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第90話 その頃王都では

今回かなり少なめです。

 優良達がフォースター伯爵領を目指して移動している頃、王都ではダリウル・デオ・シュツヘル公爵の手により混乱の極みに近づきつつあった。それもこれも全てはダリウル自身が己の手によって国を治める為であった。王都から混乱を起こし今の王族では何も出来ないという事を自国の国民にそして他国の者達に知らしめ、自身が起こした混乱をさも王族の不手際で起きた事の様に見せ掛けそれを予定調和として己の手により沈静化させるという芝居じみた事を行おうとしていた。



 何故ここまでの事になるまで放置されていたのか?ダリウルの敵陣営とも言えるスルト一派は決して何もしなかった訳ではない。彼らはダリウルの蛮行を止める為に様々な妨害工作を行った。しかし、それはことごとくうまくいかなかった。ダリウルの一派はスルト一派に比べれば人数は少ないがダリウルの采配さいはいが絶妙な事もあり少ない手数でスルト一派を抑え込める事に成功していた。

 かたやスルト一派は親玉でもあるスルトが名目上で病気にかかり王都から離脱した事もあり統率する者がおらずそれぞれが思い思いに動いた為せっかくの数の有利を活かす事が出来ずダリウルに出し抜かれてしまったのだ。



 そんな事もありスルト一派は完全に後手に回ってしまい今では事態をなるべく遅らせる程度くらいの事しか出来ずにいた。せめてスルト伯爵が居てくれれば・・・そう思いつつもなんとか自分達に出来る事をしようとスルトの派閥に属する貴族達は王族がこれ以上不利にならないように動いていた。



 ダリウルは此処に来てようやく自身の願いが成就するであろうと確信していた、年老いた今の王に国をまとめる事など出来ない。自分こそがこの国の王に相応しいのだ!と・・事実此処まではダリウルの思い描いてる通りに事は進んできた。今はスルトの派閥に属する貴族達が無駄な抵抗をしているがそれも今の間だけであろう。もう少しすればその勢いもなくなるはずだ、何せ自分たちをまとめているスルトが病気で亡くなるのだから・・そうスルトが病気になってしまったのは他ならないダリウルの手筈てはずによるものだった。ダリウルはずっと思っていた・・あの男スルトが居なければ彼の派閥はあっという間に瓦解がかいするだろうと。

 それは確かに合ってはいる、スルトの派閥は彼を慕って集まった者達ばかりで彼の意見に賛同したからこそ集まっている。その当人であるスルトが亡くなってしまう様な事になれば確実に瓦解するのは誰の目で見てもわかるだろう。



 誰よりもスルトを邪魔だと思っていたダリウルは早速彼を追い込もうとした、だがスルトはダリウルが思っているよりも厄介だった。金にも女にも権力にも屈する事なく自分を慕う者達を率いてダリウルを追い詰めてきた。どうすれば良いのか?そう思っている時に自分の派閥に属する貴族の一人からある提案を受けた。それこそがスルトに呪いを掛けようというものだった。

 初めにその提案を受けた時はさすがのダリウルも躊躇った、いくら敵憎しと言えども同じ貴族である。そのうえで言うのなら自身が王になった暁にはスルトに適当な役職を与えて自身の手駒として使いたいという思惑もあった。

 だがダリウルを唆した貴族は言う「あの程度の手駒ならこれからいくらでも湧いてくるでしょう、まずはダリウル様の地位を盤石にすることこそが優先されるべき。小者の事など今は考えるべきではないのです!」と。



 その貴族のあまりに熱の籠もった説得にダリウルも何故か「確かにこの者の言う通りだな、まず私が王になるために邪魔な者達を排除しよう。あとの事はそれからだ。」という考えに至ってしまった。



 この時正常な判断が出来る者がダリウルの状態を見ていれば諫言かんげんする事もあっただろう。だがダリウルのそばには既に正常な判断が出来る者など一人も居なかった・・そうただの一人も居なかったのだ。

 ダリウルのそばで怪しく笑う一人の貴族、目はにごり口元は裂けたかのように口角を上げて笑っている。その姿は一見すると人ではあるが、纏う雰囲気は人には到底見えない。ダリウルを囲む貴族達その中にいる一人の異様は周りの人物達をうまく言葉で誘導し混乱を助長させていく。その光景はさもその一人の異様が望んだかの如く歪んでいく。「あと少しで・・・ヒヒ。」その言葉を発すると異様は更に濃さを増していった。



 しかしここである悲劇・・いやスルト一派にとっては絶好の機会が訪れる。ある日の事だった、順調に王族を追い込んでいたダリウル一派が急に統制の取れなくった集団の様な動きを見せ始めた。

 いきなりの事態もあり何らかの罠の可能性を考えていたが、どうやら本当にバラバラになり始めていたようだった。この機会にとばかりにスルト一派は情報収集をした、すると得られた情報は妙な物だった。「中心人物の貴族が急に体調を崩した」この情報を聞いた面々は「はぁ?」となった、それもそうだろう本来なら中心人物といえばダリウル公爵のはずだからだ。

 その中心人物とも思えるダリウル公爵はつい先日自分達に対して嫌味な言葉を投げかけてきたばかりだ。そんな人物が急に体調不良?とも思い再調査をさせてみるとダリウル公爵自身はとてもピンピンしていると情報を得た。

 では誰が体調不良なのか?と聞けば、どうやら最近ダリウル公爵の側近として目立ち始めた貴族というのがわかった。ここでスルト一派の面々はこれを絶好の機会と判断し行動を開始した、せめてスルト伯爵が居なくとも自分たちに出来る事をしておこうと。巡ってきた機会で有利な立場に立とうと奮起する貴族達。彼らは自分達にできる最大限の事をしていく。



 だが彼らの行動はあまり意味がない物になってしまう。なぜならどの様な巧妙な作戦を立ててもそれを規格外の加護を得た人物が現れる事で全てを薙ぎ払っていくからだ。だから彼らの行動はあまり報われない・・・その規格外が現れるのはもう少し先・・それを知らずに彼らはダリウル公爵の思惑を妨害する為に一生懸命苦労を重ねていくのだった。

ちょっとだけ王都の様子を書いておこうかな?と思って書いたのであまり量を書けませんでした。細かく書くと後で回収が大変なので誤魔化して書かせてもらいました。次回は優良視点に戻ります。

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