九月頃
居間でごろごろしていたら、餌を食べに来た猫と視線が合いました。
速攻で逃げた。
「さっき猫がいた」
「あら、いつもの黒白ちゃんかしら」
母曰く、確認された猫は三匹。出現率が高いのが黒白ちゃん、ブサイクちゃん、あとは謎。
網戸を開けて右を見ると、目を真ん丸にした黒白ちゃんと見つめあうことに。
「……」
「……」
ちょっとうずうずと湧いてくるものがあった。
思い切って庭に出てみる。猫は、少し離れているものの餌が欲しいのかその場を離れようとはしない。
母の言うところの黒白ちゃんは所謂ハチワレという毛色のようだ。
眉間から口元にかけてとがった山のような白い毛が生えている。耳と顔の上半分は黒の毛並み。将来は美猫になることだろう。
瞳の色は、遠目ではっきりしないが黄色系に見えた。こちらから目を離さず体を固くして警戒してる。
「ふむ」
一歩下がってみた。
そうすると、猫は一歩前に進んでくる。こちらが止まると向こうも動きを止めた。
もう一歩下がってみると猫も前に進む。目は決して離さず、でも逃げ出さず。
「ただいまー」
しかし、父の声が聞こえるとダッシュで逃げ出してしまった。
「あーあー。猫が逃げた。」
「来てた?買ってきたのにな」
ふと見れば父の手にあるのはいつか見たスーパーの袋。中身も重量ありそう。
何だか既視感が。
ドン(キャットフード)ドン(猫用缶詰)ドン(子猫用ミルク)new! ドン(ちゅ~る徳用)new!
「……」
「これ?くろすけの。(いつの間に名前が)切れてきたから買ってきた」
おーう。まいふぁーざー。
後日、ガラス戸前に張り付いて離れないくろすけを発見した。