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第78話 一杯食わされた!

今回の話を書いた一言…楽しかった!

【クラフトルーム】から出た俺はダンジョン3階層をブラブラと歩き回っていた。ここにはかなり古い遺跡もとい過去にここに住んでいた者達の家が存在している。参考…とまではいかないが、見てて珍しい物もあるので、職人視点での目の保養にはなっている。



 そんな中一部の家では気づかなった物があるのに気がついた、気になったので鑑定を掛けてみると…。



発温石はつおんせき

適度に温かい石、それなりに硬さがあり外壁や内壁には最適。また発温石の周りの温度が下がるとほんのりと淡いオレンジ色に発光しながら自然に温かくなるので冬には自然の暖房にもなってくれる非常に使い勝手の良い石。



 良い物見つけたぞぉ!おいおい!マジでか!?運が良いなんてもんじゃないぞ!偶々散歩していたらこんな物を見つける事ができるなんて。よく見れば結構な数の発温石が壁に使われているのがわかる。ふむ…ここで住んでいた人達の家を荒らすようで申し訳ないが、回収させてもらおう。

 全ての家から回収すれば結構な量になりそうだ、手を合わせて亡くなった人達に黙祷を捧げてから回収作業に入っていった。



 しばらく時間が経った頃には、この3階層にある全ての発温石を回収する事が出来た。そう…3階層にある全てだ、何が言いたいのかというと3階層の構造は昔のコロシアムのような感じになっており、真ん中の空いてる空間に住居が密集している。その周囲はといえばゴツゴツとした石の壁になっておりTHE・ダンジョン!って感じだ。



 俺は自分で一軒一軒回るのが面倒だった為に、あるスキルを使ってみたのだ。今までただの一度も使わなかったが物は試しと思い使ってみたのが、【素材取寄】だ。これがまた非常に便利で頭の中で欲しい物を思い浮かべてどれだけの量が欲しいか?を考えるだけで手に入れる事ができるのだ。まさにお取り寄せだった。手に入れた発音石はかなりの量がある、いくら一軒一軒あたりが小さくともそれが何十軒分ともなればかなりの量が集まるのは当然といえば当然だが、それでもこれだけの量が集まるとは…まさに塵も積もれば山となる、だ。



 だが実際に集まったのは何も家だけからではなかった、周りの壁からも集まってきたのだ。そのせいで何箇所かは一部壁が崩落してしまっている。いずれ元に戻るからこれ以上の崩落は心配してないが、いきなり一気に全方位から集まってきたのには正直プチパニックを起こしてしまった。次からはよく考えてから使う事にしよう。



 何はともあれこれがあれば壁材は問題ないな、これで先に進む事ができる。気分転換も十分だし素材集めも十分だ。【クラフトルーム】の中に戻って作業を再開しようかとも思ったが、よく考えれば今日は早く戻ってきて欲しいと言われていた事を思い出したので、ここまでにして切り上げる事にした。



 転移無法で侯爵家に借りている自室に戻ってきた、当たり前ではあるが自室には誰もおらず静かなものだ。念の為予定よりも早めに戻ってきたので時間はまだまだある、本来なら帰ってきた事を伝えないといけないとは思うが、これだけ静かならお昼寝に最適な気がしたので悪いとは思いつつも少しばかり横になる事にした。



 フワフワとした柔らかい感触が頭を包み込んでいる気がする、ここの枕はそこまで柔らかい物ではなかったはずだが…それとも気持ちよく寝ているから感覚が曖昧なだけなのだろうか?本当ならもっとこの微睡みを満喫していたかったが、そろそろ帰ってきた事を伝えておくとしよう。余計な心配を掛けてしまいそうだ。そう思った俺は気合を入れて起き上がろうとしたが…あれ?何か誰かに胸の当たりを押さえつけられてる気がするな?一体誰だろう?そう思い目を開けてみるとそこにいたのはレナリアさんだった。



「起きましたか?ユーラさん、もしかしてお疲れだったのでしょうか?随分と深くお眠りになっていましたよ?無理はしていませんか?」


「レナリアさん、もしかして俺が寝ている間ずっとこうして膝枕をしてくれていたんですか?脚とかしびれていませんか?」


「ユーラさんは野暮な方ですね?こういう時はありがとう、と一言言ってくれるほうが嬉しいですのに。」


「え?あ、そうか、えっと…その、ありがとうレナリアさん。枕が良いから凄く気持ち良く寝る事ができたよ。」



 お礼を言われたレナリアさんはほんのりと頬を赤く染めながら「気にしないでください、私がしたかっただけですから。」と言ってきた。相変わらず可愛らしい人だ。



「私の事は良いのですユーラさん、リィサさんから聞いてるとは思いますが、夕食の後でカミラさんの部屋を訪れていただけませんか?何度か私達が励まそうと部屋の前まで行きましたが。やはり今は1人にしておいて欲しいとそればかりでして。何とかして上げられそうなのが今のところユーラさんくらいしか思いつかないのです。お願い出来ますでしょうか?」


「リィサにも頼まれましたが問題は無いですよ。俺もカミラさんが落ち込んでると聞いてどうにかしてあげられないかと思ってましたから。」


「そうでしたか、では後はお願いしてもよろしいでしょうか?私達も何かあれば手助け致しますので。」


「わかりました、では夕食の後にカミラさんの部屋に行ってみます。」



 その時丁度タイミング良く夕食の時間を知らせに来たメイドさんが来たので、二人で食堂に向かう事にした。



 食堂には既にカミラさんを除く全てのメンバーが揃っていた、どうやら俺達が最後だったようだ。あれ?よく見ると侯爵とその夫人もいないようだ。まさか今もハッスルしてるんじゃないよな?俺の勘ぐりを感じ取ったのかイルディオさんが侯爵の事を皆に聞こえるように伝えてきた。



「旦那様は来客の方とご用事があるとの事で出掛けておられますので、お客様の皆様は気兼ねなどなさらずに食事を取っていただければと思います。」



 やっぱり俺に言い聞かせてる様に見えるな、まぁジッと俺を見ていたからね?それはそれとしてこの兄と言い弟と言い何で人が心の中で考えてる事を見抜けるのか…心の中が読めるとか?まさか、ね?と思いつつ本当に何気なくイルディオさんを見ると「フフッ」と笑っていた。いや、まさか本当に?



 僅か疑問を残しつつも夕食自体は何事もなく進んでいった。カミラさんがいない事に少し物足りなさを感じたが、それは今から俺がカミラさんの部屋に行って相談を受けるなり何なりすれば解決の糸口くらいは見いだせるだろう。世話にもなってるしこれぐらいの事はしておきたい。何よりも変態ではあるが元気なカミラさんが消沈している姿なんて見たくないと思っていた。



 夕食を終えた俺はリィサ達にカミラさんの部屋に行ってくる事を伝えると、何故かメンバーが皆してにこやかな笑顔で「イってらっしゃい!」と言ってきたがそのイントネーションに若干不安に思ったがそれもカミラさんを心配するからなんだろうなとその程度にしか考えていなかった。



 カミラさんの部屋に向かおうと屋敷の廊下を意気揚々と歩いていたが、よく考えればカミラさんの部屋を知らなかった俺は偶々近くにいたメイドさんにカミラさんの部屋は何処かを聞くとメイドさんは自分が案内すると言ってくれたので、素直に後を付いていく事にした。



 2階の少し奥まった場所がカミラさんの部屋のようでそこの扉の前に立ち止まるとメイドさんは「こちらがお嬢様のお部屋になっております。」と言ってくれたので早速ノックをして入ろうとしたところメイドさんに不思議な事を言われた。



「お嬢様は普段元気に振る舞っておられますが、本当は寂しがり屋な方です。どうかあなた様がお嬢様の心を満たしていただける事を願っております。」



 それだけを言うとメイドさんはお辞儀をした後に音も立てずにその場を立ち去っていった。その時の俺はそれだけ元気が無いのかな?と受け止めていた。そうその時までは…。



 扉の前に立ちノックをしてみる…部屋の中にいるはずであろうカミラさんは何の返事も返してこない、もしかして疲れて寝てしまったのだろうか?それならば起こさずに立ち去っても良いのだが、もしかしたら単に聞こえていなかった可能性もあるので、もう一度だけノックをして声を掛けても返事が無いようなら今日のところは引くとしよう。



「カミラさん起きてますか?ユーラですけど…もし起きてるようなら少し話をしませんか?」



 どうやら先程のノックは聞こえていなかったのかもしれない、今度は中からちゃんと声が聞こえてきた。



「ユーラさんですの?それなら中に入っても構いませんわ。丁度私もユーラさんとお話したいと思ってましたの。」


「それじゃあ失礼しますね?」



 返事をして部屋の中に入ると中は薄暗くなっており、イマイチ視界がハッキリしない。ぶつかったり脚を引っ掛けたりしないようにスキルを発動して視界をクリアにする。一気に視界が明るくなると同時に俺の目に入ったのはベッドに腰掛けているカミラさんだった。



 カミラさんは薄いネグリジェの様な物を着ておりほんの少しだけだが、透けて見える様な気がした。

そんな彼女に近寄ろうとして歩み寄るとカミラさんに止まる様に言われた。



「待ってくださいユーラさん、それ以上は近づかないでくださいまし。それ以上近寄られて今の顔を見られたくないんですの。」



 そうは言うが今でも十分その表情は見えている、泣きはらしたのか彼女の頬は少し赤らんでおり目も少し潤んでいる様に見える。そこまでショックを受けたのだろうか?もしかして俺に裸を見られたと思っているのだろうか?それとも勝手に触れられた事か?どちらにせよ許可なく彼女に触れたり見たりしたのは間違いない。それによりカミラさんが心に傷を負ったと言っても俺には否定のしようがなかった。どうすればカミラさんに許して貰えるのだろうか。



「カミラさんお風呂場の件でショックを受けたのは本当ですか?それってもしかして俺がカミラさんに断りもなく勝手に見たり触れたりしたからですか?もし、それが原因でショックを受けたというのなら、俺ちゃんと謝ります!勝手な事してすいませんでした!あの時慌てていたとはいえ自分で対処するんじゃなくてリィサ達女性の誰かを呼べば良かったはずですけど、俺もカミラさんがグッタリしてるのを見て慌てていたんです。言い訳にはならないかもしれませんが、決して邪な気持ちで見たり触れたりした訳じゃないんです。本当にすいませんでした!」



 まくしたてる様に言い訳と謝罪を重ねてしまった。俺もあの件に関しては後ろめたさもあったので、今回の部屋を訪れる事はいい機会になった。これで許してくれると嬉しいがそれは俺の勝手な希望にすぎない。よっぽど死ねとか言われない限りは罰を受け入れるつもりだ。



「えぇ!ちょ、ちょっと待ってくださいユーラさん!頭を上げてくださいまし!その様な事をしてほしい訳じゃありませんの!」


「それならどうしてくれると許してくれますか?土下座をすれば良いですか?それとも俺も裸になれば良いですか?どうしたら許してくれますか?死ねと言われるのは困りますが、それ以外なら罰をしっかりと受けいれます。」


「ド、ドゲザ?は良くわかりませんが、ユーラさんの裸には興味がありますの!ってそうじゃありませんわ!ではなくて、死ねとかも言いませんわ!それに私は別に怒ってもいませんし、ユーラさんの言う事に対してもショックを受けてはいませんわ。」


「え?それなら何に対してショックを受けてるんですか?俺はてっきり俺がカミラさんの裸を見たり触れたりしたからなのかと思っていたんですけど…。」


「そんな嬉しい事をされていたんですの!?どうして私は気を失ってしまったんですの!」



 …は?カミラさんは何を言っているんだ?俺の耳がおかしくなったのかな?今嬉しい事をされていたって聞こえたんだけど…聞き間違いだよな?



「惜しい…惜しい展開をみすみす逃していたなんて、不甲斐ないですわ!きっとそのまま起きていられれば✗✗✗✗して✗✗✗を✗✗✗✗されていたはずですのに!キィーーー!悔しいですわ!」


「カミラ…さん?あなたは何を言っているんですか?」


「へっ!?な、何でも無いですわ!きっと幻聴ですわ!ユーラさんは疲れているのですわよ。もうお休みなられては如何ですの?」



 いやどうあがいても無理があるだろう、しかしまぁ何だよ。何事も無さそうで良かった。これなら安心して寝る事ができそうだ。色々ヤバい言葉が聞こえてきたが、この際水に流しておくとしよう。下手に藪をつついて変態に襲われるのは勘弁だ。良し!早くこの部屋から立ち去ろう!



「カミラさんの言う通り俺は疲れているのかもしれませんね?では、俺はこれで。明日も仕事がありますので休ませて貰いますね。では失礼します。」



 足早に部屋から出ていこうとしたが、回り込まれてしまった!



「お待ちになってユーラさん、何処へ行こうと言うんですの?」


「いえ自室で休もうかと思いまして、すいませんカミラさんそこを退いては貰えませんか?俺が居てはカミラさんも落ち着いて休めないでしょう?俺も早く部屋で休みたいと思っていたので戻りたいんですよ。」


「私と一緒に寝れば良いのですわ、さぁ!こちらへいらしてくださいな!」


「それは遠慮しますね、1人の方がゆっくり休めますので。」


「もし私を置いてこの部屋から出ていったら大声をだして乱暴されたと言いふらしてやりますわ!」



 この変態性質が悪いな!悪質にもほどがあるわ!どうにかして落ち着かせないと。



「カミラさんの様な侯爵家の令嬢ともなれば婚約者の1人くらいは居ますでしょう?その方に悪いですよ。だから、ね?聞き分けてください。」


「そんな方居りませんわ!いえ…そうですね、今目の前に居る方でしたら問題なく婚約者に出来ますわ。」


「いえいえ俺にはレナリアさんやユリーナさんそれにリィサ達もいますから、そこに侯爵家の令嬢なんてとてもとてもこれ以上は荷が重いですよ。」


「大丈夫ですわ、レナリア様が居る時点で今更ですわ!」


「いや、しかしですね…。」


「あーあーんーんー、声は良く出せそうですわね?それで何ですの?ユーラさん。」



 この野郎…完全にしてやられたわ、待てよ?まさかとは思うがこれって仕組まれていたんじゃないよな?食堂に集まっていた皆の様子がどうにも可怪しかったし、何より部屋に入る前のメイドさんの一言…そうか、やはり皆知っていてこの状態に持ち込んだな?そうか…俺は嵌められた訳だな?フフ…そうかそうか。



「それで一緒に寝てくれますの?ユーラさん?」


「…良いですよ、カミラさん。一緒に寝ましょうか、ついでに親睦を深めましょう。」


「やっとですの?もう…ここまで焦らさなくても良かったんですのよ?意地悪なんですから…フフ、さぁ!こちらにいらして一緒に寝ましょう。」


「ハイ…それにしてもこのベッド中々寝心地が良さそうですね?きっと疲れた後には心地よく眠れるでしょうねぇ…。」


「えぇ、そうなんですのよ?それにギシギシ音もならない程高級な物なんですの。お父様が王都の有名な職人の方に作ってもらったと言ってましたわ。それよりも、さぁこちらですわ。」



 ベッドに横たわり布団をめくりおいでおいでとしているカミラさん…いや~本当に柔らかそうだなぁ、いやきっと柔らかいだろうソレは腕を組まれた時に確認しているから。カミラさんに誘われるままにベッドへ入りカミラさんのそばへ。



「期待してますわよ?ユーラさん…チュッ。」


「えぇ期待してください?そして覚悟してくださいね?朝まで寝れないと思ってくださいね?」


「え?朝までって…ユーラさん!?やぁあん!」



 俺をソノ気にさせるとどうなるか身を持って体験してもらおうか?マジで朝まで寝かさないからな!その日侯爵家の2階の令嬢の部屋からはひっきりなしに艶やかな声が朝まで聞こえていたとか…そしてその声に触発されるかのようにその令嬢の声より大人びた声も響いていたとか…。

変態の時には妙に筆がノるとか…でも楽しかったんだ…。

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