

※これは架空の物語であり、実在の人物・団体・事件等とは一切関係ありません。

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