十一月頃
最近、くろすけの姿が見えないことが多くなりました。
特に、雨でぬれるのは嫌なのか、雨が降っている日は一日姿を見せない。
今日は雨こそ降っていないものの、地面はぬかるんでいる。
こんな日も我が家に訪れないことが多かった。
「ただいま~まだ誰も帰ってきてなうひょおおおう!?」
振り返ればガラス戸の真前にちょこんと座るくろすけが、目をまん丸にしてこちらを見上げていた。
びっくりして思わず変な踊りを踊ってしまったではないか。
「あー食べる?」
「にゃー」
とりあえずカリカリご飯を提供しました。
ちゅーるはあげません。ぜいたくは敵です。
およそ一時間後。母が帰ってきた。
「ただいま~あら、くろすけちゃんまた来たの?」
「にゃー」
カリカリを食べ終わってもガラス戸周辺を離れないくろすけに、ちゅーるを入れた皿を用意する母。
ビビりながらもちゅーる食べたさに、恐る恐る室内に入ってくるくろすけ。
「かわいいわねーアハハ!あ」
素早く外に逃げ出すくろすけ。
「あんたが動いたからびっくりして逃げちゃったじゃないのよ」
いえ、あなたの笑い声にビビったんだと思います。
ちなみにちゅーるは完食されました。
さらに三十分後、父が帰宅。
「ただいま~お、くろすけ来てたか!」
ちゅーるを完食してもまだ離れないくろすけを発見。
さっそく皿にカリカリを入れて食べさせる。すぐに完食。
「まだ食べ足りないのか?」
もう一回カリカリ……
私も母も上げたので、さすがにもう上げなくていいと止めた。
「にゃー」
「しかしかわいい鳴き声だよな。これはメスだな。」
「え」
くろすけ、メス疑惑浮上しました。