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第84話 ダンディさんは・・・。

間に合った!

 意図せずして侯爵家の面々に祝福の言葉を掛けられた俺は、お礼の言葉を告げながらその場を後にしようとしたが、ダンディさん事スルトさんに「少し待って欲しい、二人だけで話がしたい。」と言われたので、場所を移し俺が新たに借りた部屋へと移動し話を聞く事になった。



「時間を取らせて済まないね?君にはどうしても聞いておきたい事があるのでね。こうしてわざわざ二人きりの場を作って貰ったのだよ。」


「いえお気になさらず、自分の仕事も一段落つきましたので時間はありますよ。それで話というのは何でしょうか?」


「もう少し場を和ませてからとも思ったが・・・そうだね、此処まで来て隠す事でも無いか。では前置き無しでいこうじゃないか。ユーラ君、君はユリーナという女性をどう思っているのか聞かせて貰えないだろうか?」


「え?ユリーナさん・・ですか?どうというのは具体的には何を指しているのでしょうか?」


「何も難しい事を言ってる訳ではないよ、ただ一人の男としてユリーナという女性をどう思っているのか?と至極単純に聞いているのだよ。」



 この御方スルトさんは何故そんな事を聞いてくるんだろうか?しかもピンポイントでユリーナさんの事だけを聞いてきた。まさかとは思うがユリーナさんの恋人とか言わないよな?もしだとしたらかなり年齢が離れているよな?それってアリなのか?いや、わからんぞ?よく見るラノベとかでは年齢は関係なく婚姻関係を結んでいるのもあったからな。無いとは言えないが・・ちょっと違う様な気がするんだよな。ふむ・・ちょっくら鑑定でもしてみますか。では、ちょいと失礼しますよ~っと。



 鑑定結果を見てビクッとした、何故かって?それはね?俺が恐れていた事が音も無く何の前触れもなく目の前に訪れて答えを迫ってきたからだよ。マジでヤバい!冷や汗が止まらない!何の事かわからないだろうから、簡易ではあるが鑑定結果を見せよう。



――――――――――――――――――――


スルト・セッテ・フォースター



【性別】男性


【年齢】56歳


【種族】人族


【職業】伯爵・フォースター領領主


――――――――――――――――――――



 見てわかるとは思うが、そうユリーナさんの父親なのだ!ヤッバイ!めっちゃヤッバイ!何がヤバいって今まで先送りにしていた事がいきなり何の前準備もなしに結果を求めてきたのだ!結果は決まってる、ユリーナさんには是非ともお嫁さんの一人として俺のそばにいて欲しい気持ちはなんら変わりない、だけど俺の心の準備が全く出来ていない。ヤル事ヤッといて無責任だと思うかもしれないが、それとは別に親御さんに会う為の心構えというやつは別の領域にだと言える。



 と此処までの思考時間はほんの1秒程だろうか?それにも関わらず目の前のスルトさんの視線の圧はその時間を何倍にも何百倍にも引き伸ばされた様な感覚に思わされる。



「ユーラ君・・黙っていてはわからないぞ?それとも何かね?答えるのに時間を要する程適当な間柄なのかね?」


「い、いえ!そ、その様な事は決して!」


「では聞かせてもらおうか?君にとってユリーナという女性が如何な存在なのかをね。」



 正直な所嫁の一人として考えてます!って素直に言えたら良いのだが、ぶっちゃけ失礼に当たらないだろうか?よくよく考えると俺はこの世界に来てから一度も嫁を複数連れてる人に出会ってない。それから考えると、もしかしたらこの世界は一夫多妻制で無い可能性もあり得る訳だ。それにも関わらず「嫁さんの一人として考えてます!」なんて言ってみろ、下手したら・・・。



『良い根性してるな?クソガキ!死ぬ覚悟は出来てるんだよな?』



 となりかねない、そんな事になってみろ!リィサ、レナリアさん、ユリーナさん、モニカ、シェイラ、ルティア、ニーナ、モモリス、ウィリル、セルス、カミラさんが泣く・・・多いな。俺ってかなりの節操無しだったんだな?もしかして殺されても文句言えない立場とか?



「まだかね、ユーラ君?それとも答えられない、という事ならそれはそれで構わんのだがね?こちらにも考えはあるが・・いや、待てよ?もしかして君は私が誰かわからなくて答えられないのかな?知らない者に迂闊に答えられないと・・そういう事かね?」



 何やら勘違いをし始めたぞ?でもこれはチャンスだ!迷わせてしまったのは悪いが、考えをまとめる時間が出来た。それとリィサに連絡を取ってこの世界が一夫多妻制なのかどうかも聞いておこう。そうすれば考えもよりまとめやすくなる。その前に一言スルトさんには言っておこう。



「そうですね・・あまりやたらと情報を流すのもどうかと思いまして・・・。」


「やはりそうか。ふむ、中々思慮深いな・・。では、自己紹介をしておこう。私の名はスルト・セッテ・フォースターだ。貴族で王国からは伯爵の地位を賜っている。そして・・・私はユリーナの父親だよ。此処までいえば何故私が聞いてきたかわかっただろう?私の身元が明らかになった所で君の答え聞かせてもらおうか?」



 正体を明かすのが早い!もう少し悩んでほしかった!くそ!どうすればいいんだ!ここはもう玉砕覚悟で嫁の一人にしたいと打ち明けるべきだろうか?ん~~駄目だ!わからん!こうなったら当たって砕けろだ!



「その・・ですね?あまり愉快な物言いではありませんが、妻の一人として迎えたいと思っています。自分は平民で貴族ではありませんが、それでも誰よりも幸せにしたいと思っています!どうかお許しいただけないでしょうか!お願いします!」


「何?妻の一人・・だと?それが何を意味して言っているのかわかった上での発言なんだろうな?え小僧・・。」



 めっちゃ怖い!視線を合わせられない!だ、だがしかし!此処で視線を反らし続ければこんな軟弱な奴に娘はやらん!と言われてしまうかもしれないのだ。此処は敢えて視線を合わせに逝こう!



 うわぁ~~昔見た事ある物騒な人種にそっくりな目つきをしてるよ~。ヤバいって確実に何人か殺ってる人の目つきだ。これが貴族なのか?それとも父親としての娘を奪い取ろうとしてる奴への敵愾心なのだろうか?何れにせよ、ここで視線を外してしまえば認められない可能性がある。怖くともしっかりと合わせないと!



 ジーーッと見つめてくる、何なら近くに寄ってきていろんな角度から俺をにらみつけている。やってる事がまんまヤの付く人だった。この人本当に貴族か?



「ふぅー、チッ!一度でも目を反らしたりしたら、それだけで認めないつもりだったんだがな・・仕方ない、一応は認めてやる一応はな?だが、少しでもユリーナを不幸にしてる事が俺の耳に入ってきたら・・わかってるだろうな?」


「も、勿論です!必ず幸せにします!」


「当たり前だ馬鹿野郎!そんなのは当然の事だろうが!いっとくがな?俺に権力どうこうは通用しねぇぞ?お前がこの先どんな奴に認められたとしてもユリーナが不幸になってるのがわかった時点でお前を殺しに行く・・わかったな?」


「分かりました、その時は覚悟を持って受け止めます。」


「ほぅ、それは良い覚悟だ。なら今の所は認めておいてやる。あぁそうだ、忘れる所だった。お前俺の領地にも来い、異論は認めねぇぞ。そこでユリーナの母親にも挨拶しておけ、良いな?」


「え!?そのスルトさんの領地にですか?でも、ここが終わったら行く予定の場所があったんですけど。」


「あぁ!予定だぁ!俺達の娘を掻っ攫っておいて挨拶も無しに行かなきゃいけない場所って何処だ!言ってみろ!」


「えっとぉ、王都ですね。そろそろレナリアさんを連れて一度行かないと行けないかなぁって思ってたんですけど・・駄目ですかね?」


「お、王都か・・あーアレだ、どうしても時間は作れないのか?」



 若干怯んだな?流石に王様には逆らえないのかな?




「それなら一度レナリアさんと話をしてみます。」


「お、お前!レナリア様とどういう関係なんだ?さっきから様づけもせずにレナリアさんなんていってるが、下手な奴が聞いたら不敬罪だとかうるせぇぞ?」


「そのぉ~言いづらいのですが、妻の一人になる予定ですね。」


「お前馬鹿か?普通平民が王族に手を出すか?お前どれだけ身の程知らずなんだよ・・はぁ~。お前の言い分はわかったが、それでもなんとかして時間を作れ。そうでもしないと俺の嫁さんが何処の誰ともしれない奴とユリーナとの縁談を組みかねないぞ?お前がそれでも良いって言うならそれで良いがな。」


「それは困ります!ユリーナは俺のものです!」


「・・・親である俺を前にして良くそんな発言が出来るな?まぁいいさ、事態が悪くなる前に行動しろよ?じゃあな!俺は行くぜ。」



 スルトさんは言うだけ言って立ち上がろうとした時だった、フラッとして足の力が抜けて様に椅子に再び座り込んでしまった。・・・何だ?今不自然な動きをしたぞ?当の本人であるスルトさんは頭を横に振って眉間を揉んでいる。体調でも悪いのかな?



「どうかしましたか?何処か体が優れないとか?」


「あぁん!・・あぁ~お前には一応言っておくか。・・・俺はもう長くない、持って後一年って言われてるんだよ。」


「それは!それはどういう事ですか?病気なんですか?」


「わからん、俺の家のお抱えの治癒師が言うには原因がわからないって言ってやがったな?俺がしっかり見ろって言ったがわからねぇの一点張りでよ?此処最近は歩くのもしんどくていけねぇ。俺がここに来たのもゴリニテの奴に俺に何かあったら俺の嫁さんとユリーナの事を頼む為だ。話には聞いていたがゴリニテの奴とうとう息子のバレブロを片付けたって言ってたからな。それならと思ってゴリニテに頼もうと思った訳だ。あの豚野郎はユリーナの事を昔から狙ってやがったからな、それがあって中々此処には来れなかったが・・アレが片付いたなら憂いはねぇ。ゴリニテに頼もうとなった訳だ。」


「そうだったんですね・・。」


「チッ!辛気臭い顔してんじゃねぇぞ!そんな顔させる為にお前に打ち明けた訳じゃないからな。お前にはこれからユリーナを守って貰わなきゃならねぇんだぞ?俺の代わりに、な。」



 どうにか出来ないだろうか?俺の力ならどうにかできそうな気がするけど、今のスルトさんの状態を鑑定してみるか。



――――――――――――――――――――


スルト・セッテ・フォースター



【性別】男性


【年齢】56歳


【種族】人族


【職業】伯爵・フォースター領領主


――――――――――――――――――――

【現在のスルト・セッテ・フォースターの状態】


【他者】により掛けられたかなりの高度な呪いが進行中。

体と精神を蝕んでおり命を脅かすレベルで危険な状況、通常の回復魔法や状態異常回復が効かない。

今の状態の呪いを解除するには高度な回復魔法と専門の呪詛払いが必要。

新石優良はどちらも所持してるので現状すぐにでも回復可能。


――――――――――――――――――――



 なるほどなるほど!何者かに掛けられた呪いだったのか、しかし呪いを掛けた奴は一体誰なんだ?そこも調べないといけないだろうな。まぁ今はスルトさんの呪いを解く事が重要だけど・・いきなりあなたは呪いに罹ってます!俺なら呪いを解除できますよ!って言われて信じてもらえるかな?無理そうだな、少なくとも俺は言った奴を疑うかもしれない。どうするべきか悩んでいるとスルトさんがジッと俺を見ているのに気づいた、もしかしてうんうん唸ってる俺を見て奇行に走ってるとでも思われたのだろうか?



「じれったい野郎だな・・何か俺に言いたい事でもあるんじゃねぇのか?勝手に燻ってないで言いたい事があるなら言えや!テメェも男だろうが!ウジウジしてんじゃねぇよ!」



 どうやら俺が奇行に走ってると考えていた訳ではなく、俺が打ち明けるかとどうか迷っているのを察したらしい。この人は男らしいな、参考になりそうな生き様だな。



「実は・・スルトさん、あなたに呪いが掛けられています。そして、それが今かなり進行していて命を脅かす程の危険な状況です。・・。」


「何?・・・そうか・・それで?」


「いや、それでって?」


「まだ続きがあるんじゃねぇのか?そう顔に書いてあるぞ?ハッキリしろ。」


「えぇ、そのスルトさんに罹っている呪いですが、俺なら解除する事が出来ます。そうすれば体調も以前の様に元に戻ると思いますが・・・どうしますか?」


「どうしますかって何だ?どういう意味だ。」


「いえ自分でも得体のしれない事を言ってる自覚があるので、信じてもらえるのかな?と思いまして。」


「はぁ・・お前相当察しが悪いな?誰かに言われた事ないか?」


「うっ!無くは無いです。」


「しっかりしねぇ言い方しやがって、おい!良いか!俺はさっきお前にユリーナを任せると言ったはずだ。違うか?」



 あれ?この人そんな事言ってたか?そう思いスルトさんを見ると逆ににらみつけてきた。理不尽だ。



「とにかくだ!俺はお前にユリーナを任せたんだ。その時点でお前のことは一応信用してる。それだけで俺の答えは十分だろ?わかったか!わかったなら返事をしろ!」


「わ、分かりました。それなら今から呪いを解除したいと思いますが良いですか?」


「あ~一応待て、何かあったらマズイ。此処じゃなくて何処か・・壊れても良さそうな場所にしよう。それとゴリニテとあいつの奥さんも呼んで立会人になってもらおう。何かあった時に証人になりそうだ。」



 へぇ~そんな事も考えていたんだ。さっさと解除しようとした俺とは大違いだなぁ。証拠や証人がいれば呪いを掛けた犯人を追い詰めるのに都合が良さそうだもんな。そんな事を考えていた俺を見たスルトさんが冷たい視線を向けてきた。



「お前なぁ~貴族の娘をもらうなら少しは頭を回せよ?ただ暴れるだけなら力があるやつなら誰でも出来るぞ?頭を使って守る事も考えないとマズイぞ?これから先貴族とやり合う機会も増えるはずだしな?ましてやお前は王族の娘ももらうんだろ?全く・・。」



 口調と性格は完全にヤの付く人なのに、考え方はしっかりと貴族なんだなぁ。とか思いつつ準備の為に部屋を出ていくスルトさんの後をついていった。



本来は王都へ向かう予定でしたが、ちょっと予定を変更して寄り道をさせてみました。まぁ、ぶっちゃけ王都での出来事の伏線を張りたい為なんですけどね?

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