第80話 完成!侯爵家の新築屋敷
皆様かなりお待たせ致しました!お楽しみいただければ幸いです。
作業を進めていくなかで、少しこの屋敷にも特徴を持たせたいと思い始めた。マシイナ伯爵の屋敷では入り口の扉に伯爵家の家紋を入れてみたら、結構好評だったからこのゴリニテ侯爵の屋敷にも何かしてみたいが…何が良いかなぁ?マシイナ伯爵の屋敷の様に扉に家紋を入れるか?でもなぁ、それじゃあ二番煎じみたいでツマラナイしな。何か、何か~~~う~ん。銅像とかどうだろう?結構良くないだろうか?
銅像を建てるとして幾つ建てるのか?また何をモデルにするのか?とか何処に設置するのか?とか色々な課題がある。まずは、幾つ建てるかだけど、それに関しては2つと決めている。それで設置場所に関しては玄関前で良いかな。その方が門番っぽい感じがして良さそうだからな。あとは何をモデルにするかだけど…ふと思いついたのはある。自分としては面白いと思うのだが、相手がどうかはわからない…よし!ここは敢えてチャレンジしてみよう。もし、不況を買ってしまうようなら速攻撤去だ!
早速ではあるが銅像の製作に着手しようか、まずは前に大量にかき集めた銅鉱を大きな塊にしてそれを2つ分準備する。塊にする際にしっかりと不純物を取り除くのを忘れない。それから形を整えていくのだが、そのモデルにするのが…ゴリラだ。侯爵と言ったらコレしかないだろう!あとはアレだ、ポーズはどうしようか?色々あるが…うむ、やはりゴリラのポーズで代表的なのと言ったら一つだよな?やっぱりドラミングをしてる最中のやつがいいかと思うんだよ。その方が躍動感と迫力もあるに違いない!なんか楽しくなってきたな、ドンドン進めていこう。
よし、サイズは十分だし素材の状態もバッチリだ。これから大まかな形作りを始めていくぞ!まずはゴリラを想像してみる、だがここで普通のゴリラを想像しては面白くない、なるべくゴリラとわかるようにしながらも侯爵に似せていくのだ。侯爵家の人間が見た時に気づくかどうかというレベルで調整していく、ヤバい!更に面白くなってきたぞ、中々の傑作が出来そうだな完成が楽しみになってきた。
かなりいい出来の銅像が出来上がったぞ!それにしても…かなりリアルだな、ゴリラよりに造ったつもりだったがどちらかというと侯爵8:ゴリラ2のゴリラ像が出来上がってしまった。ここまで似せて作るつもりは無かったのだが…どうしよう?これ見せたりしたら怒られないかな?ちょっと心配になってきたんだけど。
せっかく作った物を見せもせずに諦めるのは違うな、と思い見せるだけ見せてみる事にした。まぁ怒られたらその時はその時という事で!
だけど…ここまでうまく作ったのにただ飾るだけなのも勿体ない気がするな、そうだ!どうせなら動く様にしてみるのはどうだろう?警備員みたいな感じで設置して悪意を持った奴が近づいたら討伐する様にしたら美術品的な意味合いだけでなく実用的な価値も出て良いんじゃないか?これなら侯爵も気に入ってくれそうじゃないか?
しかし、どうやって動く様にしたら良いんだろうか?思い当たる方法としてはゴーレムだが、どうやったら良いのかわからない。マンガなんかでは魔石を使ったりしてるが、それで出来るのだろうか?どうせわからないし試すだけ試してみるか。
出来上がった銅像の丁度胸の中心に当たる箇所に適当に取り付けてみた、なんかその箇所の方がそれっぽい感じがしたからだ。2体の銅像に適当な魔石を取り付けると銅像の目が赤く輝き、急に動き出した。
「ちょ、ちょっと待て!と、止まれ!」
止まれと指示すると2体とも直ぐに止まった、良かった暴走したのかと思ったぞ!とりあえず俺の命令を聞いてくれるのはわかった。これならどうにかできそうだな、させてみたい行動があったんだよなぁ~どれ?頑張って色々な行動を仕込んでいこう。
いやぁ~出来た出来た!これならさぞかし侯爵も喜んでくれるだろう、うんうん!さて、銅像の設置に関しては屋敷が完成した後に設置場所を決めるとして、屋敷の仕上げに入っていこう
。
まずは、台所周りから仕上げていこう。台所はかなり気を使ってみた、手始めに火力調整付きの魔力コンロこれは魔石に火の魔法を付与しておりすぐそばに取り付けたツマミで調整する感じだ、弱、中、強と3段階を準備してあるので使いにくいという事も無いはずだ。
次に無害化機能付きのシンク、これは料理をする際になど使うとどうしても出てくる汚れや生ゴミなどを排水口に流すとそこに取り付けてあるフィルターでキレイに選別し浄化した水だけが外部に放出されるという仕組みだ。これで汚水により周辺の環境に影響を及ぼす事もないはずだ。ちなみにだがこのシンクに取り付けてあるフィルターは俺が製作した一種の魔道具で中に細かく砕いた魔石が何層にも重なっていて、それぞれに分別、粉砕、浄化、と付与してあるまぁ要は現代におけるディスポーザーだ。現代のディスポーザーにおける弱点である固い物は無理などがなく、それが貝殻でも細かく砕いて水と共に浄化されて排出されるのだ。
続いて自動排煙機能付きの煙突だ、これは熱や煙、臭いを検知すると自動で排気する装置だ。この世界の排気装置はかなり整っておらず外に向かって煙突が出ているだけで場合によっては一酸化炭素中毒を起こす危険性も考えられるレベルなので作ってみたのだ。これがあればその危険性も回避できるだろう、我ながら良い物を作ったなぁと思える代物だ。
水道に関しては既に魔石を用いた物が出回ってるので、それを俺が現代風にアレンジした蛇口を備え付けてみた。ちゃんと水とお湯が出るようにわかりやすく改良した2ハンドル混合栓タイプの物だ、水は青のハンドルお湯は赤のハンドルのアレだ。きっと気に入ってくれるだろう。
場所を移動して今度はお風呂場だ、ここもほぼ完成しており後は細かな仕上げをしていくだけになっている。この風呂場の一番の自慢はやはり浴槽だろう、石材を研磨して表面を滑らかに仕上げてある、これなら歩いたり座ったりなんなら横たわったりしても引っ掻いたり擦り傷を負ったりする事も無いはずだ。大きさ自体も4~50人が余裕で入れるくらいに大きいのでゆったりとお風呂の時間を楽しめる事だろう。後の設備に関して言えばシャワーを取り付けてあったり何気に床暖だったりするぐらいだろうか。シャワーに関しては台所の混合栓がシャワーになったぐらいだし、床暖にしても石材に付与魔法で【ほんのり温かい】というかなり曖昧ではあるが付与を施してある。ここまでしておけば冬場の寒い時期でも急いで風呂から上がる必要もなく、ゆっくりできるに違いない。
今度は最も重要ではないかと思っているトイレだ、ここはかなり力を入れてみた極端に広くスペースは取らなかったが、狭すぎずかといって無駄に広すぎない絶妙な作りを心がけてみた。まず、気をつけたのは音だ。人によっては気になる方も随分いるはずなので、防音に気を使い外に聞こえないような作りにしてある。次に臭いだ、臭いは残したくないという人も結構いるはずだ特に女性は気をつけたいはずなので、換気扇代わりに浄化の魔法を付与した魔石をあちらこちらに飾りの一部として設置してある。そして…便器だ、ここでまさかの発表だがこの世界のトイレは便器と呼ばれる物がない、まさかのポットン方式だ。一体どこの田舎だよ!とこの世界に来た当時は思ったものだ。
なので俺はまず便器をどうにかして作れないものかと思案したが、ぶっちゃけ無理だった。構造そのものは理解してるが、作れるかどうかでいえば無理でした。なので、【創造魔法】により無理やり創り出した。さすがに全てジャンルを網羅して作るのは無理があった。俺自身の技術はそこまで万能じゃないからね、そこらへんは大目に見ていただきたい。それに付随するように便座も【創造魔法】で創った普通の便座ではなく洗浄機能付きの温熱便座だ、これに付与魔法の【不壊】と【浄化】を付与した、これで壊れる事も無いし不衛生な環境になるのも防げるだろう。
次に取り掛かったのはロビーだ、ここはあのどでかい柱がある場所だがそのまま設置したままでは芸が無いのでちょっとした彫刻を仕込んである。西欧風の建物にあるような綺麗な彫刻をイメージしてくれればいいかもしれない。後はここが屋敷に入ってすぐの場所なので目立たせいのもあり試してみた。床や壁とも色合いを合わせてあるので違和感を感じたりもしない…と思う。あぁ~見せる時の事を考えると緊張してくる。
いよいよ仕上げも終盤に差し掛かってきた、今度の場所はイカれた夫婦の寝室だ。俺はこの夫婦の寝室にかなり手間を掛けている。なぜ俺がここまで気を使っているのかといえば、あの夫婦テンションが上がると客がいようが何だろうが寝室に籠もりハッスルしてしまうとカミラさんに聞いたからだ。曲りなりにも侯爵という立場の者がそんないかがわしい声を客に聞かせるのは如何なものだろうか?と屋敷に務めるイルディオさんを始めとしたメイドさん達の間で問題になっていたらしい。そして今回俺が屋敷を改築(すでに改築ではないけど)すると聞いたカミラさんが、どうにか出来ないだろうか?と打診してきたのだ。俺はそれ以前の問題として行為そのものを止めたら?と言ったらこう返された。
『無理!』
と。まさかのその場にいたカミラさん、イルディオさん、そして数人のメイド達が声を揃えてそういったのだ。いや、いくら何でも客がいる時にソウイウ行為に及ぶのは堪え性が無さ過ぎでしょ?というと、カミラさんいわく…。
「一度お母様に対して野獣と化したお父様は国王様でも止められない。」
だそうだ。かなり前の話になるそうだが王都の屋敷に侯爵が滞在していた頃に、内密な用件で話をしたいとひっそりと訪れた国王がたまたま屋敷にいた侯爵夫人であるクラレさんに見惚れているのを見たゴリラ侯爵は俺の時と同じ様にクラレさんをその場から連れ出し寝室でハッスルし始めたそうだ。
だが、そこで国王の護衛として変装して共に訪れていた近衛兵の1人が侯爵に対して、
「国王様がおられるというのに何というふしだらな行為を!如何に侯爵といえど許されん!此処に直れ!叩き切ってくれるわ!」
と無駄に高い忠誠心を見せた者がいたそうだが、ほんの一瞬だったそうだ。ゴリラ侯爵に一撃で吹っ飛ばされて冗談抜きで壁にめり込んだそうだ。そして、それを見た国王はクラレさんは侯爵にとっての逆鱗に近いと二度と見惚れるような事はしなくなったそうだ。更にその事が王都で噂になり侯爵がクラレ夫人と睦み合っているのを邪魔すると殺されるから気をつけろと半ば頭が可怪しいとしか言いようのない噂が出回ってしまい、それからは誰にも止められない事として認知されたそうだ。
いやぁ~まさかそこまでイカれているとは思わなかったよ。それに関してカミラさんは別途報酬を出しても構わないからどうかお願いします!とカミラさんを筆頭にイルディオさんとメイドさん達に頭を下げられたので、俺は仕方無しにそれに対応する事にした訳だ。
それはもう念には念を入れて寝室を作ったよ、【防音】【防振】の付与魔法を天井、床、壁と施していき、それだけじゃなくインテリアにも気を使った。下手したらこの部屋が一番気を使ったのでは無いかと思うくらいだ。
こうして作業を延々と続けていき期日の10日になろうかという頃にようやくの事で屋敷は完成させる事が出来たのだった。
最近時間が中々取りづらく更新が遅くなっておりますが、ちゃんと続けていきたいと思っておりますのでどうかこれからもよろしくお願いします。m(_ _)m




