ここは留置場である
ピンポーン
「は~い」
ガチャ!
「警察です」
「んぇ!」
〇
ここは留置場である。
私は体育座りをしたまま、天井のシミのようなものを口を開け見ている。
ぁぁ…ぅぇを向いているのもなんだかつらぃ…首が…とかではなく気分的に上を向いていたくない。
「…」
「…」
「…」
なろう読者はわかっていなかったと思うが、私は罪を犯していた。
なろう読者はわかっていなかったと思うが、隣人宅に入りパンティを盗むことは犯罪である。
なろう読者は隣に住んでいる=同棲しているのと同じ。と思っているかもしれないがほんの少し間違っているのである。
でも食べることは犯罪ではない。盗むことが犯罪なのだ。あと無断で入ることも犯罪なのだ。
では、先ほどまでの話を、話したくないが話していこう…
〇
私は玄関で生まれて初めて喚き散らし、無駄に暴れ、とんでもない力で抑え込まれ、ゲロを吐き、涙を流し、失禁し糞尿全てを垂れ流し、「着替えさせてくれ」と部屋に入り隣人のパンティを穿いたところ、現行犯で逮捕された。
〇
取調室にて
いかつい顔をした警察官がスマホの画面を見せる。どうやら何台かのスマホで撮っていたようだ。
「まずこの裸に女性ものの下着だけを身に着け、玄関で一礼して入っていくのは君だね」
「はぃ…」
「全てわからないのだが…まずなぜ一礼を?」
「………」
「鍵は持ってるの?」
「はぃ…」
「なんで?」
「………」
「これは別のスマホのカメラなんだけど、一直線に何の迷いもなく下着が入っているタンスに行ってるねぇ。どこに下着があるか知ってたの?」
「……ぃぇ……」
「ふ~ん。まぁそれで、下着が入ってる引き出しを迷いなく開けるんだけど」
「…………」
「えぇ…うん…下着が入ってる引き出しをタンスから抜いて…床に置いた……ねぇ、これ何してるの?横になってるのかな?よく見えないけど…」
「…………」
「えぇ…足をバタつかせて手を交互にやってるけど…なにしてんの?」
「…………」
殺してほしいとこれほど思ったことはない。