表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
叛逆のジュリエッタ  作者: 篠崎 真帆
1/1

その日

 「その日」は私の誕生日だった。


 全てが雪に覆われるスノーリーフの月、ふたつの月が西に輝く15番目の日。


 普段は忙しくて滅多に別邸に寄れない領主の父、中央学院で歴史学の教師をしている一番目の兄、剣術が得意で溌剌とした二番目の兄、魔術の研究が好きなおっとりとした三番目の兄、そして病気がちだが優しい母……みんなが予定を合わせて、私の8歳の誕生日ために集まってくれた。


 別邸の広間で家族とご飯を食べたのは半年ぶりだろうか。暖かい栗のスープに、色とりどりのテリーヌ、食べ応えのある鶉の丸焼き、デザートには私の好きな林檎のパイも出てきた。

 食事を終えると暖炉のある部屋に一番上の兄の手を取って駆けていく。その御転婆に侍女は思わず口を出したが、母がとりなしてくれる。


 一番上の兄と暖炉の前で紅茶を飲みながら、誕生日の贈り物にもらった本を読んでもらう。それは建国物語で邪竜を倒す王子様が出てくる本だった。


 結末を前に、私が眠くなって目を擦り始めたのをみると、一番目の兄は私を抱き抱えて、部屋まで送ろうとした。

 

 その時だった。悲鳴が聞こえた。バタバタと何人かが駆け出す音も。


 なんだろうか。

 眠気で重くなった瞼をあけた瞬間、視界が真っ白になった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 それがキャピュレイ家での最後の記憶だった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ