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第73話 カエルの子はカエル

なんとか時間を作れました~。

 ゴリラ侯爵の奥様とその令嬢カミラさんに腕組みをされたまま屋敷に連行されてしまってから、はや2時間と言った所で屋敷の入口である正面玄関を勢いよく開け放つ音が聞こえてきた。

 かなり勢いがいいな…おそらく侯爵だろう…それがわかっているので早くこの場所から離れたいのだが、両サイドに座っている二人が俺を離そうとしてくれない。なるべくなら今のこの状態を侯爵に見られたくはない、間違いなく問題になりそう…いや、なるだろう。



 ちなみに今の俺の状況はかなりおかしな事になっている。何故か両サイドには左手側に令嬢のカミラ右手側に侯爵の奥様であるクラレさんが座っている。

 あぁ何気に奥様の名前を言ったが、先程猥談をする中で自己紹介をしていた。イカれたタイミングで自己紹介をされた時は、何言ってんだコイツ?って思ったものだ。そして奥様の名前だがクラレ・セクス・インペスタというそうだ。まぁどうでもいいが早く俺を開放してくれ、そうしないと大変な事になる…俺が。



 ドスドスと半ば足音とは思えないような音が徐々に近づいてくる。俺はなんとかこの状況から脱しようとしているが、両サイドに座る二人が腕組みをする腕に先程よりもかなり力を入れてきている。

 痛くはないが…柔らかい。揉みしだきたい気持ちを何とか抑えつつ脱出を図ろうとするが、ニヤニヤしながら決して俺を離そうとはしない二人。



 助けを求めるつもりで一つの長テーブルを囲むソファに腰掛けているメンバー達に視線を送ると…如何にも私達は会話に花を咲かせていますと言わんばかりに俺の視線をシカトしていた。どう考えても気づかないはずは無いので【ハイ・テレパシー】を使って皆に一斉送信を試みる。



『ちょっと!俺が視線を送っているのに何で無視をするんだよ!この音聞こえるだろ!絶対侯爵が帰ってきてるんだって!早くどうにかしてくれって!頼むよ!』


『どうにかと言われましても…ユーラさんをお助けしたいのは山々なのですが…お二人のユーラさんのそばに侍りたい気持ちもわかりますし…邪険にしづらいといいますか…ね?』


『いや、ね?じゃないですって!レナリアさん!百歩譲って令嬢のカミラさんは良いとしても、奥様のクラレさんはヤバいでしょ?人妻なんですよ!この状況を侯爵が見たら絶対キレますって!』


『あれ?ユーラくん聞いてないの?』


『聞いてないって…何がだよ、モニカ?』


『あぁ…いや~聞いてないなら別に良いかな~。その方が面白そうだしね!イシシ!』


『クソ!モニカめ!後で覚えてろよ?ぜってぇ泣かしてやるからな!』


『え?ちょっとユーラくん!』


『他の…えっと…そうだ!モモリス!手を貸してくれ!』


『ごめんねユーラさん…相手は貴族だから…流石に一介の冒険者の私達には手を出せないのよ。許して頂戴…。』



 ぐっ!そう言われると強くは言えない…他には…ユリーナさんならどうだ?貴族としての階級こそ下になるかもしれないが、俺がやめるように言ったら聞いてくれないだろうか?言うだけ言ってみよう。



『ユリーナさん!ユリーナさんなら止めてくれますよね?お願いします!』


『私ですか~?良いですよ~他ならぬユーラさんのお願いですから~。』


『おぉ!マジですか!お願いします!早くしないと侯爵がこの現場をみたら…大惨事になりますから!』


『はぁ~い!お任せですよ~。』



 良い返事を聞かせてくれたユリーナさんはソファーから立ち上がり俺とそのそばに侍る二人を見ると両手の拳をグッと握りしめて気合を入れてこちらを見ながら歩いて……行った。この部屋の出入り口である扉に向かって…。あれ?あなたは何処に行くの?ユリーナさん?



 扉にたどり着いたユリーナさんは扉を開けるとそのまま廊下に出て扉を締めて出ていってしまった。

 いや!何でだよ!どうして出ていったんだ!ユリーナさん!カムバーック!



 先程よりも近づいてくる足音もうドスドスではなくドスッ!ドスッ!という一歩一歩が重い音になっている。と、急に足音が止まるとかなり小さいがユリーナさんの声が聞こえてきた。もしかして侯爵を足止めに言ったのか?当初の目的とは違うがそれはそれでナイスだ!よくやった、ユリーナさん!その間にこの状況から脱出せねば!



 で、一応何を言っているのか気にはなるので耳を澄まして聞いてみた。すると…。



「(あ~侯爵様~こんにちは~、お元気ですか~?)」


「うむ!ワシは元気だぞ!どうやら無事に【叫びの洞窟】から帰ってきたようだな!問題は解決したとみて良いのか?」


「(はぁ~い大丈夫ですよ~。ユーラさんが~バッチリ解決してくれましから~。)」


「ウムウム、そうかそうか!ハッハッハ!それは良かった!それでそのユーラ殿は何処に居るのかな?是非とも今回の事の報酬に関して話をしておきたいのだがな!ハッハッハ!」


「(ユーラさんですか~?向こうのお部屋で皆と一緒にお茶をしながら~皆を侍らしてますよ~。)」



 ちょっと?ユリーナさん!言い方!言い方を考えて発言して!それじゃあ俺がここで良からぬ事をしているみたいじゃないですか!



「ホホゥ!それはそれは…英雄色を好むという奴だな!良い事だな!それでユリーナ殿!家内と娘は一緒なのか?あの二人はお喋りが好きだからな!もしや一緒にいるのではないかと思っておるのだが…どうだ?」


「(はぁ~い、一緒に居ますよ~。今は~ユーラさんと一緒に座って腕を組んで居ますよ~。)」



 何でソレを言った!?一番言っちゃいけない事でしょ!俺の死期を早めてどうするのさ!



「何?ワシの家内と娘が一緒になってユーラ殿と腕を組んでいるだと?それは一体どういう事なのだ!」


「(お話を聞いていたら~興奮してきたみたいですよ~?二人共腕を組みながら大きな胸をグリグリとユーラさんの腕にこすりつけていましたよ~。)」


「そこの部屋に居るのだな?ユーラ殿と家内と娘は…。」


「(はぁ~い他の皆も一緒ですよ~、今頃グリグリしてるんじゃないですか~?)」



 確かに今もグリグリされてるけど…柔らかくて気持ちは良いけど…言わなくても良かった事だよ!明らかに怒り心頭じゃないか!どうにかして逃げ出さなければ!俺はほんの少し力を入れて立ち上がろうとした瞬間、両サイドの二人が更に力を入れて俺の腕にしがみついてきた。クッ!これは確信犯だな!まさか!皆グルなんじゃないだろうな?



 そう思って周りの皆を見渡すと笑っている者と視線を逸らす者とに別れた。どっちにしろ全員知っててやったわけだな?よし!決めた!この件が片付いたら、絶対にガクガクになるまでヤッてやるからな?覚えてろよ?1人残らず腰砕けにしてやる!



 そして…どうやらタイムリミットらしい…部屋の扉を豪快な音ともに開け放つ人物がそこには立っていた。…仕方ないな。諦めよう、一発くらいなら殴られておこう。

 仮にも人妻を侍らせていたのだから、多少の罰は必要だろう。



 そう思い覚悟を決めて待っていたら、凄まじい表情をした侯爵が近づいてくる。怒気が凄まじいな。殴られるのか?そう思い覚悟を決めて立ち上がろうとした瞬間、俺は凄いモノを目にしてしまった。



 侯爵のアレが大変な事になっていました!何でだ!どういう事なの?あまりの事に軽くパニックを起こしていると、そんな俺の横を素通りし侯爵はクラレさんに歩み寄っていた。まさか、手をだしたりしないよな?あんなゴツい筋肉を纏った腕で軽くでも殴られたら痛いでは済まないはずだ。何かあれば素早く助けてあげよう。が!しかし、俺の考えは完全な空回りだった。なぜなら…。



「クラレよ…お前ユーラ殿に腕組みをして胸をグリグリしておったそうだな?間違いはないか?」


「えぇ、あなた間違いはありませんよ。ユーラさんの腕にこの私の自慢の胸をこう…グリグリと押し付けていましたわ。ずっと…ね。ウフフ…。」



 見る者を魅了するような微笑みをうかべるクラレさん。どう見ても侯爵を挑発してるように見えるけど…大丈夫か?侯爵が拳を血が出るんじゃないかってぐらい握ってるけど…マジで殴らないよな?



「ウヌヌ!こちらへ来い!クラレ!お前に用がある!」



 あまりの侯爵の態度に危険な物を感じたので止めようとしたのだが、俺のその行動を止める者がいた…まさかのカミラさんだった。どうしてなんだ?



「良いんですよユーラさん、あの二人はそのままで放っておいても問題はないですよ。気にせずにお茶と会話を続けましょう。さぁ皆さん、新しくお茶を入れ替えますので座って下さいな。」



 侯爵に腕を捕まれ部屋を出ていったクラレさん…本当に大丈夫なのだろうか?心配になったので一応もう一度カミラさんに確認しておく事にした。



「あの…カミラさん?クラレさんは本当に大丈夫なんですか?なんか侯爵様かなり怒っていましたが、殴られたりしませんよね?」



 俺の言葉を聞いたカミラさんは一瞬キョトンとした後にクラレさんに似た微笑みを浮かべて心配無いと言った。



「お父様がお母様に手を出すなんて絶対にありえませんわ。お父様はお母様にベタぼれですもの…むしろ今から面白いモノが聞こえてくると思いますわよ?」


「面白いモノ…ですか?それは一体どういう…。」



 と、言いかけた時だった。何やらくぐもった声の様な音が聞こえてきた。何だ?もう少し聞き耳を立てているとそばにいたカミラさんが「ほら?聞こえてきたでしょう?」と言った。本当に何なんだ?と更に聞き耳を立てていると…静まり返ったこの部屋にはっきりとした声が聞こえてきた。



「どうだ、どうだ!クラレよ。お前は私だけのものだ!私だけがお前を愛しているのだぞ!フン!フン!」


「(あぁ~素敵ですよ!あなた!たくましい体……本当に良いですわーー!)」



 ………これはどういう事だ?俺はてっきり俺と腕を組んでいたクラレさんを叱るもしくは殴られてしまうのではないかと思っていたのだが…駄目だ。状況が理解できない!



「これでお分かりになられたでしょう?ユーラさんと腕を組んでいたのはもとよりこの為と言ってもいいですわね。お母様はこれを見越してユーラさんと腕を組むという行為をしていたのですわ。計算高いお母様でしょう?あと変態ですわね!」



 『ブフッ!』



 カミラさんのその言葉には流石に全員飲んでいたお茶を吹いてしまった。自分の母親を変態よばわりするか?普通…どうなっているんだ?この家族は。



「あら?何かおかしな事を言いまして?私間違った事は何も言ってませんわよ?」


「いえ、カミラさん?流石に母親であるクラレさんをへ、変態呼ばわりはどうかと思いますが…。」


「お言葉ですがレナリア様、何も間違ってはいませんわ?だっていつもこれみよがしに二人目が欲しいですわね?と言いながら家族で寛ぐ場所で性的な事をするお方なのが、お母様なのですわ。娘が見てる眼の前でそんな事を平気でするお母様はとても純度の高い変態ですわ。」


「って事は、それを受け入れる侯爵様も変態って事ですか?カミラさん。」


「それはまた違いますわユーラさん。お父様はなんだかんだと昔から堅物な方な様なので、自分から誘ったりするのが苦手なようなのですの。ソウイウ事の99%はお母様からだとお母様本人が言ってましたわ。そして、いつもどううまくお父様をその気にさせるのかを考えているのがお母様なのですわ。その為にはどんな手段を用いてでもそれを成す…そう言えば前にお母様がお父様を誘惑する為だけにとてもいかがわしい下着を身につけてお父様の前で踊り狂ってるのを見ましたわね。…他にも色々と口に出すのもどうかと思われる事をしてましたわ…私の目の前で!

 どうです皆さん?これが変態と言わずになんと言えば良いのでしょう?私が言うのも納得できるのではありませんか?」



 『は、ハハハハ……。』



 微かに笑って絶句するより他に無い。どれだけ変態なんだよ!貴族にあるまじき行為じゃないのか?まさかとは思うがこの世界の貴族はコレが常識なのか?だとしたらクレイジーにも程がある、ある意味で関わりたくない奴らの筆頭ともいえるだろう。

 何となくレナリアさん、ユリーナさん、カミラさんと順に目で追ってしまうと、俺の視線に気づいた3人が釈明してきた。



「あのユーラさん?まさかとは思いますが、貴族が皆…その、ソウイウ事をしてると思ってませんか?違いますよ?絶対に違いますからね?貴族にそのような風習はありませんからね?勘違いをしないで下さいね?聞いてますか?」


「酷いですよ~ユーラさ~ん。他の貴族の事は知りませんが~少なくとも私達は変態なんかじゃないですよ~。一緒にしないで下さい~。」


「私もですわ、あんな下着で踊る狂う変態のお母様と一緒にしないで下さいまし。私は普通ですわ。間違っても自分の子供の目の前でそんな事は絶対にしませんわ。」


「わ、わかったよ。ただ何となく見ただけだから、気にしないでくれ。」


「嘘ですわね。あの視線は間違いなく変態を見る視線でしたわ。今まで変態を目の前で見続けた私が言うのですから確かですわ。」


「ひどいです…ユーラさん。」


「そうです~ひどいですよ~ユーラさ~ん。」


「わかったよ、ごめんって!そんなつもりはなかったんだけどさ…ほら?何となく?」


「私達に対する謝罪と償いを要求しますわ!もし、ここでこの条件を飲まないのであればお父様と変態のお母様に言いつけますわよ。」



 変態はいらないのでは?もう母親が変態である事を隠す事すらしなくなったな。それにしても何を要求するつもりなんだ?宝石とか?アクセサリーとか?そんな物なら何とか作ったり出来るのだが…。



「レナリア様とユリーナさんは個別に聞いて下さいまし。私の要求はただ一つですわ!私もあなたの女にして下さい!そして…私の事もネップリとグッチャグチャに可愛がって下さいな!」



 ……コイツも変態だぁーーーーー!

こういう変態要素を持つキャラクターを書いてみたかった!他にも出したい変態…ゲフン!キャラクターはいるので順番に出していければと思っています。

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