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十二月頃


 最近できたリサイクルショップに、行ってみました。


「ふむ……。」


 開店したばかりとの事で、商品が雑多に積み上がっている上に通路も人ばかり。

 そんな状況で、私が見つけたのは、すみの棚に山積みにされているブツ。


『新装開店セール! ねこたま 880円』


 ふわふわとしたパステルピンクの球体に、穴が二つ。

 パッケージには穴から出入りしている猫の写真。出入りができるものの、球体特有の不安定さで猫に興味を持たせ、その遊び心をくすぐらせる仕様のようだ。


 現在、くろすけとの関係はあまり進んでいない。

 餌を食べに家の中には入るものの、ガラス戸が必ず開いていないと落ち着かない。開けっ放しにして家の中を歩かせた方が良いかと思うものの、今の季節には寒くて辛い。

 ガラス戸を閉めると、鳴いたり暴れたりはしないが、物凄く不安そうにガラス戸の周囲を歩き回り、他に出口がないか家の中を彷徨う。結局、人間側が白旗を上げて自由への扉を開けてしまうのだ。


「だから、くろすけが中で寛げる要素が必要だと思って買ったの。」

「ばかねー。こんなのは、家猫があそぶもんよ。野良なくろちゃんが遊ぶわけ無いじゃない。」


 母に鼻で笑われたねこたまに、くろすけは興味を持つことはなく。

 今では部屋の飾りとして、隅の方に転がっている。


「それより家族会議!」

「家族会議?なんかあった?」


 首を捻っても会議を始める案件は、思い浮かばなかった。


「くろちゃんの名前を決めようと思って。」


 昔のバラエティなら盛大に転がるところだな、どこか冷えた頭で考えていた。

 我が家に餌をもらいにやってくるくろすけは、鳴き声からメスではないかと考えられている。

 くろすけは、どう聞いても男の子の名前なので、女の子の名前をつけようと母は張り切っているのだ。 


 そして、気がついたらいた父を含めた三人で会議をする事に。


「で、どんな名前にする?」

「おからで!」


父の問いかけに被さるように、母は断言した。

 それ以外あるわけ無いという気迫すら感じ取れた。


「何でおから?」

「好きだから」


即答である。


「ま、いいんじゃないか。」


家族会議は三十秒で終わった。


 くろすけ改めおからを、どうぞよろしくお願い申し上げます。


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